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ネット薬局で販売されている偽造ED治療薬。本物に比べると容器のデザインや薬の色が微妙に違うという
ED治療薬、偽造品の疑い ネット薬局は95%不正サイト
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/living/cooking/582292/
2012/08/08 09:54 産経新聞
ED(勃起障害)治療薬を製造・販売する4社が、日本人向けのインターネット薬局の実態を調査したところ、95%が不正サイトだったことが分かった。こうしたネット薬局から入手する医薬品は偽造品だったり品質が劣化したりしている可能性が高い。効果がないだけでなく重篤な健康被害も起きており、日本製薬協会を含む世界の4製薬団体は先月、取り締まりを強化することを求める共同声明を出した。(平沢裕子)
◆病原菌も検出
ED治療薬は、日本では医師の処方箋がないと購入できない医療用医薬品で、日本の薬局がネットを通じて販売することはできない。しかし、海外に開設されたネット上の薬局からの個人輸入は可能だ。
調査は、4社(ファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリー)が、ネット薬局の監視・認証サービスを行っているレジットスクリプト社に依頼。昨年秋、グーグルとヤフーの検索エンジン上で検索を行い、該当したネット薬局3636店について、処方箋医薬品の販売実態などを分析した。
その結果、処方箋医薬品を販売、または販売を促すサイトは1836あり、そのうち95%は処方箋の提出を求めないで販売したり、犯罪組織などから医薬品を輸入したりしている不正なサイトだった。こうしたサイトから取り寄せた偽造ED治療薬について異物・微生物検査をしたところ、約半分から黄色ブドウ球菌や緑膿菌などの病原菌が検出された。
ファイザーの池田哲也セキュリティ・オフィス部長は「偽造薬の多くは中国の工場など不衛生な施設で作られている。有効成分を含まないだけでなく、病原菌で汚染されている可能性もある」と指摘する。
◆海外では死亡例も
海外では偽造ED治療薬の服用による死者も出ており、日本でもさまざまな健康被害が報告されている。聖路加国際病院内分泌代謝科の出雲博子部長は昨年、偽造ED治療薬の服用で重篤な低血糖症を起こした40代の男性患者を診察した。意識がもうろうとした状態で運び込まれた男性は、最初の問診で前日に飲酒したことは話したが、偽造ED治療薬を服用したことは話さなかったという。出雲部長は「当時はEDの偽造薬があることを知らなかった。検査しても低血糖の原因が分からず、詳細な問診のし直しでようやく分かった。もし原因が分からないままだったら、治療が遅れて死亡した可能性もあった」と振り返る。
不正サイトについて、警察庁は発信元のサーバーが置かれている関係国などにサイトの削除要請に乗り出している。しかし、削除されたのと同じ数だけ新たな不正サイトができるなど、完全排除は難しいのが現状だ。一方、海外では正規のサイトを守る仕組みを作ることで、不正サイトを排除する取り組みが始まっている。
金沢大学国際保健薬学の木村和子教授は「日本では不正サイトからの個人輸入が簡単にできてしまう。個人輸入の薬で副作用が出ても被害救済制度は使えない。健康被害に遭わないためにはまず買わないことだ」と話している。
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