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ラジオ批評ブログ――僕のラジオに手を出すな!: BATTLE TALK RADIO アクセス(TBSラジオ、2009年2月26日(木)22:00-23:40)
この日のテーマは「あなたは、別れた相手とヨリを戻すために業者を使うのって、アリだと思いますか?」。
オープニングで井上トシユキが、別れた相手とヨリを戻す人が増えている背景について持論を展開。
仰天の珍説登場に思わず失笑した。
井上トシユキ 安倍[晋三・元内閣総理大臣]さんの時によく「再チャレンジ」って言い方をしたじゃないですか。
渡辺真理 はぁはぁ。
井上 その前からちょっと言ってたんですけれども、要はその、えぇ、2002、3年の頃からね、失敗してもやり直しがきく社会にしないと日本も活力が出て来ないよ、というようなことが言って……ず〜っと言っていた、というなかでの、まぁ、その後に新自由主義的なものってのが極まってしまって、みんながそのぅ、割と、こう、自由……手前勝手な振る舞いをするようになってきましたっていうようなことがあって、でもね、そういう自由気ままな振る舞いだけじゃなくて、日本には日本の、そのう、習慣とか価値観みたいなのが、家族観みたいなのがあったじゃないか、ということでよ、再チャレンジ的に,一旦壊れてしまった家庭とか日本の社会みたいなものを再び再生しようとするような、そういう人びとの、みんなの意識の表れなのかなぁとも思うし。
もう一方では、なんとなくね、そのう、まぁ、僕らなんか……え……インベーダーゲームなんてのが流行ったのが1978年、9年ぐらいなんですけども、その 頃、まぁ、僕ら、十……中学生ぐらいで。で、僕ら40代で、あるいはそのちょっと下の30代みたいな人たちというのが、まぁ、いま大人になってきて。で ね、ゲーム感覚的に、今まで失敗しちゃったらね、それはもう今までの生き方はチャラにして、リセットしてリスタートしようよっていう、もうちょっとなんか こう……で、再生をするとかいうよりは軽い感じのね、なんかまぁ「アカンかったんやし、もう一回やり直したらえぇがな」ていう風なビヘイヴィアなのか、 どっちなんやろなっていう気がするんですけどもね。
[※強調は引用者(=MasaruS)による。]
後半のゲーム感覚還元論はどうでもいい。もとより論外。
問題は前半。
井上によると、新自由主義ってのは、手前勝手で自由気ままな振る舞いをすることだそうだ。新説だ。
新自由主義の世の中は、経済学的に言えば、確かに勝手気ままに暴走する Runaway World かもしれないが、家族史的に言えば、むしろ井上の見立てとは逆で、アメリカのキリスト教福音主義、日本では教育勅語や修身の復活を狙う者たちよる家父長制的・家族主義的な規範への回帰そのものでることは、衆目の知るところ。
○教育勅語(明治神宮ウェブサイト内)
価値観や行動性向としての「手前勝手」「自由気まま」というのは、新自由主義というより、むしろ戦後民主主義的な個人主義を批判的に形容する言辞として使われてきた。
「日本には日本の[……]習慣とか価値観みたいなのが、家族観みたいなのがあったじゃないか」という思想は、新自由主義と手に手を取る共犯関係。それに対して井上の見立てでは、新自由主義と家族主義が対立するものとしてとらえられている。
安倍の「再チャレンジ」はただの人気取り、バランス取り、あるいは、苦い新自由主義を飲ませるためのオブラートで、そこに信念なんてない。不況下にケインズ主義者たちとの権力闘争で優位に立つには、新自由主義推進者といえども「再チャレンジ」を云々せざるをえなかったということに過ぎない。公共政策を政争の具に使ったというだけ。
教育制度をいじり、家父長制的規範に基づく「美しい国」の実現を目論んでいたのは、他でもない新自由主義推進者の安倍晋三だったではないか。
ちなみに、経済音痴の右翼政治家たちが新自由主義を後押しする過程で力を得た、オリックスの宮内義彦のような実利に聡い和製ハゲタカが、「手前勝手」「自由気まま」に振る舞っている。今思えば、堀江貴文や村上世彰なんて、ただの走る犬に過ぎなかった。
http://radio-critique.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/battle-talk-r-1.html
※補足:
井上トシユキといえば記者のランパブ通いで知られるソフトバンクパブリッシングの開設した旧zdnet誌上で人気になった自称「ITジャーナリスト」であるが、実際にはジャーナリスト訓練は受けていない。ただのパソコンオタクである。そのためか取材先とベッタリになることも多々あり、中立性に欠ける。ライブドア全面支持者でもある。最近は「アクセス」に出たり新聞取材を受けているようだが、今期はともかく、次期シーズンからはいい加減、「井上トシユキ排除」が適切なメディア対応と言えよう。ITについては、本物ジャーナリストの森健さんなどが信用できると思われる。