01. 2013年6月04日 07:23:58
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薬剤師免許をもつ身から思う医薬品ネット販売 January 11, 2013 21:00:17 テーマ:日々のつぶやき 2009年6月、唐突に厚生労働省の省令(省が定めるルール)にて、一般医薬品のネット販売が禁止されたのは、まだ記憶にあたらしいし、実際に困っておられる方も多いのではないかと思っております。 そのネット販売禁止という省令が、最高裁判にて違憲であるという判決がくだされ、3年半にわたって禁止されていたネット販売が、11日本日より解禁となりました。大衆薬のネット販売解禁へ 厚労省、最高裁判決受け(日経) 筆者は大学では薬学部に在籍しており、薬剤師の免許も所持していることもあり、このニュースには色々と思うことがあります。 まず、高校の先輩でもあり、大学、前職の先輩でもある、ケンコーコム代表取締役社長の後藤さんには、ここまで戦ってきて見事勝ち取った勝利におめでとう御座います!と伝えたいと思っております。 間違いなく国を相手にここまで戦うというのは、並々ならぬ努力と忍耐、そして莫大な弁護士費用がかかったはずで、それを賭してまで戦って頂いたお陰でネット通販を待ち焦がれる消費者に光明を見出したのは間違いありません。 ただ、筆者としてはこの議論はまだまだ続きそうだなというポイントがあると考えています。 【判決の中身】 まず、正しい情報を掴むために実際の判例をみてました。 −最高裁判所の判例
さすが判例といったところで事実関係がよく記載されています。 *以下、裁判に至るまでの経緯(判決より筆者のまとめ) @ケンコーコムはじめ原告は旧薬事法の下で、インターネットを通じて医薬品の郵便販売を実施していた。(旧薬事法では禁止されていない) A厚生労働省は、医薬品は対面販売するように指導または、通知を度々おこなっていた。 B但し、旧薬事法で禁止されていないため、インターネットを通じて医薬品の郵便販売を実施する業者が増えてきた。 C郵便販売される医薬品の中には、一般医薬品の中でも副作用の可能性がある医薬品(現在の第1類医薬品)も提供されていた。 D国会で、危険性の低い医薬品はコンビニでも売れるようにしたらいいんじゃないかという答弁があった。そして薬剤師が不在の場合は危険性の少ない医薬品を販売に限ればいいのではないかという意見があった。 E厚生労働省の諮問機関にて、一般医薬品を原則対面販売とする旨が含まれた報告書を作成し公表した。 FEを受け、厚生労働省は、旧薬事法の改正法案を作成し、国会に提出 G衆参両院にて賛成多数で改正薬事法が可決 H厚生労働省にて可決を受け、新薬事法に関連する省令を作成 I但し、内閣府に設置された規制改革委員会では、新薬事法には郵便等販売を禁止する明示的な規定もなく、郵便等販売が危険ということも立証されていないので、郵便等販売の規制は撤回する旨の見解を示した。 J厚生労働省のアンケートによると、郵便等販売の規制に関する意見2353件のうち2303件は、第三類以外の医薬品も郵便等販売すべきという意見となった。(残りの50件はなんだったのでしょうか。。) K厚生労働省より、第一類及び第二類医薬品の郵便等販売を規制する旨を含んだ省令が公布・施行された。 ※裁判に至るまでの経緯終わり 結構なやり取りがあったんですね。 そしてこの郵便等規制の省令をめぐり、主な会社が裁判を起こします。 最高裁判まで戦い、判決の根拠としては下記となります。 ※以下、判決の根拠(判決より筆者まとめ ・医薬品の販売規制は、国民の生命・健康を守るため。 ・国会議員・業者・専門家・消費者には、郵便等販売が安全性で対面を下回るという証拠が立証されておらず、消費者の利便性を毀損するという意見が相当数あった。 ・旧薬事法では認めたことを、禁止することによる職業活動の自由(憲法における権利)を著しく毀損している ・厚生労働大臣が制定した省令が、新薬事法の趣旨に違反しないというためには、国会で再度議論んして、薬事法自体を改正すべきである ・新薬事法制定の時には、明確に郵便等販売を禁止するという意思は含まれていないため、薬事法からも違反している。 ※判決の根拠終わり →よって、原告(ケンコーコム側)の勝訴とする。 ここまでかなり長くなりましたが、要するに厚生労働省が突っ走って規制した要素が強いので認めないという趣旨ですね。 この判決を見る限り、省令は違憲とされておかしくないと思うし、一つの省庁がこのように1人歩きして大きな範囲に影響を与えるルール作りをしてしまうことに少し恐怖を覚えます。 じゃ、ネット販売が許可されて良かったねといわれると正直にいい事ばかりではないのかなと思っています。 【今回の判決影響−株価】 まず、新たに設定された登録販売者(一般医薬品販売に必要な資格、薬剤師は免除)の仕事は減る可能性があります。また、出店攻勢をかけるドラッグストア業界にも少なからず影響はあるでしょう。一方、ネット販売を行う事業者は息を吹き返すとおもいます。 ちなみに、2013年1月11日の株価は下記の通りです。(抜粋) ・ネット通販:ケンコーコム−前日比26.6%値上がり ・店舗型:スギHD−前日比1.3%値上がり 意外と両方値上がりしていますが、ケンコーコムの値上がり率はかなり高いですね。 店舗型のマツモトキヨシは、若干の値下がりというところをみると、市場では店舗型の業態にはそれほど影響ないとみなされている感じです。 【今回の判決影響−消費者】 今回の判決を自覚をもって受け止めて、一般医薬品の正しい使用に努めてる義務がより高まったと思います。ネット通販で無茶苦茶なことをすれば、厚生労働省はまたこの議論を再燃させてくるでしょう。そんなことにならないように是非、正しい使用をお願いしたいです。 薬は、使用を誤れば毒です。 【今回の判決影響−ネット通販業者】 無茶な業者が現れないかということが本当に心配です。 厚生労働省のもともとの発想は、全く見当はずれではないと思います。 医薬品をろくに管理、指導もせず渡すということはないようにお願いしたいです。 【まとめ】 今回感じたのは、厚生労働省や業者含めそれぞれがあるべき姿をきっちりと議論したところはいいのではないかと思います。厚生労働省も消費者を守ろうという発想です。ただ、正論が1人歩きしてしまったというところが大きな問題点です。
一般用医薬品のインターネット販売の事実上容認で見える薬剤師のビジョン 2013年1月に最高裁で審議されていた「一般用医薬品のインターネット販売」に対する厚生労働省の省令について、判決が下りました。 結果はインターネットという媒体を使って一般用医薬品を販売することは可能という判断でした。 この判断は、医薬品を使用上の安全性からと、憲法で保障された事業者の権利の両面から審議された結果出された答えです。 つまりイメージ的には、富山の薬売りや置き薬は良くて、インターネットで一般用医薬品を販売することを規制するのはおかしいという感じでしょうか。 今までも医師の処方を必要としない医薬品については、店頭、対面販売以外でも売っていたわけで、これをインターネットだからダメだということは、既存の既得権を侵害することになるという訳です。 この判決を受け、2月に入り厚生労働省は新たなインターネット販売の枠組みを考えるためのプロジェクトを発足させました。 省令で新しい規制の枠組みを作るのでしょうけれど、基本的なところでネットを利用した販売チャンネルは守られるということです。 薬剤師が独立しやすくなりました これで今後薬剤師の活躍できる場が増えたわけですが、注目しているのは、独立しやすくなったという点です。 薬剤師が独立しようとしても、現状では利益を十分に確保できるような立地条件で物件を揃えて、店舗開業するのはけっこう難しいと思うのです。 全国の大きな病院の門前スペースは既に埋まっていますし、ドラッグストアも郊外型大規模店の出店も、相変わらず熾烈を極めています。 まあそのために管理薬剤師の求人は、おそらく今年も多く出てくるのでしょうけれど、独立となるとこういう相手と競合していかなくてはならないわけです。 ただインターネットの販売であれば、資本をたくさん持っているところが必ずしも有利だとは言えません。 少しの工夫と行動で、個人でも売り上げがしっかり確保できるネットショップは立ち上げられます。 副業としてでもいいでしょうし、独立前のビジネススキルを磨くためでもいいでしょう。 この機会をチャンスだと思って、挑戦してみてはいかがでしょうか。 コールセンターの求人も増える また大手薬局やサプリメント販社のコールセンター求人も今後増えてくると思います。 OTCとは違いますが、直接患者さんや一般の方と対話しながら働きたいという方で、育児などの時間的な制約がある方にとっては、効率的な働き方ではないでしょうか。 将来のキャリアプラン作りも薬剤師転職サイトで 一般用医薬品のインターネット販売が認められたことだけでなく、これからの少子高齢化社会を支えるためのセルフメディケーション事業の展望など、これからはますますいろいろな動きが活発になっていくことでしょう。 TPPもそうですし、大きな国の枠組みが変わる時はチャンスなのは間違いありません。 しかしそのチャンスが生かせる人と、そうでない人で、大きな格差が生まれることも間違いではありません。 将来のキャリアプランを自分自身のライフプランと合わせて、正確で新鮮な情報を収集し組み立てていくことが大切ですが、そのためには多くの情報が集まる薬剤師転職サイトを利用しておくことが賢明だと思います。 薬剤師転職サイトは、何も自分が転職をするためにだけ利用するものではありません。 無料で毎日配信されてくる医療ニュースや、様々なセミナー情報など、生かせるものがたくさんあるからです。 私もm3.comの情報は毎日読んでいます。 |