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国と製薬会社が33億円を投じ、認知症の7割を占めるアルツハイマー病の早期発見を目指す国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」で、臨床試験のデータが改ざんされた可能性が浮上し、厚生労働省は調査を始めた。一定の時間を経た後に記憶を確かめる検査で時間を書き換えたり、不都合な症状を削除したりしていた疑いがある。先端医療を巡る国際競争が過熱する中で、日本の研究への信用が失われかねない事態だ。
J―ADNIはアルツハイマー病の兆候を調べ、早期治療や新薬開発に役立てるのが目的。物忘れなどの症状と脳画像や血液との関連を研究する。これまで経済産業省、厚労省、文部科学省が計24億円、製薬会社11社が計9億円を支出し、認知症研究の第一人者である東大の岩坪威教授(神経病理学)を代表に全国38の医療施設が参加。製薬会社などがつくる「バイオテクノロジー開発技術研究組合」が事務局を担う。
改ざんの疑いがあるのは、2008年から高齢者545人に行っている面談検査のデータ。研究成果の共有を目指す国際的な動きを踏まえ、先行する米国と同じ手順で検査し、解析結果を広く活用する計画だ。
岩坪氏と並ぶ権威でJ―ADNIの検査データを検証する中心メンバーの筑波大の朝田隆教授が7日、臨床試験でデータの改ざんが行われたとする報告書を大学側に提出した。朝田教授は取材に「改ざんに加え、健康状態などが臨床試験に適さない人も含まれており、分かっているだけで2割近くが使えないデータだ」と話し、改ざんやずさんな管理が広く行われたとの見方を示した。
朝日新聞はJ―ADNIの検査結果を集約するため研究者や製薬会社の出向者らでつくる「データセンター」が、少なくとも4件の検査記録について医療施設に書き換えを求めたことを示す内部文書を入手した。
京都府立医大が09年8月27日に行った記憶力を試す検査では、物語を伝えた1時間後の午後5時22分に内容を思い出してもらう検査をしたと記録したが、国際的な検査手順では30分後に行うため、数カ月後にデータセンターが「検査時間を修正して下さい。30〜40分後に実施していただくようお願いします」と文書で要請。同医大担当者が検査時間を20分繰り上げて午後5時2分に書き直した。
同医大によると、担当者は「検査から時間がたち、覚えていなかったが、手順と違うと指摘され、『私が間違ったと思う』と手順通りの時間にしたことがあった」と説明。もう1件直した記録があるが、「覚えていない」という。
国立長寿医療研究センターと横浜市立大に対し、重症の人を軽症のように書き換えるように指示した内部文書もある。同研究センター担当者は「なぜ書き換えたか覚えていないが、基準に合わせて多少データを修正することはよくある」と証言。関係者によると、いくつかの症状が重なると登録できないデータセンターのシステムに合わせるためだったという。横浜市立大は取材に応じなかった。
厚労省は書き換えの経緯を調べるため、岩坪、朝田両教授らから話を聞いている。担当者は「改ざんなら国際的信用を失う。排除すべきデータがあるなら削除し、残ったデータで研究をまとめてほしい」と話す。(渡辺周、青木美希)
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〈J―ADNI〉 米国立保健研究所(NIH)が主導するアルツハイマー病研究「ADNI」にならって命名され、3年おくれで2007年に始まった。先端医療の研究の司令塔として組織づくりが進む「日本版NIH」の中核事業の一つとされる。安倍政権は日本版NIHを成長戦略の目玉に掲げ、新年度予算案に1200億円を計上した。
http://digital.asahi.com/articles/ASG190H05G18UUPI003.html?iref=comkiji_redirect&iref=com_top_pickup
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