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死亡や重篤な副作用を減らすという社会政策上はやむを得ないということらしいが
全て、任意接種で十分だろう
http://news.goo.ne.jp/article/mainichi/life/20110915ddm013100020000c.html?fr=rk
<ワクチン“後進国”なぜ>/上 国が勧奨、8疾患のみ
毎日新聞2011年9月15日(木)13:00
◇おたふく風邪、副作用訴訟で任意接種に 周期的流行、今も
「どうして、いつの間にこんなに差ができてしまったのか」。95〜08年に米国の複数の医療機関で医師として働いた斎藤昭彦・新潟大教授が、帰国してまず感じたのは、先進国に比べ「日本のワクチン接種があまりにも遅れている」ことだった。
米国では現在、B型肝炎、おたふく風邪、水痘(水ぼうそう)など13の疾患について国の責任でワクチン接種を実施し、基本的に無料だ。「米国では病院でかかる医療費が高いという事情もあり、ワクチンで防げる病気は予防接種で減らそうという意識が高い」と斎藤さん。90年代から次々にワクチン接種が増え、所定の接種を受けないと入学を拒否される場合もある。
一方、日本のワクチン接種は、国が勧奨し公費で負担する「定期接種」と、希望者が自己負担で受ける「任意接種」に大別され、「定期接種」はジフテリア、麻疹(はしか)、日本脳炎など8疾患に過ぎない。
8月13日に東京都内で開かれた日本小児科学会の国際シンポジウムでも、ワクチン接種がテーマの一つになった。基調講演した国立病院機構三重病院の庵原(いはら)俊昭院長は、おたふく風邪(流行性耳下腺炎、ムンプスとも)を例に挙げた。
おたふく風邪はウイルスで感染し、耳の下が腫れ、発熱や頭痛、食欲低下などが1週間程度続く。頻度は低いが、脳の髄膜炎や難聴などの合併症を伴う。死亡はまれだが、3〜6歳を中心に年間5000人前後が重い症状で入院。思春期以降に感染すると、精巣の萎縮や精子の減少が起きたり、妊婦は流産の危険性もある。
日本では「任意接種」で、接種率は統計がないものの、「ワクチンの製造量から推定して30%程度とみられる」(庵原さん)という。
庵原さんは「おたふく風邪のワクチン接種を1〜2回行うと、発症者が約90〜95%も減ることがイギリスやノルウェーなどの調査で分かっている。先進国27カ国でワクチンをしていない(任意にしている)のは日本だけ。おたふく風邪の怖さが認識されていないのではないか」と訴えた。
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なぜ、重症化の恐れがある感染症でも、予防のためのワクチンが任意接種なのか。日本赤十字社医療センターの薗部友良・小児科顧問は「日本のワクチン接種が遅れたのは訴訟による影響が大きい」と見る。
おたふく風邪は、MMR(麻疹、おたふく風邪、風疹)ワクチンの一つとして、日本でも89〜93年に予防接種が義務付けられていた。しかし、接種した約1800人が発熱、嘔吐(おうと)などを伴う「無菌性髄膜炎」の被害に遭った。副作用は約1000人に1人の割合にのぼり、子供が急性脳症で死亡するケースも出た。遺族らが国やワクチンメーカーを相手取った損害賠償請求訴訟が相次ぎ、国がほぼ全面的に敗訴した。
MMRワクチンは中止され、94年には予防接種法が改正。ワクチン接種は強制的な義務から、「予防接種を受けるよう努めなければならない」という努力義務に変わった。8疾患のワクチン接種は続いたが、接種を受けるかどうかは本人や保護者の判断に任された。
以降、国の定期接種は高齢者向けのインフルエンザを除き、一つも増えていない。厚生科学審議会での予防接種制度の見直し論議も進むが、「財政が厳しく、定期接種を増やすと予算がかかるのがネック」(厚生労働省担当者)との事情もある。
現在のおたふく風邪のワクチンは改良され、無菌性髄膜炎の副作用の発症率は約2000〜2万人に1人の割合とされる。しかし強制でなくなったことで、かえって「接種は危ないのではないか」というマイナスイメージも残っている。
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任意接種のワクチンでも、有用性を認めて積極的に接種を進めている医師もいる。
三重県亀山市の「落合小児科医院」の落合仁院長は約20年間、おたふく風邪のワクチン接種に取り組んできた。接種した子供は約6000人にのぼる。05年には同市内で約300人がおたふく風邪になる集団感染があり、1人が難聴になった。しかし、接種した子供たちからはこれまで「難聴のような重い症状は出ていない」(落合さん)という。
亀山市も08年度から、おたふく風邪のワクチン接種に、1人3000円の助成を始めた。同小児科医院での接種費用は8000円のため本人負担は5000円だ。同市の3歳時点での接種率は約7割と高く、落合さんは「接種率が90%になれば、流行をほぼ抑えられるのでは」と期待する。
おたふく風邪の国内の患者数は数年ごとに流行の周期があり、02〜07年では年間約43万〜136万人(国立感染症研究所まとめ)。これに対し米疾病対策センター(CDC)によると、米国(人口約3億人)では昨年で約980人と極めて少ない。厚労省のまとめでは、おたふく風邪のワクチンを公費で一部助成するのは水戸市、名古屋市など61市区町村(昨年3月時点)にとどまっている。
庵原さんは「どのワクチンでも副作用をゼロにはできない。しかし、おたふく風邪は1歳を過ぎて早めに接種すれば、間違いなく発症を相当に防ぐことができる」と国の定期接種化を求めている。【小島正美】
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日本のワクチン政策は「途上国並み」といわれる。どんな病気がワクチンで防げるのか。現状を3回にわたりリポートする。
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◇定期接種
予防接種法に基づき、国の責任のもとで市区町村が勧奨する接種として行う。健康被害が出た場合は健康被害救済制度の対象となり、症状に応じて給付金が払われる。一方、ワクチン自体は国で承認されているものの、定期接種には組み入れられていないワクチンもある。医師や医療機関が自発的に行う任意接種で、おたふく風邪や水痘、B型肝炎などがある。任意接種で副作用が出た場合は、国の承認ワクチンなら、一般の医薬品の副作用救済制度の対象となる。「定期接種」と「任意接種」の二つがあるのは世界でも珍しい。
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■ワクチン接種の日米比較
日本 米国
ジフテリア ○ ○
百日ぜき ○ ○
破傷風 ○ ○
麻疹(はしか) ○ ○
風疹 ○ ○
ポリオ ○ ○
日本脳炎 ○ ×
BCG ○ ×
おたふく風邪 ▽ ○
水痘(水ぼうそう) ▽ ○
ヒブ ▽ ○
肺炎球菌 ▽ ○
ロタウイルス ▽ ○
B型肝炎 ▽ ○
子宮頸(けい)がん ▽ ○
○…国が公費で実施
▽…希望者が本人負担で行う(自治体の助成や健康保険の適用がある場合もある)
×…接種を実施していない
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