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大臣決定、妥当性は 不認可大学が法的措置も 裁量権を逸脱/認可権は文科相 専門家、割れる判断
田中真紀子文部科学相が3大学の開設を不認可とした問題を巡り、大学側が撤回を求め法的手段も辞さない構えを見せている。文部科学省が事実上、指導してきた大学の開設計画に対し、大臣が突然ストップをかけたことの妥当性が焦点になるが、専門家の見方も分かれている。
大学開設の手続きは学校教育法などが規定している。文科相が申請を受け、大学設置・学校法人審議会に諮問。審議会は約7カ月かけて審査し、認可や不認可の答申を出す。これを踏まえ文科相が決定する。
大学に必要な設備、教員数などは省令の「大学設置基準」で細かく定められ、専門知識が必要。審査をクリアするために審議会の事務局を務める文科省が大学に細かく指導・助言しており、最終的な認可権を持つ大臣も答申を追認するのが慣例だった。答申を覆して不認可にした例は過去30年でないという。
田中文科相は大学教育の質の低下への懸念から設置認可のあり方を見直すべきだとして不認可を決断した。しかし文科省の指導に基づいて審議会の審査をクリアにした大学にとっては「理不尽で乱暴」に映る。
このまま開学できなければ、大学には施設整備や教員採用などで損害が生じる。秋田公立美術大の開設を計画する秋田市や札幌保健医療大の設立準備をしてきた学校法人は訴訟を検討。今後は行政不服審査法に基づく不服申し立てや不認可撤回を求める行政訴訟、損害賠償請求などに発展する可能性がある。ただ、係争の行方については専門家も意見が分かれる。
行政訴訟に詳しい神戸大名誉教授の阿部泰隆弁護士は「審議会は大学設置基準に基づいて答申を出しており文科相が設置基準に従った答申に反した判断をするには合理的な理由が必要」と指摘。「大学数が多いというのは設置基準にはないので理由にならず裁量権の逸脱だ。訴訟になれば文科省が負けることは明白」と話す。
これに対し、新藤宗幸・千葉大名誉教授(行政学)は、認可権はあくまで文科相にあると指摘。「慣行に照らせば田中文科相の判断は行きすぎだが、法的責任を問うのは難しい。訴訟を起こしても最終的な判決が出るには数年かかるだろう」とみている。
[日経新聞11月6日朝刊P.3]
札幌の法人、不認可撤回あす文科省に要請 2大学と連携
来春開校予定だった3大学の新設が不認可になった問題で、札幌保健医療大学の新設準備を進めていた学校法人吉田学園(札幌市)は5日、記者会見し、他の2大学の関係者と連携し、7日に文部科学省を訪問して撤回を求める予定であることを明らかにした。
同法人の吉田松雄理事長は会見で「どう考えても今回の決定は理不尽」と批判。6日に他の秋田公立美術大(秋田市)、岡崎女子大(愛知県岡崎市)の関係者と東京都内で対応を協議し、訴訟などの法的措置も検討するとした。
会見によると、看護学部(定員100人)の学生を募集予定で、すでにオープンキャンパスを2度開催。入学希望者は約1千人に上り、うち6割が札幌近郊の高校生という。入学希望者向けのイベントなどは一旦中止し、今後はホームページなどで情報提供する。
新大学学長に就任予定の稲葉佳江・札幌医科大学名誉教授は「北海道は看護師不足が深刻。医療現場では大学新設に期待が集まっていた」と話している。
[日経新聞11月6日朝刊P.39]
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