03. 2013年3月09日 00:55:14
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日本の医療事情:再生医療 2013年03月07日(Thu) The Economist (英エコノミスト誌 2013年2月23日号)「現時点で世界最高の市場」 2012年のノーベル医学生理学賞を共同受賞した山中伸弥教授〔AFPBB News〕
男性の主な手本が派手な髪型をしたテレビ「タレント」のように思える国で、山中伸弥氏(50歳)は異色な存在だ。 科学者である山中博士は、成熟細胞を初期化して人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作り出す研究で、2012年のノーベル医学生理学賞を共同受賞した。 だが、同氏の研究人生には失敗も多かった。失敗は日本ではめったに許されないことだ。ノーベル賞を受賞すると、彼は一躍ヒーローとなった。 この驚きに輪をかけるように、山中博士の研究は、人口と製造業の「高齢化」が急速に進む国に進取の精神を生み出した。商売気のある科学者たちはiPS細胞の特許を使って、例えば高齢者の失明を防ぐために網膜組織を再生させる新たな手法を発明しようと大忙しだ。 政府は1100億円を投じて、そうした事業を支援することを約束している。 進む制度改革に世界の製薬大手が舌なめずり 山中博士の成功は折しも、日本が医薬品を承認し、その対価の支払い、投与する方法を大きく転換させた恩恵を得始めた時に訪れた。その狙いはイノベーションを促進し、高齢化に伴う医療費の上昇を抑えることだ。世界最大規模を誇る医薬品メーカー各社は舌なめずりをしている。 「外国の(医薬品)メーカーにとって、日本は今、最高の市場だ」。ロビー団体である米国研究製薬工業協会(PhRMA)の日本代表、アイラ・ウルフ氏はこう話す。 ウルフ氏によると、多国籍企業上位8社は2011年に日本での売り上げが12〜31%増加し、同氏いわく「新興国市場」並みの成長率を記録した。各社は現在、最も優秀な研究員を日本に送り込んでいるという。 規制緩和は3つの分野で実現した。まず、政府は新薬の審査期間を短縮し、米国や欧州の承認プロセスに遅れが生じる日本の「ドラッグラグ」を取り払った。 厚生労働省に代わって医薬品の認可手続きを行う医薬品医療機器総合機構(PMDA)は大幅に拡充され、2008年から審査時間を短縮し、新薬の承認件数を増やした(図参照)。
昨年には、山中博士の再生医療などの最先端技術に対する判断を改善するために、外部の専門家による科学委員会を立ち上げた。 「これは日本の産業の存続にかかわる問題だ」とPMDAの矢守隆夫氏は述べる。 第2に、薬価制度が見直されている。これまで新薬の価格は2年おきに値下げされ、開発費をカバーすることが難しかった。 大手医薬品メーカーが来年以降も継続を望んでいる試験構想の下では、新薬の価格は特許の存続期間中は維持されることになり、製薬会社はより多くの利益が見込めることになる。これを受けて、既に日本での研究開発(R&D)が活発になってきたとウルフ氏は言う。 第3に、当局は販売される医薬品の3割(数量ベース)をジェネリック医薬品にすべきだと述べており、この目標はほぼ達成されている。これは、旧来のブランド薬品から得られる息の長い収入に依存する小規模な日本の製薬会社に打撃となったが、その他企業には役立つ。 国際化を急ぐ日本の製薬大手 そんな中、日本の大手製薬会社は国際的に事業を拡大している。武田薬品工業は2011年にチューリッヒに本社を置くナイコメッドを約140億ドルで買収した。同社はその後、さらに5〜6件の買収を行っている。 日本企業は国外に事業を多角化せざるを得ないと感じている。というのも国内では、R&D予算だけでも大半の企業の売上高全体を上回る世界の大手製薬会社と張り合うのが難しいからだ。日本製薬工業協会の会長を務める手代木功氏は「我々は海外に進出せざるを得ない」と語る。 日本の医療制度は先進国世界で最も安く、最も質が高い部類に入る。だが、高齢化が進むに従い、医療費がかさみ、厳しい選択を迫られることになる。 麻生太郎財務相は最近、過剰債務を抱える国の負担を軽減するために、高額の末期医療を受けている高齢者が「さっさと死ねる」ようにすべきだと述べた。 サクセスストーリーと呼べるのはまだ先 麻生財務相の発言は激しい怒りを買ったが、重要なポイントも提起した。日本の保健・医療当局は治療の費用対効果を判断するために、「医療技術評価」として知られる仕組みについて議論し始めている。 業界はこれが薬価の抑制に利用されるかもしれないと懸念している。その場合、イノベーションを鈍らせることになる。だが、技術評価により、公的医療が改善される形で支出の配分が見直される可能性もある。 眼組織の再生など高齢者の役に立つ新製品は大きな成長機会を提供すると、コンサルティング会社イプソスヘルスケアのウィリアム・ホール社長は言う。 だが、企業が繁栄するためには、日本はまだベンチャーキャピタル企業や新規株式公開(IPO)市場を発展させ、大学と企業の連携強化を図る必要があると同氏は考えており、「これはまだサクセスストーリーではない」と話している。
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