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株式日記と経済展望
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大津市の越直美市長は、一番安易なのは、官僚組織の言いなりになって
メッセージ発信を止めることです。勿論その場合は再選は有り得ないでしょう
2012年7月20日 金曜日
◆大津いじめ事件、苦境の越市長の取るべき道は? 7月9日 冷泉彰彦
http://www.newsweekjapan.jp/reizei/2012/07/post-455.php
大津市と言えば、越直美市長はハーバード・ロースクール出身の国際弁護士として華々しく当選し、その一方で、当選直後から「自身がいじめに遭った経験」なども語っていたわけです。ですから、今回の「中2いじめ自殺」の事件に関しては、明快なリーダーシップを発揮するのではと思っていたのですが、初動から現在までの対応は迷走しているようです。
問題になっている「自殺の練習をさせられていた」というアンケート結果が明るみに出る前の話ですが、事件のあった学校の卒業式(今年の3月、つまり被害者が自殺した半年後)に来賓出席した際に「自分もいじめに遭って自殺を考えた」とスピーチで述べている一方で、被害者の両親による事件に関する民事訴訟では、市側を擁護する証言をしたりしていたようです。
ここまでの越市長は、直接の公選で選ばれた首長としてメッセージ性のある行政を進めることを期待されている立場と、終身雇用制の官僚組織の支援を受けないと日々の行政が進められないという矛盾に引き裂かれた「良くある迷走パターン」に入っているように見えます。
仮にそうだとして、これからの越市長の取るべき道は何なのでしょう?
一番安易なのは、官僚組織の言いなりになってメッセージ発信を止めることです。勿論その場合は再選は有り得ないでしょうが、任期内を「無難に」勤めあげることはできるでしょう。もっとも、故青島幸男東京都知事とは違って、若い世代の代表であるとか、アメリカでリーガルマインドを学んだという中で、特別な期待感を背負っている越市長の場合は、そんなに簡単に「負ける」ことは許されないという見方もあると思います。
それでも、官僚組織や地域の「有力者」など「土着の権力」とのケンカはイヤだという場合は、そうした「古い利害」を全部背負うという判断もあると思います。ワシントンのリベラル系のシンクタンクで学んだ過去を「かなぐり捨てて」、こともあろうに「夫婦別姓反対派」に走った高市早苗議員であるとか、巨大な建設利権の「交通整理役」に身を任せた扇千景元国土交通相など、女性政治家にも色々と先例はあるわけです。個人的にはお勧めしませんが、そういう選択もあります。
その反対に、漠然と期待感があるのは、越市長が「土着の権力」と徹底対決するというシナリオです。噂の域を出ませんが、今回の「いじめ事件」では、教委、教員、PTA、警察組織などの「自己防衛」という力学が働いているようです。アンケートの結果が隠蔽されたり、被害届が無視される背景には、そのような「ローカル権力の腐敗」があるのだとして、越市長はそうした腐敗と徹底的に戦うという戦略があります。
これまでの迷走はともかく、市長選で越市長を当選させた票には、恐らくはこうした「土着の権力構造との対決期待」というのはあるのでしょうから、ここで覚悟を決めれば突っ走ることは可能でしょう。勿論、その場合は「外部の有識者」がどうのこうのという弱腰ではなく、「八方美人」であることを捨てて、自身が明確なメッセージを発信するべきです。
ですが、私はこのシナリオでも不十分だと思います。
大津というのは、JRの新快速を始めとする交通機関の発達により、住宅地としても発展する一方で、地場の様々な産業があります。そんな中、住民のライフスタイルやカルチャーも多様化しているのだと思われます。そんな中で、コミュニティの一体感が失われている、そのことが事件の背景にも影を落としているし、事件の真相究明や責任追及が進まない一因にもなっているように思われます。
越市長は、この点にメスを入れてゆくべきです。では、どうやってコミュニティの一体感を回復してゆくのか、それは短期的にはやはりこの事件の真相究明であり、真相究明に時間がかかる構造それ自体の究明に違いありません。ですが、中長期的にはこの大津というコミュニティの将来像をしっかり描いて、市の発展の方向性を描くということなのだと思います。そのカギを握るのが、多様な住民カルチャー相互のコミュニケーションの回復だと思うのです。
土着のローカル権力に寄りかかるのでもなく、一方的に敵視するのでもなく、コミュニティの一体感や将来像を示しながら、今回の事件の真相究明を改革の第一歩として位置づけ、取り組んで行くべきです。越市長の行政が成功し、二期目を視野に入れることができるかどうかは、この点にかかっているのではないでしょうか。
(私のコメント)
地方行政で一番問題なのは、議会と公務員組織が一体化してしまって、直接選挙で選ばれた市長が孤立してしまう事です。「株式日記」でも阿久根市の竹原市長と阿久根市役所の公務員組合との騒動などに触れたことがありますが、市役所組合と市議会が一体化してしまって、赤字財政でリストラを進めようとする市長と対立してしまった。
このような構図は、名古屋市や大阪市や横浜市などにも見られましたが、赤字財政であるにも拘らず市議会と市役所はお手盛りで給与を上げていって、地元住民との所得格差が広がってしまった。これに対して市役所組合などは市長スキャンダルを持ち出して失脚させる戦術を取る。横浜市の中沢市長もそうだし、大阪市の橋下市長にも市長スキャンダルが週刊誌に派手に書かれた。
市長と市議会とは構造的に対立する事はよくありますが、一番力を持っているのは市役所組合であり、そこの役人達は市議会議員選挙や市長選挙などにも関与して影響力を拡大して来た。本来ならば市の職員たちは政治活動は禁止されているはずですが、組合は市庁舎内に事務所を持って組合専従職員までいて活動している。
地方議会では、地元との結びつきが強いから市長には大胆な改革を行なう市長を選んでも、市議会議員は顔なじみのある議員を選んでしまうから、市長の改革に対して対立が起きやすい。しかし赤字財政をいつまでも続けるわけには行かないから、リストラを公約に掲げる市長はこれからも続出するだろう。しかし大阪市や横浜市など大きな市は数万人もの公務員の抵抗に遭って潰されてしまう。
大津市の越直美市長も、そのような改革派市長として期待されて選ばれたのでしょうが、腐敗した市の教育委員会や教職員組合などの腐敗した体質に手を出しかけていたから、今回のような「いじめ自殺」事件が起きたのだろう。市の教職員も教育委員会も生徒からのいじめに対してみて見ぬ振りをして放置されて来た。市の警察に被害届を3回も出しても受理されなかった。
市も教職員も警察も事なかれ主義であり、隠蔽体質で自殺事件が起きてから半年もたってから、裁判などで実態が明らかになるにつれて日本中で大騒ぎになった。市立中学ではいじめを見かけても生徒同士のふざけあいに受け取ったと言う事ですが、アンケート調査ではそうではないようだ。担任の教師も校長も見て見ぬふりをする体質は市全体にあるのだろう。
越市長は一体何をしてきたのかということですが、市長一人ではどうにもならないだろう。市議会や市の役職員を意識改革するにしても、市議会や市の労働組合や教職員組合の腐敗した体質はどうする事もできない。彼らは自己保身で固まっており、大阪府労働組合と橋下市長の団体交渉は非常にタフな市長でないと交渉も出来ないだろう。
市長が実行力を発揮するには、市議会や市の職員達に味方の勢力が出来ないと何も出来ないだろう。大阪氏なら「維新の会」とか名古屋市なら「減税日本」などの市長派の会派を作らなければ法案は一つも通らない。民主党も自民党も相乗り市長が多いから改革派市長などを応援する事はないだろう。市の労働組合と言う組織に乗っかっていたほうが市長として楽だろう。
しかし市の腐敗は、一番弱いところがら出るのであり、市立中学校の「いじめ自殺事件」は半年も封印されて来た。公務員はクビになる事も無く待遇もいいから、事なかれ主義で過ごせばいいのかもしれない。市の教育委員会も市立中学の校長もまさに事なかれ主義であり、いじめそのものを認識していなかった。いじめられる生徒は担任の教師からも見放されて孤立して自殺しましたが、これと同じような事件は日本全国の学校に蔓延している事だろう。
阿久根市の例を見るまでも無く、市議会や市の労働組合によって竹原市長は潰されましたが、横浜市の中田市長もスキャンダルで潰された。野田総理にしたって叩けば埃が出るのは変わりが無く、財務省の言いなりにならざるを得ない。巨大な行政組織は強大化しやすく政治家もどうする事もできなくなり、既得権者たちによって改革は阻止されて赤字財政は手が付けられない。だから高すぎる公務員の給与カットも出来ない。
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