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日本うつ病学会は7月26日、国内初となるうつ病のガイドラインを公表した。精神科専門医に限らず一般医も対象とし、鑑別をきめ細かく行った上で軽症者への安易な薬物療法を避けるよう求めたのが特徴だ。
ガイドラインの名称は、「日本うつ病学会治療ガイドライン II.大うつ病性障害 2012 Ver.1」(pdfはこちら)。「精神疾患の診断・統計マニュアル テキスト修正第4版」(DSM-IV-TR)の分類を採用した。うつ病治療においては現在、精神科薬物療法研究会が1998年にまとめた「気分障害の薬物治療アルゴリズム」(2003年に改訂)が広く浸透しているが、最近10年間で患者数が急増したほか、治療薬の新たな副作用の注意喚起や有効性を巡る議論があった。そのため、最新のエビデンスを盛り込んで学会として初めてガイドラインを作成した。
ガイドラインではまず、うつ病の治療計画の策定について解説。双極性障害や発達障害、他の精神疾患などとの鑑別のため、理学所見や既往歴、家族歴、生活歴、ストレス因子の評価、睡眠の状態、自殺念慮などを治療前にしっかり確認すべきとした。その上で、自殺企図の有無や家庭環境を勘案して外来治療か入院治療かの適応を判断し、急性期、回復期・維持期ごとに患者の心理状況を踏まえながら、精神科専門医と連携して治療することが望ましいとした。
治療内容は、軽症うつ病、中等症・重症うつ病(精神病性の特徴を伴わないもの)、精神病性うつ病の3つに分けて記載した。
軽症うつ病は、「DSM-IV-TRの大うつ病エピソードのうち軽症とされるもの」と定義。近年日本で急増している多くの“うつ病”が、この軽症うつ病もしくはうつ病と診断される基準以下の抑うつ状態だと推測している。
軽症うつ病の治療の基本は、傾聴や共感などの受容的精神療法と心理教育。初診時に薬物療法を始めることは控え、治療経過の中で病態理解を深めて、体系化した精神療法や薬物療法の選択肢を検討すべきとした。
抗うつ薬の暫定的な処方については、否定はしていないものの、症状の注意深い観察が必要としている。双極性障害やパーソナリティー障害などの可能性を否定できない場合は、焦燥感や不安感の増大を避けるため安易な抗うつ薬の使用は避けるよう求めた。なお、薬剤の選択に当たっては、副作用や薬物相互作用などの特徴を考慮すべきと注意を促している。
「新型うつ病」はガイドラインの対象外に
中等症・重症うつ病に対しては、軽症より積極的な薬物療法を示しつつも、基本は1種類の抗うつ薬の十分量・期間の使用で、合理性のない多剤併用はしないことを強調した。第一選択薬に無反応の場合は薬剤の変更、部分反応にとどまる場合は気分安定薬などを併用する抗うつ効果増強療法を行うことが望ましいとした。
精神病性うつ病に関しては、双極性障害や妄想性障害、統合失調症における精神病後抑うつなどとの鑑別が重要とし、抗うつ薬と抗精神病薬併用療法を推奨した。精神病症状が比較的軽度であれば抗うつ薬単剤で治療を始め、効果不十分の際に抗精神病薬を追加する選択肢を示した。
なお、いわゆる「新型うつ病」は今回のガイドラインの対象外。出社はできないが余暇は楽しめるという、若年者に最近目立つとされる“病態”だが、「マスコミ用語である『新型(現代型)うつ病』などが、医学的知見の明確な裏打ちなく広まったため、混乱が生じている」とガイドライン中で指摘している。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/201207/526190.html
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