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<住民1人当たり扶助費>ワースト1の大阪、生活保護の増加止まらず
高齢化や地域経済の停滞が響き、社会保障関連の経費を中心とする扶助費の増加が止まらない。災害弔慰金などが急増した被災3県を除いても、扶助費は全体で5.7%の伸び。生活保護や介護などは国の制度で支出が定められ、自治体の裁量で削れる余地がほとんどない。国庫負担金などがあっても自治体の持ち出しは多く、独自制度による支出もあり財政を圧迫している。
住民1人当たりの扶助費が全国最多(被災3県の市を除く)の大阪市は生活保護の負担が大きい。11年度の生活保護費は2977億円と、10年度より67億円膨らんだ。受給者は右肩上がりで増え続けている。月ごとの申請件数は、リーマン・ショック後に3000件を超えていた当時に比べれば落ち着いているものの、最近も千数百件規模で推移。今や市民の18人に1人が受給者という状況だ。
同市は生活保護費の抑制に向けて国庫負担の拡大を政府に要望しているほか、独自の取り組みも拡充している。11年度からは市内全区域で就労支援の「総合就職サポート事業」を展開。これによって就職者数は8割近く増えて4134人に達した。しかし保護廃止世帯数は143世帯から微増の178世帯にとどまる。「就労しても自立するだけの収入にはなかなか結びつかない」(保護課)のが課題だ。
住民1人当たり扶助費がワースト10に入った大阪府門真市も、生活保護費が重い。人口1000人当たりの受給者数は11年度に初めて50人を突破した。物価が周辺地域に比べて安いことから、収入の不安定な世帯が流入しているという。
市内に本社があるパナソニックの業績不振も取引先の中小企業に影響を及ぼすとみられる。「中長期的に生活保護の負担は増し続ける」(財政課)と担当者は頭を悩ませる。
財政改善、定着には課題 全国810市区11年度
NEEDS分析 被災39市の歳出42%増、予算未消化も
自治体財政が少しずつ改善してきた。日本経済新聞社がNEEDS(日経の総合経済データバンク)を使って、全国787市と東京23区の2011年度決算(普通会計、速報)を分析したところ、借金の返済負担を示す全市の実質公債費比率が5年連続で低下したことが分かった。財政のゆとりを示し、数値は低い方が良い全市の経常収支比率も2年続けて90%以下だ。ただ社会保障に関連した扶助費は膨張が続く。財政健全化の歩みを定着させるには、子ども向け医療費の助成など、地方独自のサービス見直しも迫られそうだ。
東日本大震災の被災自治体では災害対応のために財政規模が大きく膨らんだ。
岩手、宮城、福島3県の39市の2011年度の歳出総額は合計2兆5706億円と10年度比42.4%増。がれき処理などの費用はほとんど国や県の補助金、交付税などでまかなわれるため、市の持ち出しは少ないものの、ひずみも生じている。歳入総額は2兆7326億円で、伸び幅は歳出をさらに上回る45.7%。翌年度への繰り越し財源は2.7倍の815億円に達する。人手不足などで予算を執行しきれず、復旧・復興が遅れる構図が見える。
震災で大きな被害を受けた宮城県石巻市の普通会計は例年、六百数十億円の規模。それが11年度は一気に3倍近くになった。災害廃棄物(がれき)の対策費だけで583億円。下水道などの特別会計分も含めると震災関連の費用は2000億円を超えるという。ただ10年度は3億円弱だった繰り越し財源は、11年度に約110億円に急増。建設資材の高騰などで「入札の不調も増えており、予算を使い切れないケースがある」(財政課)。
福島県の各市は原子力発電所事故の影響ものしかかる。東京電力福島第1原発の北側にある南相馬市の場合、歳入規模は2倍超の683億円に増えたが、税収は67.7%減の29億円に縮小した。避難者らの固定資産税の減免などが響いている。「自主財源に乏しい厳しい状況が当面は続く」(財政課)
一方で予算の消化不良がある。避難区域の指定解除の見通しが不透明だったことから復旧工事も思うように進まず、繰り越し財源は5倍近くの38億円弱に上る。
[日経新聞11月24日朝刊P.11]
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