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Kさんの手術後3ヵ月の右目。白いベールが何重にもかかったような見え方という
私、レーシック手術で失明しました
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37855
2013年12月20日(金)フライデー :現代ビジネス
右写真、眼球の拡大写真を見ると「黒目」の上に白い濁りがあるのが分かる。角度を変え、瞳を横から見ると、表面はところどころえぐれ、デコボコになっている。兵庫県在住の女性・Kさん(46)は'10年、視力矯正のため、眼球の表面「角膜」を削る「レーシック」手術を受けた。
「手術を受けた後、黒目に白斑が出ました。術後、一旦は視力が回復したのですが、1ヵ月経った頃から右目の視力がどんどん下がって、2ヵ月後、ついに目の前に差し出されたグー、チョキ、パーの形をまったく見分けることができない失明状態になりました。視界が真っ白で異様にまぶしく、吐き気やめまいを感じるようになったんです」(Kさん)
12月4日、レーシック手術後、何らかの不具合を感じたという相談がこの4年半で消費者庁に80件寄せられていたことが発表された。同庁が先月行った、レーシック手術を受けた600人へのアンケートでは、約4割が何らかの不具合を感じていることが分かった。レーシック手術の安全性に大きな疑問が投げかけられている。
本誌の取材でも、「不具合」というにはあまりに重篤な症状に苦しむ患者が多数いることが分かった。Kさんが続ける。
「私が手術を受けた頃、ちょうど職場でレーシックがブームになっていました。
手術前、医者には『デメリットのない手術です』『事前に後遺症について説明するよう国から言われているから説明するが、実際こんなことはまず起きない』と勧められました。費用は37万円でしたが、安全なら……と決めました」
しかし期待は裏切られた。手術直後に目に痛みが出、術後1ヵ月頃を境に視力が落ち始めた。
「玉ねぎを目にこすりつけられるような痛みが続きました。医者に相談しても、『大丈夫』とか『違和感は当然』とか突っぱねられてしまいました。でも術後2ヵ月半経って右目がほぼ見えなくなったために検診をしてもらったところ、角膜ヘルペスと診断されたんです」
角膜ヘルペスは発見初期であれば4~5日で治る病気だが、このとき、Kさんの角膜はすでに手遅れの状態だった。
「我慢できなくて別の病院を紹介してもらって、治療をしました。でも結局視力は今もあまり回復していません」
Kさんは手術翌年の7月、7年間勤めていた大手通信会社を退職した。
「光がまぶしくてまぶしくて、パソコンの前に5分と座っていることができないんです。頻繁にトイレで吐きました。当時は息子が受験生だったんですが、お弁当を作ってあげることもできなくて……。
今は暗い部屋で布団をかぶってなんとか生活しています。病院側は『不可抗力だった』と言うばかりで、キチンと非を認めません。手術費のうち17万円は返金されましたが生活は戻ってきません」
埼玉県在住の女性・Sさんは、'07年に手術を受けてから、目の奥をつかまれているような痛みがずっと続いているという。一日に何十回と目薬を差しているが、まったく症状は改善しない。
Sさんがここ2年で使った目薬。病院に対応を拒まれ、訴訟のため、目薬容器を保存している
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石川県在住の大岡竜治さん(34・右写真)は、'09年の手術以来、ものが二重三重に見えるようになった。吐き気と頭痛のため救急車で運ばれたこともあったが、病院側は「精神状態が悪いからだ」とペンを机に叩きつけて突っぱねた。
大岡さんは2度目の手術後、意識して戻さないと右目が内側に向いてしまう症状に見舞われた
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10年以上続けてきた介護職は手術後、休職と復職を繰り返していたが、昨年初めに退職した。現在は弁護士と裁判準備中で、協力してくれる医師も見つかったが、医療過誤訴訟は費用も高くいまだ提訴できないでいる。
■危い病院の見分け方
16年間レーシック手術に携わり、現在は月に約60人の手術をする、みなとみらいアイクリニックの主任執刀医、荒井宏幸氏は、消費者庁発表の数字は大きすぎるとしながらも次のように言う。
「レーシック手術は一人ひとりに合った治療プログラムを提案して、数ヵ月間にわたってアフターケアをしなければならない性質のもの。しかし、一部の美容整形外科で眼科医を集めてレーシック治療を行っている場合、説明もアフターケアも十分に行わないベルトコンベア方式で患者を治療します」
'09年に発覚した銀座眼科の感染症事件では、手術器具をろくに滅菌処理しない、ずさんな管理体制のため、レーシック手術を受けた患者の約1割、75人が感染性角膜炎などを発症した。
「ビジネスとしてレーシックをやる、商品を売るという態度だからこんなことが起きるのだと思います」(前出・荒井氏)
ブームに乗って、雨後のタケノコのようにレーシック執刀医が増えたが、なかにはとんでもない悪質な医者もいる。
「フライデー」2013年12月27日号より
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