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毎日新聞 1月24日(月)10時47分配信
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110124-00000041-mailo-l12
◇東京の区、入院要請 県内の病院が受け入れ
長期の療養治療が必要な患者を受け入れる療養病床を持つ県内の病院が、東京都内の自治体の要請で高齢者を入院させるケースがあることが、医療関係者の証言で分かった。この中には生活保護受給者も含まれているという。都内で介護サービスを受けられない「介護難民」だけでなく、受け入れる病院が見つからない高齢の「医療難民」も、県境を越えて流入している実態が浮かんだ。
【森有正】
◇高齢患者、行き場なく
「療養病床」は、長期にわたる療養治療を必要とする主に高齢の慢性疾患患者や要介護認定者を受け入れるベッド。速やかな治療を要する急性期患者などを受け入れる「一般病床」などと区別され、配置すべき医師数や診療報酬の算定方法も異なっている。
取材に応じた40床前後の療養病床を持つ県内の都市部の病院は、「地域密着の医療」を経営方針としている。だが病院の幹部によると、江戸川、江東、葛飾、墨田区など県に近い東京都の特別区から高齢患者の受け入れを要請され、最大で病床の約2割(8人)を受け入れている。自治体以外にも、都内の病院や福祉関係者からも受け入れを要請されるという。
要請の際には、区の担当職員などから「先生のところで受けてくださるという話だが、お願いできないか」などと電話で頼まれ、病院側は「ベッドに空きがあるので、1人なら受け入れる」などと応じる。要請される患者には、生活保護受給者も少なくないという。
療養病床を持つ病院は全国的に少なく、特に都内など大都市部で足りていない現状を踏まえ、病院幹部は「うちのような(都内から受け入れを要請される)療養病院は県内に多いはずだ」と話す。
病院長も、行き場のない東京の高齢患者が県内に流入し、病院が受け皿となっている実態を認めた上で、その背景について「都内の病院はそれだけコストがかかる。医療が必要な高齢者を誰かが診なければならない。療養病床は診療報酬が低く厳しい。昔は『医は仁術』と言ったが、今は『医は算術』だ。医療制度が悪く、今はその『算術』すら難しい」と語った。
この病院の療養病床は現在ほぼ満杯で、大部分が高齢者。脳内出血による半身不随などで寝たきりとなった患者が多く、現時点で9年間入院している患者もいるという。
入院患者のうち生活保護受給者は8人ほどで、身寄りがない場合が多く、その際には入院治療費の支払いや死亡時の対応は福祉事務所が行う。また、生活保護をもらっておらず家族がいる患者でも、家族がほとんど見舞いに来ず、病院に任せきりとなっているケースも少なくないという。
◇療養病床の争奪・玉突きも
療養病床の現状について、県北東部の病院関係者は「入院治療を必要とする高齢者の行き場がない現状が続いている。うちの療養病床でも、なるべく近くに住む患者を受け入れたいが、空きがない場合には近県の病院にお願いしなければならない」と話す。
また、身寄りのない高齢者の生活支援を行う県北西部のNPO法人の代表は「以前、医療が必要なお年寄りを受け入れてくれる県内の病院を探し、見つからないことが何度かあった。その時は茨城県内の療養型の病院にお願いした。しかし、遠方でスタッフもなかなか見舞いに行けなかった」と、厳しい現状を打ち明けた。高齢者の増加に伴い、限られた療養病床の争奪や“玉突き”が起きていることをうかがわせる。
療養病床は高齢者の長期療養のほか、脳疾患の後遺症を抱える患者にリハビリ(機能回復訓練)を施したり、地域で在宅介護を受ける高齢者の緊急受け入れ先となるなど、多様な役割を負う。県医療整備課によると県内の病院(診療所を除く)の療養病床数は05年には1万323床だったが、昨年は9902床で減少傾向にある。
療養病床は、医療保険を使って治療を行う「医療療養病床」と、介護保険を使って介護サービスを行う「介護療養病床」に大別される。医療費や介護保険給付の膨張を踏まえて国は当初、2012年3月末までに病院や診療所の介護療養病床を全廃して介護老人保健施設などに移し、医療療養病床も減らす方針だった。これを受けて県も12年度療養病床を7940床まで減らす案をまとめていた。
だが、長妻昭・前厚生労働相は昨年9月、他施設への転換が進んでいないことなどを理由に「廃止は困難」と表明。療養病床の扱いは宙に浮いた状態だ。
【森有正】
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