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アインシュタインの言葉   西岡昌紀
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/484.html
投稿者 西岡昌紀 日時 2011 年 12 月 01 日 21:19:17: of0poCGGoydL.
 

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http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/4915973.html
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1800535798&owner_id=6445842


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 現在、発がんメカニズムについてがん遺伝子やがん抑制遺伝子などを中心に先端的な研究が世界的規模で大々的に展開されている。日々新しい事実が発見され、五、六年前の知見はすでに古くなるといった進歩の日々が続いている。しかし、このような知見がすべて発がんメカニズムの本質に関わるとは限らず、10年単位の時の経過でみれば、それらの多くは忘れ去られていくのが現実である。


(永田親義『がんはなぜ生じるか』(講談社・ブルーバックス)170ページより)

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近年、癌(がん)研究の分野で、まさに「革命的」としか言ひ様の無い変化が起きて居ます。

「癌は何故発生するのか?」と言ふ根源的な問ひに対して、これまで語られて来た考え方を根本的に見直す動きが進んで居るのです。

本当に、私が医学生時代、或いは研修医時代に学んだ事は何だったのか?と思はせられる程、発癌の仕組み(メカニズム)についての従来の説明は再検討を加えられて居ます。

特に、発癌における突然変異の役割について、近年加へられて居る検討には、驚くべき物が有ります。

京都大学工学部化学科で、ノーベル化学賞を受賞した福井謙一教授の下で、フロンティア電子理論を生命科学に応用する事に人生を捧げて来た生物物理学者、永田親義博士(1922−)は、最近の著作の中で、近年進む発癌のメカニズムについての再検討の一部について、こう書いておられます。

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 染色体数がその生物の基本数の整数倍になっていないものを異数体といい、ヒトの正常細胞は二倍数の46本であるが、これと異なる倍数体のものをいう。後で述べるようにがん細胞はほとんどが異数体になっているが、そのほかダウン症では常染色体のうちの一つが二倍体ではなく三倍体になっており、これが先天的に病気の原因になっている。異数体は細胞分裂における減数分裂のときに染色体の配分が不均等になり、染色体の消失、不分離、不対合が原因となって生じるもので、染色体異常の一つである。これはがん細胞に一般的なもので、ほぼすべてのがん細胞は異数体である。
 米国カリフォルニア大学バークレー校のデュースバーグは、1990年代以降がんは突然変異が原因ではなく、異数体が原因であるという説を主張している。染色体異常説を唱える研究者の多くが、突然変異と染色体異常の両者がともに発がんに関わると考えているのに対して、デュースバーグは突然変異は発がんに関与せず、異数体だけでがんになると強く主張する点で他の研究者と異なる。もちろん、この主張は自分たちの研究だけでなく、その他のたくさんの研究をも考慮した上でのことである。
 前に述べたように、染色体異常説が長く認められなかった最大の理由は、これはがんの原因ではなくがん化の結果生じたものであるというものであった。デュースバーグはこの問題を解決するために、チャイニーズハムスター胚細胞の培養株に発がん物質ジメチルベンツアントラセンを与えて細胞をがん化させる実験を行った。この場合がん化は約二カ月後に起こったが、がん化の起こる前、すなわち発がん物質を投与して二三日後に細胞を調べ、37パーセントが異数体になっていることを認めた。こうして異数体はがん化の前に起きている事を確かめ、異数体はがん化の原因ではなく結果にすぎないという従来の説を否定した。しかもがん化した細胞がすべて異数体になっていることも確かめた。さらにジメチルベンツアントラセンはチャイニーズハムスター細胞に突然変異を起こさないことから、突然変異が発がんの原因であるという考えも成立しない。この実験は培養細胞を用いたものであるが、動物を用いた発がん実験でもがん発生以前に細胞が異数体になっていることを確かめた実験がいくつかなされており、いま異数体説は大きな注目を集めている。
 デュースバーグは、このように異数体説が実験的によく発がんを説明できる一方で、突然変異説には多くの問題点があることを指摘している。すなわち、がん細胞のほとんどは異数体であり、さらにヘテロジェナスである事実を突然変異説は説明できず、これは致命的である。というのは、突然変異説によると一個の細胞が突然変異でがん化し、それが分裂をくり返していわゆるがんになると考えており、したがってがん組織の細胞はすべて最初にがん化した細胞と均質(ホモジェナス)なものということになる。ところが実際のがん組織の細胞は悪性度の高いものや低いものとか薬剤耐性のものやそうでないものなどの集まりでかなり不均質(ヘテロジェナス)であり、突然変異説ではこのことが説明できないというのである。
 また、発がん物質投与から発がんに至るまでなぜ長い潜伏期間を要するのか、その理由、さらにDNAに結合せず突然変異も起こさない物質で発がん性を示すものが多数存在する事実を説明できない。このようなことから、がんは突然変異で起きるという考えを厳しく批判した。前に述べたように、ブレーンも同じような考えを強く主張し、そのため発がんメカニズムの分野で一つのドグマとして認められてきた突然変異説は1990年代以降その立場が大きく揺らぎはじめた状況にある。本書のはじめに著者が発がんメカニズム研究の現状を混沌と呼んだのはこのことを指している。

(永田親義『がんはなぜ生じるか』(講談社・ブルーバックス)209〜212ページより)

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今、発癌のメカニズムについての再検討は、これほど根本的な事柄にまで及んで居るのです。

「余談」ですが、この文中で紹介されて居るカリフォルニア大学医学部のデュースバーグ(Duesberg)教授は、「エイズの原因はHIVではない」と主張する科学者たちの代表的論客でもあります。

そのデュースバーグ(Duesberg)教授のホームページ(http://www.duesberg.com/)には、次の様な言葉が掲げられて居ます。


"The important thing is to not stop questioning."
(大切な事は問ふ事をやめない事だ)

アインシュタインの言葉です。


2011年12月1日(木)
世界エイズ・デーに

              

                 西岡昌紀(内科医)


(関連する日記「HIVは本当にAIDSの原因か?」)
           ↓
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1800500926&owner_id=6445842
http://blog.livedoor.jp/nishiokamasanori/archives/4915609.html
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/483.html
(併せてお読み下さい)

 

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