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財務省、医療扶助に切り込む
生活保護見直し巡り、一部自己負担を提言
医師会など反発必至
来年度の予算編成に向けて生活保護の見直しを巡る攻防が激しくなってきた。社会保障関係費の効率化を最優先の課題とする財務省は生活保護費(3.7兆円)の約半分を占める医療扶助に自己負担の導入を提言した。価格が安い後発医薬品の使用を受給者に義務付けることも求めた。ただ日本医師会などの反発は必至で、年末をヤマ場とする調整は難航しそうだ。
財務省は22日に開かれた財政制度等審議会の分科会に提案した。政府は8月に概算要求基準を定める際、生活保護費の扱いについても「聖域視しない」との文書を閣議決定した。財務省はこの文書を出発点と考えてきた半面、これまで具体論に踏み込んでいなかった。
今の制度では生活保護受給者の通院や入院にかかる費用は全額公費負担となる。試算によれば、30〜39歳の世代で生活保護1人あたりの医療費(外来)は年間で12.7万円で、一般の人の2.7倍に達している。
財務省は個人への負担を求めていないことが、医療機関による「過剰診療」や医療費の膨張につながっていると分析する。診療をあらかじめ抑制する効果を見込み、一部自己負担の導入を提言。最大で医療費の1割の支払いを窓口で求める制度を想定している。受診のためにタクシーを利用し、交通費を請求する人が多い状況も指摘し、改善を求めた。
価格の安い後発医薬品に関しては、一般の人と比較すると、生活保護受給者の使用率が低い。この現状も、動機づけがないことに加えて自己負担がないことで「医師が積極的に後発薬を処方しようとしない背景がある」とみている。
制度見直しの決定権を持つ厚生労働省では慎重論が根強い。三井辨雄厚労相が今月初めの就任後、自己負担の導入にいったん前向きな姿勢を示したものの、直後に訂正。厚労相は現在「慎重に検討したい」との答弁に終始する。
背景には関係団体からの強い反対がある。日本医師会は自己負担の導入について「今の状況では行き過ぎだ」との見方を示している。医療費の大小とは別の観点から生活保護を議論すべきだとの意見も根強い。弁護士らでつくる生活保護問題対策全国会議代表幹事の尾藤広喜弁護士は「自己負担の導入で最低限の生活保障を下回ることになり、憲法違反だ」と語る。
衆院選が近づくほど、政府・与党内で「改革よりも配慮」を求める声が大きくなるのは確実だ。だが中途半端な見直しや問題の先送りにとどまれば、「聖域なき見直し」の看板は色あせる。
[日経新聞10月23日朝刊P.5]
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