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http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20121120/dms1211200711004-n1.htm
2012.11.20 夕刊フジ
「特発性血小板減少性紫斑病(ITP)」という厚生労働省指定難病がある。血液を固める働きを担う血小板が著しく減り、皮下出血などの症状が引き起こされるが、原因ははっきりしない。国内の患者は約2万人。毎年約3000人が発症する。2年前に血小板を劇的に増やす新薬が登場し、治療は大きく変わったが、希少疾患のため専門医が少なく、患者は情報不足に悩んでいる。そんな現状を打開しようと、初の患者会が発足した。
▽9割が慢性化
10月下旬、血液疾患の情報発信に取り組むNPO法人「血液情報広場・つばさ」が都内でITPをテーマにした集会を開き、全国から100人を超える患者が詰め掛けた。この病気に詳しい慶応大病院血液内科の宮川義隆医師ら専門医が講演。質疑応答では、自分自身の症状や治療について尋ねる患者が相次いだ。
「ITPに関する情報は極めて少ない。患者さんたちは自分の受ける治療が正しいのか、確信が持てず不安なのです」と宮川医師は話す。
ITPとはどんな病気なのか。血小板は通常、血液1マイクロリットル(マイクロは100万分の1)中に15万〜40万個含まれるが、ITPでは10万個以下に減る。血小板減少は白血病や貧血、感染症などさまざまな病気で生じるが、ITPではこうした基礎疾患が見当たらない。
急性型と慢性型の2タイプがあり、急性型は子供に多いが、その9割は自然に治る。一方、大人は9割が慢性型に移行する。女性患者は男性の約2倍で、特に30代と60代での発症が目立つ。
▽免疫の異常
宮川さんによると、近年、発症の仕組みが徐々に解明されてきた。要因の一つは、外敵から体を守る免疫機構が血小板を異物と誤認して攻撃、脾臓での血小板破壊が異常に活発化すること。もう一つは、血小板を作る細胞で「トロンボポエチン」という物質が不足し、新たに生み出される血小板が減ってしまうこと。両者が相まって発症すると考えられている。
「症状はあざや鼻血、月経過多が多い。約1%と頻度は低いが、脳出血や肺出血、消化管出血で亡くなる人もいます」と宮川医師。血小板数が3万以下だと、健康な人に比べて死亡率が4・2倍高くなる。女性の場合、妊娠や出産に対する不安感も大きいという。
治療は血小板数が3万以下、または出血症状があるときに開始する。必ずしも血小板数を正常値に戻す必要はなく、デスクワーク中心なら2万〜3万以上、軽作業なら5万以上、運動をするなら8万以上というように、年齢や症状、ライフスタイルに応じて必要な血小板数の維持を目指す。
▽一人じゃない
もしも患者がピロリ菌感染者なら、まず除菌を行う。胃がんの原因とされるピロリ菌だが、除菌が成功すると約60%の患者で血小板の増加が認められる。次の選択肢はステロイドの投与や脾臓の摘出。しかし、ステロイドは投与をやめると多くが再発し、糖尿病や骨折など副作用も多い。脾臓摘出は約70%の患者で根治を期待できるが、免疫力低下で感染症にかかりやすくなる欠点がある。
そこに登場したのが「トロンボポエチン受容体作動薬」という新薬。ほかの治療で効果がなかった難治患者でも8割に有効。致命的な出血が回避でき、患者のQOL(生活の質)が改善する。「治療戦略が変わった。ただし根治はできず、薬剤費が高いなど課題もあります」(宮川医師)
この日、集会の最後にITPの患者会発足が宣言された。孤立していた患者同士が支え合い、情報交換を進めていく。つばさ理事長の橋本明子さんは「情報は力を生む。きょう、皆さんのネットワークができました。一人じゃないというのは強いことです」と述べた。
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