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厚生労働省は8月26日、来年度の概算要求を発表。「元気な日本復活特別枠」には、医師確保や子宮頸がん予防のための事業などを盛り込んだ。ただ、インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチンや肺炎球菌ワクチンなど、ほかにもワクチンがある中、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンに対してのみ予防事業の予算化を要求したことについて、首をかしげる医療関係者は少なくない。足立信也大臣政務官は、翌27日に開かれた厚生科学審議会感染症分科会予防接種部会において、子宮頸がん予防事業の目的は情報収集のためであると自ら説明した(関連記事:2010.8.30「予防接種部会の下に小委員会が発足」)。
一般会計は総額28兆7954億円で、今年度当初予算の27兆5561億円から1兆2393億円の増額。一般会計には、251億円を要求した救急医療・周産期医療の体制整備や、158億円を要求した新型インフルエンザ等感染症対策と予防接種制度の見直しなどが盛り込まれた。一般会計のうち、年金・医療などにかかる経費は、今年度当初予算から1兆2359億円増の27兆5012億円で、一般会計の増額分のほとんどを占めた。
また、来年度予算の目玉である特別枠には1287億円を要求。医療関連では、地域医療支援センター(仮称)の運営経費に17億円、臨床研修指導医の確保事業に29億円、チーム医療の実証事業に16億円を要求した。
医師不足解消に向けた施策として厚労省が検討している地域医療支援センターは、医師不足の病院などに医師を派遣するほか、派遣した医師のキャリア形成を支援する拠点とする。自治医科大や医学部の地域枠を卒業した医師を派遣することが想定されている。設置運営の主体は都道府県となるが、厚労省は全都道府県に同センターが設置されるのではないかとみている。
臨床研修指導医の確保事業では、全国959カ所の臨床研修病院のうち、医師不足の診療科に対して財政支援を行う。また、チーム医療の実証事業では、現在、省内のチーム医療推進会議で検討している特定看護師(仮称)やチーム医療の効果や課題について検証する。
特別枠ではほかにも、子宮頸がん予防事業に150億円、働く世代への大腸がん検診事業に55億円、国民の安心を守る肝炎対策の強化事業に39億円、不妊に悩む人への特定治療の支援事業に119億円を要求した。
子宮頸がん予防事業では、ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種事業を行っている市町村に対して、その費用の一部を助成。ワクチン接種の対象年齢や情報提供のあり方などについて情報収集する。大腸がん検診事業では、大腸癌検査キットを利用して自宅で大腸癌検査を実施できる体制を構築するため、市町村が実施する大腸癌検診推進事業に要する費用の一部を助成する。
また、肝炎対策の強化事業では、B型肝炎、C型肝炎について肝炎ウイルス検査の促進、治療を支援するほか、不妊治療の支援事業では、不妊治療にかかる医療費の助成対象となる回数の拡大や所得制限の緩和など、助成の充実を図る。
研究開発関連では、難病や肝炎の研究、癌ワクチンの開発、医療情報データベース構築などを進める「健康長寿のためのライフ・イノベーションプロジェクト」に233億円を要求した。2011年度の予算は、例年通りなら12月末にも閣議決定される見込み。
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