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健常者(左)と筋ジストロフィー患者の筋肉の顕微鏡写真。患者の筋肉では中央付近に壊死(えし)が見られる =国立精神・神経医療研究センター提供
異常遺伝子に「ふた」 筋ジスに新薬 日本でも7月治験開始
http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20130528/dms1305280710006-n1.htm
2013.05.28 夕刊フジ
全身の筋肉が徐々に衰える難病、筋ジストロフィーに対する治療薬の開発が活気づいている。日本も参加した英製薬企業の国際共同臨床試験(治験)が最終段階にあるほか、日本発の新薬候補も治験の計画が進む。これらを可能にしたのは、異常がある遺伝子の一部に「ふた」をして残りの部分の機能を生かすという新しい発想の技術だ。
■3500人に1人
治療薬が見えてきたのは、筋ジスの中で最も多いデュシェンヌ型。国立精神・神経医療研究センター(東京)の武田伸一トランスレーショナル・メディカルセンター長は「いよいよこうした段階に来ました」と話す。
この型は男児約3500人に1人の割合で発症。10歳ごろから歩けなくなり、20〜40代前半で心不全や呼吸不全により死亡することが多い。根本的な治療法はなく、国内の患者は約4000人と推定されている。
原因は筋肉の構造を保つのに必要な「ジストロフィン」というタンパク質をつくる遺伝子の異常。遺伝子はよく、タンパク質の「設計図」と呼ばれるが、設計図の異常のため、患者の細胞では正常なジストロフィンタンパク質が合成されず、筋肉細胞が壊れていく。
遺伝子そのものに手を加える遺伝子治療の研究が1990年代初めから行われたが、大きな成果は挙がっていなかった。
■短くても機能
そこへ提唱されたのが「エクソンスキップ」と呼ばれる手法だ。エクソンとは、遺伝子の中にあり、タンパク質を構成する個々の部品の設計図のようなもの。異常がある一部のエクソンに、化合物で「ふた」をして設計図を読み飛ばし、残りのエクソンでタンパク質を合成する試みだ。
これによってできるタンパク質は通常より短いが、ジストロフィンとしての機能は正常に近いことが分かった。
2000年代に世界で動物などの実験が積み重ねられ「人の治療に使えるという機運が高まった」と武田さん。その1つが武田さんらによる研究で、筋ジス症状を再現した犬に「ふた」の役目をする化合物を投与した結果、筋肉でジストロフィンが作られ、歩行能力も保たれた。
■大手も参入
患者が少ない希少疾患の薬の開発に消極的な大手製薬の姿勢に変化が出てきた。英グラクソ・スミスクラインは、デュシェンヌ型で最も頻度が高い遺伝子異常を対象にしたエクソンスキップによる新薬の治験を開始。初期の試験で有望な成績が得られたとして、日本の12人を含む約20カ国約180人の患者が参加する最終段階(第3相)の治験を10年に開始。7月ごろ終了する見通しだ。
武田さんらも5月上旬、日本新薬(京都)と、医師主導の治験を7月をめどに始める計画を発表した。対象はデュシェンヌ型で2番目に多い遺伝子異常。10人程度に点滴で化合物を投与。18年の販売開始を目指す。
ほかに第一三共(東京)も、エクソンスキップを活用した治療薬開発に着手する方針を今年2月に発表している。
エクソンスキップには課題もある。長期間の投与が必要で、より高い安全性が求められることなどだ。
患者、家族らでつくる日本筋ジストロフィー協会の貝谷久宣理事長は「治療法への期待は非常に大きい。一方で患者は、自分たちの遺伝情報を提供し日本の研究を支えてきたという自負もある。患者が納得できるような公平なやり方で治験が進むことを望んでいる」と話している。
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