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「米ヤフーがフェイスブックを提訴 不可解な行動に海外メディアも唖然」(小久保重信氏JBPRESS)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/34756
ポータル大手の米ヤフーが、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)大手の米フェイスブックを提訴したことが報じられ、その不可解な行動が話題になっている。
ヤフーは3月12日、ネット広告や、プライバシー、SNS関連など同社の特許10件がフェイスブックに侵害されたとし、米カリフォルニア州の連邦地裁に提出した。これら特許の使用禁止、あるいは特許使用料の支払い、そして損害賠償を求めている。
●トンプソンCEOの強硬姿勢か?
しかしヤフーは昔から「特許は攻撃の道具ではなく自衛に使うべし」という考えの企業として知られている。
今回の行動には違和感があり、同社がもし方針を大きく変えたとすれば、それは今年1月にキャロル・バーツ元最高経営責任者(CEO)の後任として就任したスコット・トンプソンCEOの考えによるものだと言われている。
米ウォールストリート・ジャーナルの技術系情報サイト、オールシングスデジタルが関係者から得た情報によると、今回の訴訟はヤフー社内で多くの技術担当幹部が反対していたため、準備はトンプソンCEOと法務顧問だけで進められたという。
フェイスブックは、今年2月1日に新規株式公開(IPO)を申請しており、5月にも上場すると見られている。
●IPO目前の企業は訴訟に弱い
英ロイター通信は、「IPOを目前にする企業にとって裁判沙汰は是が非でも避けたいこと。そのためフェイスブックはヤフーの要求に譲歩するかもしれない」などと伝えている。
ヤフーは自社の特許を主張して訴訟を提起することはあまりしない企業だが、過去に上場前の米グーグルを訴えたことがある。2004年に子会社オーバーチュアの広告販売関連の特許を侵害されたとして提訴したのだ。
この時両社はグーグル上場の10日前に和解しているが、ウォールストリート・ジャーナルによるとヤフーは3億ドル相当のグーグル株を受け取っている。
ただ、この手の攻撃的な訴訟を起こすのは通常、様々な特許を買いあさって企業を相手に特許使用料を徴収することだけを目的にするパテントトロールと呼ばれる個人や小さな企業。ヤフーのような大手ネット企業は珍しいとロイターは伝えている。
●大きな賭け、失敗すれば「何もない企業」に
ヤフーはトンプソンCEO体制の下で経営再建中だ。オールシングスデジタルは、そうした中でヤフーにとってこの訴訟は大きな賭けになると報じている。もしヤフーの狙いが成功すればフェイスブックに大きなダメージを与えることができる。
しかし、もし失敗すれば同社にはもはや何も残っていないというイメージが固まるという。現在の同社の価値は本業ではなく、保有特許などの営業外資産で保たれているからだという。
なお今回の提訴についてフェイスブック側は真っ向から反論している。「長年パートナーとして付き合ってきたヤフーが提訴したことをメディア報道で知り、残念に思う。この不可解な行動から当社を守っていく」などと話している。
オールシングスデジタルの記者もヤフーの行動に唖然としているようだ。「正直言って私にとってもヤフーの戦略は不可解。今後真意が明らかになったら報告する」と締めくくっている。
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