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あの医者には気を付けろ!あなたのカネと命を狙ってる「ブラック・ ドクター」出会ったら
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/37141
2013年11月18日(月)週刊現代 :現代ビジネス
カネ儲けのためには患者の命を救うことは二の次。それが、ブラック企業ならぬブラック・ドクターだ。その実態はどんなものなのか。医者の使命は病気を治すこと―そう思っている人、必読です。
■客集めがうまい
「どうして、夫は治療によって命を失わなければならなかったのでしょうか……」
澤田英次さん(仮名・40代)の妻は、夫を亡くした直後、こう言って声を震わせた。
英次さんは、長年、頸椎の変形によって生じる頸椎症に悩まされていた。首や肩の痛みは日々募っていたが、山積する仕事に追われてここまで放置してきた。そんな英次さんには、日帰りで手術できるというこのA医院の情報は、福音のように思われた。
さっそく予約を入れて受診した。MRIやレントゲンなどの検査のあと、治療についての説明を受けた。手術に要する時間は約30分だという。保険がきかないため1回の手術に100万円ほどかかるという点がきつかったが、術後すぐに仕事に復帰できるのなら惜しくはないかと納得した。
手術は説明どおりの短時間で終了し、英次さんはその日のうちに帰宅。ところがその後、体調に異変が現れる。高熱が何日も続き、仕事どころではなくなったのだ。これはおかしいと、再度A医師を受診した。
なぜこんなに高熱が続くのか尋ねたが、明確な答えはなかった。原因を調べるための血液検査すら行われず、痛み止めの注射を1本打って帰された。
注射後、容態はますます悪化。他の病院に緊急入院したが、すでにもう手遅れだった。徐々に体の神経は麻痺していく。
「どうしてこんなことになったんだ……!」
最期の声を振り絞り、英次さんは、そのまま息を引き取った。手術からわずか2週間。レーザー治療による感染症が原因であった。
「A医師はヘルニアなどのレーザー手術を手広くやっていて、業界ではよく知られた悪徳医師ですが、現在も変わらずに営業を続けています。治療の技術はあるのですが、失敗して訴訟になった患者も多数いる。そうした情報はインターネットではわからないから、広告を見て新しい患者が次々と訪れるのです。この医院は、ネット広告にもかなりの費用をかけているそうです」(医療関係者)
A医師のように高額の医療費を巻き上げ、患者を救うどころか、ときに命までも奪ってしまうような、まさに「ブラック・ドクター」とでも呼ぶべき医者が存在する。彼らは、患者の前では実直な「いい医者」を演じ上げ、決して素顔をのぞかせることはない。
そんな医療現場の状況に、強い危機感を抱いているのは、東京ハートセンター・センター長の南淵明宏医師だ。
「いま、日本の医療の質は年々低下の一途を辿っています。患者のために尽くす本物の医者がいる一方で、医者という立場を利用して、患者を金づるとしか見ておらず、食い物にして恥じない医者が少なからずいるのです」
冒頭の事件のようなケースで被害者が裁判にもちこんだとしても、死因や責任の所在を立証するには困難を極めることが多い。万が一、医療者側が裁判で負けたとしても、医師は医師賠償責任保険に入っているので、たとえば日本医師会の保険の場合、故意の過失でなければ最高1億円まで保険金が下りる。そのため、医者にとっては痛くもかゆくもない、というわけだ。
■健康な人でも手術する
医療行為は密室で行われる。つまり患者は、真実を知りたくても知り得ないところで、無防備に命を担当医に丸投げしていることになる。運悪くブラック・ドクターに当たったが最後、英次さんのように最悪の結末を辿ってしまう。事実、こうした被害者は後を絶たないのだ。今回は、そんな問題医師たちの実例を紹介していこう。
冒頭の事例のように、カネ儲けが第一の目的となっているケースはもっとも多い。
高市義孝さん(仮名・50代)は、地元・神奈川の病院で人間ドックを受け、心臓弁膜症が発覚。手術を受けたほうがいいと説明を受けた。
予想外の診断に驚いた高市さんは、念のために都内の病院でセカンドオピニオンをとった。すると、思いがけない言葉がその医師から飛び出した。
「高市さんの心臓はどこも悪いところはありませんよ。もちろん手術などまったく必要ありません」
正反対の診断に驚いて、高市さんは医師に尋ねた。
「じゃあ私は××病院で健康な心臓にメスを入れて手術したほうがいい、と言われたわけですか?」
「そういうことですね」
少し困ったような表情を浮かべながらも医師はそう断言し、なぜ大丈夫なのかを詳しく説明した。
高市さんは、強く手術を勧めた医師の表情や口ぶりが脳裏に浮かび、思わず背筋が寒くなったという―。
前出の南淵医師が語る。
「心臓手術に限りませんが、手術の症例数が少なければ、外科医の経験不足ゆえ、必然的に患者の死亡率は高くなります。一方で、手術をしないとその病院での外科医の存在理由はなくなります。そうした状況のなか、保身のために手術など必要のない患者に手術が行われることもあり得るのです」
症例数が増えれば医師や病院の名も上がり、患者が増え、病院が潤う。この方式でデッチ上げられた「乳がんの名医」が、かつて静岡にいた。その医者を、仮にB医師としておこう。
B医師の名声は、一時期、県の内外に鳴り響いていた。というのも、彼が執刀した乳がんは、術後の再発率がほぼ「0%」という驚異的な数値だったからだ。
静岡在住の後藤亜佐美さん(仮名・30代)も、この評判を聞いてB医師の診察を受け、がんが発覚。医師の手術を受けたが、後日、驚愕の事実を知った。
「B医師の手術を受けた患者が、がんでもないのに手術されたと訴えたんです。警察が調べると、健康な人の乳房を摘出したケースが次々と発覚した。私もそうでしたが、検査の結果が出る前に入院させて、とにかくすぐに手術をと急かすんです。再発率が0%ということは、その多くがそもそもがんじゃなかったということですよね。絶対に許せません」
■初歩的な手術でミスをする
このケースでは、B医師の手口が明らかになったことでそれ以上の被害を食い止めることができたが、発覚を免れているケースは、まだ多数あるはずだ。川崎医科大学病理学教授の森谷卓也医師が警鐘を鳴らす。
「がんの病理診断は、プロの病理医でも難しいケースがあり、非常に慎重な判断が必要です。ただ、明らかにがんの人をがんではないと言ったら後で発覚したとき罪に問われますが、がんではない人をがんだと言って手術した場合、そこにがんがなかったことを証明するのは極めて困難。ここに大きな問題があるのです」
医者は、容易く「患者」を作り出せるというわけだ。魔手にかからないためには、医者の言うなりになるのではなく、疑問を感じた時点でセカンドオピニオンをとることが、必須だろう。
手術の次に儲かるのは検査だという。東北地方の総合病院に勤務する内科医が、こんな内情を打ち明ける。
「私がバイトをしている病院では、腹痛を訴える患者に『それは胃がんかもしれません』と脅し、血液検査から胃カメラ、CTまでフルコースの検査をする医者がいます。さらに彼は『頭痛はありませんか』と聞き、少しでも痛みがあると言うと『がんが脳に転移している可能性もあります』と脳のMRIまで撮る。
『儲けるためにはできる検査はすべてやる』と医師仲間には公言しています。患者も、もし本当にがんだったら……と怯えてしまうから、拒否する人はほとんどいない。この医者に診察されると、1回3万~4万円の支払いは当たり前です」
もはや、ここまでくれば医師の権力を悪用した脅迫行為と言えるだろう。ただし、検査をするほど儲かるかどうかは、病院の医療費体系によって異なる。日額の医療費収入が決まっている定額医療を取り入れている長期療養型の病院などでは、治療や検査をするほど病院の利益が減る。そのため、安い薬を最低限しか処方しないということも多々あるのだ。
「新しい薬を使えば良くなるのに、と思うことはよくあります。ですが、旧型の安い薬しか処方しない。結局、そのまま症状が悪化して亡くなる方が多いんです」(関西の療養型病院看護師)
ここまでに紹介したブラック・ドクターは、いわば確信犯≠セが、未熟さゆえ、結果として患者に不幸をもたらす医師もいる。
都内の名門病院に勤める40代の心臓外科医・C医師。心臓弁膜症の弁置換手術を執刀し、4例連続して術後に患者が死亡した。
「まさかあの手術で死なせるとは」―病院内の医師たちにも衝撃が走ったという。この手術の平均死亡率は4%程度。ごく難易度の低い手術だったからだ。
「もともとC医師の手術ベタは、心臓外科医の間では有名でした。ところが彼は主任教授のお気に入りだったため、メスを握れたのです」(病院関係者)
西脇静江さん(仮名・40代)は1ヵ月以上続く下腹部の鈍痛を訴えて都内の総合病院を受診した。さまざまな検査を受けたが、原因が掴めない。診療科をたらい回しされたあげく、婦人科で、原因と思われる小さな子宮筋腫が見つかった。
すぐに子宮の摘出手術を受けたが、腹の痛みは治まらない。再検査をすると、今度は卵巣嚢腫が発見された。
「腹痛の原因はこれですね。手術で取らないと症状は悪化する一方ですよ」
担当のD医師はそう言い、またすぐに手術で二つの卵巣を摘出した。これでようやく痛みから解放される―そう思ったものの、腹痛が治まることはなかった。
ろくに診断もできない医師のせいで、まるで遺体を解剖するかのように、西脇さんの臓器は次々と切り取られたのである。
「本当は摘出しなくてもよかったはずだということはあとで別の病院にかかった際に知りました。でも、D医師からは何の説明もありません。子宮と卵巣を失って、私は出産することができない身体になってしまったんです」(西脇さん)
原因を探るための検査をすればするほど異常が見つかり、無駄な治療を施されるケースは少なからずある。ただ、臓器を取ってしまえばそれを元に戻すことはできない。訴える気力もなく、多くの患者は、泣き寝入りすることになる。
「片や医者は、医療ミスで刑事罰を受けても、一定期間の医業停止処分を受けるだけで、免許取り消し処分を受けたケースは聞いたことがない。医師免許がある限り、医者を続けられるのです」
元朝日新聞医療担当編集委員で医療ジャーナリストの田辺功氏はこう話す。
診断できない医師のせいで手遅れになったというケースも、まま報告されている。栃木県在住の福嶋祥子さん(仮名・60代)もその一人だ。
子宮からと思われる出血が気になって、福嶋さんは地元のクリニックを受診した。何度か検査を受けたが、E医師は「問題ありません」と言うばかり。E医師は国立大学医学部の教授も務めた人物で信頼を寄せていたが、症状はどんどん悪化していった。
「がんじゃないですか?」
福嶋さんは、思い切ってE医師に訴えたが、逆上されただけだった。
「そのくらい僕には分かるよ。あんたはがんなんかじゃない!」
医師にこう怒鳴りつけられて、福嶋さんは他の病院で診てもらおうと決意した。
「子宮頸がんのステージVで、腫瘍はすでに8cmになっています。なんでここまで放置していたんですか」
受診した総合病院の医師に言われて愕然となった。
「今年1月、総合病院の先生から『長くて1年だと思って下さい』と言われました。当初は悔しくて悔しくて、E医師を恨みました。ですが今はもう諦めました。覚悟はできています」
余命告知から9ヵ月が過ぎた。「新しいことをしてもむなしい気がして」と、語る福嶋さんは、抗がん剤の副作用と闘いながら、一日、一日を過ごしている。
■死後に請求書が届く
医師を選ぶ際、肩書や病院の規模に惑わされてはいけない。医師個人の治療技術とそれは、必ずしも一致しないからだ。さらには、クリニックに掲げられる診療科も当てにはならない。前出の医療ジャーナリスト・田辺氏が言う。
「日本では、医師免許さえあれば、自分の専門にかかわらず、外科、産婦人科、小児科などどんな看板でも掲げられる。これでは、医療過誤が増加して当然です」
こうした制度の問題もあり、最近増加しているのは、「ブラック在宅医」だ。訪問診療を専門とする在宅医は、マンションの一室があれば開業できるため、急増しているという。
千葉県に住む坂井利一さん(仮名・83歳)は、肺がんを患い地元の病院に入院していた。だが、高齢で手術もできない状態のため、在宅医療を受けることを決意。
退院した翌日、契約した在宅クリニックから突然、業者がやってきて、介護用ベッドにポータブルトイレなど様々な用具が運び込まれ、家に設置されていった。
その後、在宅医がやってきて診察したのだが、「胸が苦しい」との坂井さんの訴えに、モルヒネの貼り薬を胸や背中に何枚も貼るだけで、帰っていった。
モルヒネの過剰投与により、坂井さんは昏睡状態となり、翌朝、亡くなってしまった。最期のひとときを家族と穏やかにすごしたい、そんな坂井さんの願いは一晩で消え失せた。その翌日、坂井家には、介護用品のレンタル料、配送費で20万円もの請求書が届いたという。
*
これが、現在の日本の医療の現実である。自らの権威にしがみつき、患者の命とカネを奪っていくブラック・ドクターは少なからず存在するのだ。
「医者同士が集まって意見を交換する学術会議(学会)や医師会が何のために存在しているのか。本来、患者の命を救うために存在すべきですが、そうではありません。自分たちの権威を守るため、いかに医者の生活を守っていくかばかりに必死になっているんです。権威が、患者を騙すためのツールになってしまっています。そんな偽の衣をまとった医者は、詐欺師、犯罪者、人殺しだとも言えるでしょう」(前出・南淵医師)
すべてを医者任せにすることが、どれほど危険なことかがおわかりいただけただろうか。あなたもいつか、ブラック・ドクターに出会う可能性は十分にある。少しでも不安を感じたら、セカンドオピニオンを受けることもためらわないほうがいいだろう。それを申し出て医師が拒むようなら、それはいい医師とは言えない。その被害者にならないためには、まずは、医者を過信しないことから始めるべきなのかもしれない。
[週刊現代」2013年10月5日号より
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