http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/518.html
Tweet |
「がん」と診断、自殺や心血管疾患のリスク高まる
https://aspara.asahi.com/blog/medicalreport/entry/iBsbS3O9wt
[12/05/11] 朝日新聞 aspara
坪野吉孝 《山形さくら町病院精神科・早稲田大学大学院客員教授》
がんの診断の直後には、自殺と、脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患による死亡リスクが大きく高まるという論文が、ニューイングランド医学誌に4月公表された。
スウェーデンの30歳以上の男女6,073,240人を対象に、1991年から2006年まで追跡調査を行った。この期間に新しくがんと診断された534,154人と、がんと診断されなかった残りの集団で、自殺率と心血管疾患の死亡率を比べた。
その結果、がんと診断されたグループはその他のグループと比べて、自殺により死亡するリスクが、がんの診断から1週間以内では12.6倍と大きく高まった。がんの診断から1〜4週では4.8倍、13〜52週では2.5倍、53週以降では1.8倍と高かった。
心血管疾患による同様の死亡リスクも、がんの診断から1週以内では5.6倍と、やはり大きく高まった。がんの診断から2〜4週では2.2倍、5〜26週では1.5倍、27〜52週では1.1倍、53週以降では1.2倍と高かった。
がんの診断から1週以内の自殺や心血管疾患による死亡リスクの高まりは、生存率の低いがん(肺・膵臓・肝臓など)でとくに大きかった。
◇ ◇
著者らによると、がんの診断後に自殺や心血管疾患の死亡リスクが高まることを示した研究は少なくない。けれどもその大半は、リスク上昇を「がんの治療の影響」や「がんの進行に対する負担」とむすびつけて解釈している。がんの診断の直後のリスクを調べることで、がんの診断そのものの心理的ストレスの影響を調べた研究は、わずかしかないという。
がんの診断直後(1週間以内)に、自殺と心血管疾患の死亡リスクが大きく高まることを、スウェーデンの成人の600万人を超える大規模な集団の追跡調査で示したことに、今回の研究の意義があるだろう。
研究の限界として著者らは、自殺や心血管疾患による「死亡」のリスクのみを調べていて、自殺「未遂」や心血管疾患の「発症」のリスクは調べていないため、がんの診断直後の心理的ストレスの影響を過小評価している可能性などを挙げている。
がんの告知にあたって患者が受ける心理的ストレスの大きさを考慮して、十分な精神的・身体的ケアを行う必要性を示したデータといえる。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。