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保健室でホメオパシー 沖縄の養護教諭、生徒に砂糖玉(朝日新聞)
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/342.html
投稿者 紋次郎 日時 2010 年 9 月 02 日 13:24:30: jbgA1T.GBKPAY
 

http://www.asahi.com/national/update/0901/TKY201009010511.html?ref=goo
http://www.asahi.com/national/update/0901/TKY201009010511_01.html

沖縄県名護市の公立中学校の養護教諭が5年以上前から、保護者や校長、校医の了解を得ずに、民間療法「ホメオパシー」で使う「レメディー」という砂糖玉を、保健室で生徒に日常的に渡していたことがわかった。複数の生徒や卒業生によると、教諭は「普通の薬はいけない」と話していたという。保健室に特別の装置を持ち込み、砂糖玉を加工していたという。校長や同市教育委員会は本人から事情を聴き、中止するよう指導した。

この養護教諭は、普及団体「日本ホメオパシー医学協会」が認定する療法家。卒業生によると、この中学校に赴任した2006年度当時から、体調不良を訴える生徒にホメオパシー療法で使うレメディーという砂糖玉を渡していたという。レメディーは、植物や昆虫の成分など「症状を起こす物質」を水に薄めて、しみこませた砂糖玉。

日本学術会議は先月下旬、ホメオパシーについて「科学的根拠がなく荒唐無稽(こうとうむけい)」とする会長談話を出している。

生徒や卒業生は「頭痛や生理痛で保健室に行くと、『レメディーは副作用がない』と言って渡された」「普通の薬はダメと言われた。部活の遠征にもレメディーを持たされた」などと話している。ある生徒は「熱が出た時も『家で飲みなさい』と渡された」という。

新型インフルエンザが流行した昨年、「インフルエンザを予防できるレメディー」を渡され、予防接種を受けなかった生徒もいる。

また、この養護教諭は、砂糖玉をレメディーに変換するという装置を保健室に持ち込んでいた。縦横が約30〜40センチほどの装置で、症状に応じて生徒の目の前で砂糖玉を加工していたという。

一部の生徒は、このレメディーについて「思いこみ薬」と呼んでいた。

この養護教諭は、沖縄の全小中学校の養護教諭約440人が加入する任意団体「県養護教諭研究会」の元会長で、07年12月には、日本ホメオパシー医学協会の由井寅子会長を沖縄に招き、養護教諭向けの講演会も開いている。同協会の会報誌に「教育現場で利用して10年になる。改善したことは多々あるが、トラブルは一度もない」と書いている。

養護教諭は朝日新聞の取材に「直接の取材は受けない。質問は文書でホメオパシー医学協会に」と話した。同協会からは回答がなかった。

同校の校長は「許可した覚えはない。砂糖玉であっても『病気が治る』と言って渡しているのであれば問題」と話し、即、中止するよう指導した。校医も「効果があるかわからないものを、生徒に勧めるのはよくない」と話した。(岡崎明子、長野剛)


 

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コメント
 
01. 2010年9月02日 13:51:51: AQqyLULhMc
効果があるないよりも、こっちが問題だろ!
   ↓
普通の薬はダメと言われた。

02. 2010年9月02日 17:04:57: xBoaPzm6b6
病気というのは気の持ちようで、効くと思って飲むと砂糖や小麦粉の類でも効果があると聞きます。現代医学使用されている薬は、熱や痛みなどの症状は消してくれますが、病気そのものを治してはくれないようです。逆に副作用の方が問題になっています。
ホメオパシーは、今話題の砂糖だけでなく、微量の毒物で大きな効果をあげており、ドイツやイギリスでは正当な治療法とも聞いています。
今の日本の医療行政や薬事行政に影響を与えられると困るので、批判ばかり集中していますが、少し冷静になって公平な立場から見てもいいのではないでしょうか。

03. 2010年9月02日 18:09:21: L0TE8cTeWY
>>02
ホメオパシーは効果をあげてませんし、それはドイツでもイギリスでも同じです。
一番の問題は、ホメオパシーに何かしらの効果があると信じこみ、現代医療より優先してしまうことです。

ホメオパシーが批判される理由は陰謀などではなく、ホメオパシーを使う人に問題があるからです。


04. 2010年9月03日 02:23:37: Tco2CmjAo6
「治療」と言いながら患者を薬漬けにして悪化させる例は西洋医学でもゴマンとある。

「今やアメリカの大きな死亡原因の一つは処方薬である」とニュージャージー医歯大学比較保健政策教授のドナルド・ライト氏も語っております。
http://www.pharmalot.com/2010/08/drugmakers-actually-make-lemons-not-medicines/

しかも新薬の85パーセントは「新しいベネフィットがほとんどない」のだとか。
"independent reviewers found that about 85 percent of new drugs offer few if any new benefits. At the same time, though, prescription drugs are now a significant cause of death in the US due to toxic side effects or misuse."

こうした最近の動向に敏感に反応したのでしょうね、カネで動く世界のご老人たちは。

この養護教諭、問題もあるのでしょうがなかなか立派じゃないですか。


05. 2010年9月03日 05:16:28: FCqgaGIeAQ
どう考えても、校医でもない養護教諭の勝手な判断を認めることなどできない。
薬漬け問題があるからといって、この養護教諭の暴走を認めろとの主張には反対する。
こんな養護教諭のいる学校に家族・親戚を通わせることなど、怖くてできない。
沖縄に親戚はいないから、よかったが。
「インフルエンザを予防できるレメディー」、コメントで支持してる人がいるのを見ると、笑い飛ばすこともできない。むしろ怖い。
新型インフルエンザは毒性が弱かったからよかったが、鳥インフルだったら、、
そのうち盲腸の生徒に「盲腸に効くレメディー」ってのを渡して手術しないで手遅れなんてことになるかも。

06. 2010年9月03日 11:42:02: L0TE8cTeWY
>>04
現代医療に何か疑義があるからといって、ホメオパシーが正しいという論理にはならない。

個々の問題において論文や臨床情報により医療のあり方を議論するのならともかく、「薬漬け問題があるから」という大雑把な疑義で不安を煽って、代替医療を肯定するのは霊感商法と変わらない。


07. 2010年9月03日 23:06:07: Uj0daPKq1Y
実際に害はなく、おそらく治った生徒もいたはず。法的にはともかく、現代医学の薬の副作用=毒で死んだり、病状を悪化させるケースも多いのが真実ではないのか?

論文は、現代医学を正当化し科学的だと思わせるためにあるともいえる。

臨床例が圧倒的に多い現代医学と同様の臨床例を出せというのは、
代替医療を臨床に使うことを否定する主張と真っ向から矛盾している。


08. 2010年9月04日 01:05:22: efYVZoX4UE
>>02

>病気というのは気の持ちようで、効くと思って飲むと砂糖や小麦粉の類でも効果があると聞きます。

>があると聞きます ???????????

>病気そのものを治してはくれないようです。

くれないようです ??????

>ドイツやイギリスでは正当な治療法とも聞いています。

とも聞いています ????????

>ドイツやイギリスでは正当な治療法とも聞いています。

http://www.nicovideo.jp/watch/sm11404088



09. 2010年9月04日 02:05:31: efYVZoX4UE
>>7

>実際に害はなく、おそらく治った生徒もいたはず。

自然治癒。

>法的にはともかく

アホ。

>現代医学の薬の副作用=毒で死んだり、病状を悪化させるケースも多いのが真実ではないのか?

真実。
で、ホメで治せるのか?
治せるなら、なんで治さない?
ホメが誰かの命を救ったなどという話は、過去200年間聞いたことがない。

現代医学で治せない病はたくさんある。
医療の現場では、患者の命を救えなかった多くの医者が涙を流している。
常に「限界」を背負って現場で奮闘している彼らを、お前らは「ただの水」を片手に嘲笑し、蔑んでいるだけだろう。

100年前、現代医療では「たかが虫垂炎」に罹った人々は、当時の「現代医療」では成すすべもなく、悶え苦しみながら死んでいった。
当時「死の病」だった虫垂炎を、「3日の入院」で快癒させるまでに進歩させたのは誰だ?
ストレプトマイシンを発見し、それまで「白いペスト」と呼ばれて恐れられていた結核から、何億人の命を救ったのは誰だ?


VK2問題で死んだ赤ちゃん、現代医学の処方どおりにVK2を与えていれば、今、この一瞬、その輝かしい未来を我々とわかちあっていただろう。
あの赤ちゃんの未来を奪ったのは誰だ?
お前には、答える義務がある。

俺はお前を、「人殺し」と呼ぶに躊躇しない。


10. 2010年9月04日 03:45:13: AQqyLULhMc
> 実際に害はなく

いいえ、ホメオパシーのせいで、山口県で乳児が死亡しています。
助産師がビタミンK2シロップを与えなかったからです。

ホメオパシー信者は自分だけでなく、他人にも普通の薬を与えようとしません。
それも、養護教諭、助産師といった自分の権限を悪用して薬から遠ざけようとします。
その結果、最悪なことが起こってしまったのに、まだ、実際に害はないなどとノーテンキなことを言っている。
この責任は乳児を死亡させてしまった助産師だけでなく、ホメオパシーを広めようとしていた全員にとってもらわねばならない。


11. 2010年9月04日 05:12:34: gHiFwQme5A
こちらの方がもっと怖ろしい

現代医療という恐るべき大量殺人ビジネスの実態!
http://hon42.com/iryou/kou.html


12. 2010年9月04日 05:22:45: gHiFwQme5A
こちらの方の責任は誰がとるの?

http://hon42.com/iryou/funab2.wma
船瀬俊介氏講演会の一部、短縮した録音です。前半一部と後半と質疑応答などは含まれません。


13. 2010年9月04日 05:44:10: gHiFwQme5A
http://www.asyura2.com/09/iryo03/msg/338.html?c17#c16
こちらの方がずっと怖ろしい。日本の精神医療の実態は。

14. 2010年9月04日 05:48:13: gHiFwQme5A
>>09
こちらも批判してもらいたいものだが。

病院には殺人罠が仕掛けられていた!
患者を毒牙にかける現代医学という
マッチポンプ医猟の実態
http://hon42.com/iryou/kou15.html


15. 2010年9月04日 12:46:14: FCqgaGIeAQ
でたでた、あいつらも悪いことやってるよー
子供の論理。
先に自分たちの責任を果たせよ。
山口の乳児死亡で助産婦は正しかったのか間違っていたのか
ますその見解を示せ。

16. 2010年9月04日 14:28:43: zC8I3UJfGU
>>13 さん

スレ違いかもしれませんが、「職場うつ」や「向精神薬による自殺」が社会問題にもなっていますので、長くなりますがこちらに少しデータを加えておきます。

うつ病にしても統合失調症にしても、アメ玉(プラセボ)のほうが薬物治療よりもはるかに予後が良いことを示す医学研究論文です。

「薬物を投与することで精神病を引き起こし、将来にわたって安定顧客に・・・」

そのように批判されても仕方のない現実があります。

なぜならば、EMB(エビデンスに基づいた医療)を唱えながら、以下のようにエビデンスのある治癒率・寛解率の高い治療法を無視し、自らが薬を売らんがための医療しか行っていないからです。

ーーーーーーー
うつ病関連論文

A. うつ病の自然経過

抗うつ薬の使用が広がる以前は、うつ病エピソードは自然に回復するものであるというのが、米国国立精神保健研究所(NIMH)の公式見解であり、二回目エピソードを経験することは高い頻度でないものとされていた。1964年、NIMHのジョナサン・コールは「うつ病というのは全体的に、治療のあるなしにかかわらず、最終的には回復する非常に予後の良い精神状態の一つである」と記している。NIMHの専門家がこのようにうつ病の自然経過を理解し、抗うつ剤が回復までの時間の短縮に役立つ可能性はあっても、長期回復率を上昇させることはないと考えていた。その理由について、NIMHのうつ病部門長であるディーン・シュイラーは、ほとんどのうつ病エピソードは「なんらの特別な介入がなくとも自然に治癒し、事実上完治するため」と1974年に述べている。

B. 慢性化の問題の登場

精神科医による抗うつ剤を使った患者治療が始まるとともに、一度はそれで良くなった患者が、抗うつ薬をやめると決まってうつ病を再発させるのを経験する精神科医の登場。薬剤が短期的には役立っている可能性もあるが、薬剤よって患者を慢性的に長期化させている可能性もある。

1. 『再発性重症うつ病』‐ Van Scheyen, J. Psychiatry, Neurologia, Neurochirugia 76 (1973):93-112.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Recurrent%20vital%20depressions.PDF

概略:オランダ人研究者、J.D. Van Scheyen は、文献レビューと独自の調査研究。「長期計画的抗うつ剤投薬は、ECT治療のあるなしにかかわらず、重症うつ病の再発に矛盾した効果を及ぼしている。言いかえれば、この治療的手段は再発率の増加と、サイクル耐久性の減少に関連する」と結論。同様に抗うつ薬がこの病気の慢性化を引き起こしているとする観察は、他の精神科医の意見にもみられる。

C. 抗うつ薬への暴露後に見られる高い再発率

1970年代および1980年代、抗うつ薬を断薬した患者が高い割合で「再発した」とする、NIMHやその他機関からの報告がある。

2. 『鬱病における三環系抗鬱薬による継続治療の評価』‐ Mindham, R. Psychological Medicine 3 (1973):5-17.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/An%20evaluation%20of%20continuation%20therapy%20with%20tricyclic%20antidepressants%20in%20depressive%20illness.PDF
概略:断薬した患者の50% が6か月以内に再発しているとするイギリス人研究者による論文。

3. 『アミトリプチリンによる維持療法』‐ Stein, M. American Journal of Psychiatry 137 (1980):370-1.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Maintenance%20therapy%20with%20amitriptyline.PDF
概略:抗うつ薬の断薬患者のうち69%が6か月以内に再発したことを報告するペンシルバニア大学の研究者による論文。「患者の多くに臨床症状の急激な悪化があった」とする。

4. 『単極性および双極性気分障害の再発予防における薬物治療』‐ Prien, R. Archives of General Psychiatry 41 (1984):1096-1104.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Drug%20therapy%20in%20prevention%20of%20recurrences%20in%20uinpolar%20and%20bipolar%20affective%20disorders%20.PDF
概略:うつ病患者の71% が断薬後18か月以内に再発したことを報告するNIMH のロバート・プリーンによる論文。

5. 『抑鬱症状のフォローアップ調査』‐ Shea, M. Archives of General Psychiatry 49 (1992):782-87.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Course%20of%20depressive%20symptoms%20over%20followup.PDF
概略:種類の異なる4タイプの治療法(2タイプの心理療法、抗うつ薬、プラセボ)のNIMH が行った18ヶ月間の比較研究。病初で抗うつ薬治療を受けた患者群の予後が最も悪かったことが研究終了時に判明。

6. 『大うつ病の抗うつ薬治療における断薬』‐ Viguera, A. Harvard Review of Psychiatry 5 (1998): 293-305.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Discontinuing%20antidepressant%20treatment%20in%20major%20depression.PDF
概略:ハーバード大の研究者による再発に関する文献のメタ分析。少なくとも断薬患者の50パーセントが14ヶ月以内に再発したと結論。

E. 薬剤性慢性化の問題についての議論

1990年代から2000年代の初め、イタリアの精神科医ジョヴァンナ・ファヴァは、うつ病エビソードに苦しむ患者が抗うつ薬のせいでどれだけ慢性的な病気にされているかを、いくつもの論文の中で繰り返し述べている。

7. 『抗うつ薬や抗不安薬は気分障害の慢性化を助長するか?』‐ Fava, G. Psychotherapy and Psychosomatics 61 (1994):125-31.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Do%20antidepressant%20and%20antianxiety%20drugs%20increase%20chronicity%20in%20affective%20disorders.PDF
概略:「向精神薬が、少なくともいくつかのケースにおいては、治療対象であるはずの病気の進行を実際は悪化させている可能性があることを議論し、その研究に取りかかるべき時期に来ている」と、ファヴァはこの論文に記す。

8. 『抗うつ薬による長期薬剤治療はうつ病を悪化させうるか?』‐Fava, G. Journal of Clinical Psychiatry 64 (2003):123-33.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Can%20long-term%20treatment%20with%20antidepressant%20drugs%20worsen%20the%20course%20of%20depression.pdf
概略:脳は抗うつ薬による神経伝達活動の摂動に対処するために適応化補正を行うが、「薬物治療を終了することで(補正の)プロセスにおいて対抗するものがなくなることによる薬物離脱症状が現れ、また再発の脆弱性を増すことにもなる」とする。(アブストラクトのみ参照可)

9. 『抗うつ薬ならびに浪費的専門家によるうつ症状と増感の抑制』‐Fava, G. Psychotherapy and Psychosomatics 64 (1995):57-61.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Holding%20on,%20depression,%20sensitization%20by%20antidepressant%20drugs,%20and%20the%20prodigal%20experts.PDF
概略:抗うつ薬が短期的にはベネフィットをもたらしうるが、長期的には患者のうつに対する脆弱性を増加させ、うつ病を悪化させる。

10. 『うつ病に対する抗うつ薬の潜在的感作効果』‐Fava, G. CNS Drugs 12 (1999): 247-56.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Potential%20sensitising%20effects%20of%20antidepressant%20drugs%20on%20depression.PDF
概略:抗うつ薬の使用は、うつ病をさらに悪性かつ治療に反応しない方向へと進行させる可能性がある。

11. 『向精神薬による維持療法の中断におけるリスクとその意味』‐Baldessarini, R. Psychotherapy and Psychosomatics 63 (1005):137-41.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Risks%20and%20implications%20of%20interrupting%20maintenance%20psychotropic%20drug%20therapy.PDF
概略:ハーバード大の精神科医、ロス・バルデサリーニによる論文。ファヴァの「疑問とそれにまつわるいくつかの事柄は・・・直視するのに心地の良いものではないが、今や心を開き、臨床的かつ研究的検討を真剣になすべき時期である」とする。

12. 『抗うつ薬の長期使用は抑うつになりうるか』‐El-Mallakh, R. Journal of Clinical Psychiatry 60 (1999):263.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Can%20long-term%20andtidepressant%20use%20by%20depressogenic.PDF
概略:「長期の抗うつ薬使用は抑うつになる可能性がある. . . 抗うつ薬はニューロンのシナプス配線に変更を起こしている可能性があるが、(これは)抗うつ薬を効果のないものにするだけでなく、難治性うつ状態の常在化を引き起こす」とある。

F. うつ病の変質

抗うつ薬がうつ病を慢性化させている可能性を正面から向き合って議論することなく、精神医学は--ひとつの分野として--薬剤を使わなかった場合のうつ病がどうなるかという新たな話を展開している。患者がうつ病エピソードから自然に回復し、その後も良好な状態を続けるとした初期の疫学調査は「誤りであった」とした上で、うつ病というのは慢性病なのであり、継続的な服薬が必要であることが新しい調査から判明したとする。確かに抗うつ薬による治療を受けている患者は、維持療法として服薬を続けているにもかかわらず、長期にわたってきわめて質の低い生活を送っていることを最近の研究は示している。(それでも、不良転帰(予後が良くないこと)の原因は病気にあり、薬剤が原因ではないという)

13. 『大うつ病初回エピソードからの不完全な回復は慢性的経過をたどることへの始まりなのか』‐Judd, L. American Journal of Psychiatry 157 (2000):1501-4
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Can%20long-term%20andtidepressant%20use%20by%20depressogenic.PDF
概略:薬剤治療を受ける単極性うつ病患者の3分の2は、抗うつ剤による初期治療に全く反応しないか、ごく部分的にしか反応せず、長期的な経過も良くない。NIMHからの助成金で行われたこの研究では「残存閾値下抑鬱症状を呈する大うつ病エピソードの消失は、それが初回エピソードであっても、のちに重症化して再発を起こし、慢性的経過をたどることになる第一歩であるように思える」と報告。

14. 『公立病院におけるうつ病外来患者の1年時臨床転帰』‐Rush, J. Biological Psychiatry 56 (2004):46-53.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/One-year%20clinical%20outcomes%20of%20depressed%20public%20sector%20outpatients.PDF
概略:ダラスの"テキサス・サウスウエスタン・メディカルセンター"の精神科医による研究。 ほとんどの臨床試験が、抗うつ薬に都合よく反応する「おいしい」患者だけを被験者にえり好みして行われていることを指摘。「えり好みのない現実世界」の患者を対象にした長期研究では、任意の期間に改善を示した患者はわずかに13%のみ。「こうした発見は、反応率や寛解率が実際には著しく低いことを示すものである」と結論。

15. 『スター D プロジェクト(The Star D Project)の結果』‐Warden, D. Current Psychiatry Reports 9 (2007):449-59.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/The%20Star%20D%20Project%20Results.PDF
概略:NIMHが行った4,041人の外来患者を対象とした「現実世界」の大規模臨床試験。寛解および1年間良好な状態を続けたのは20%未満に過ぎなかった。「大鬱病性障害のある人のほとんどが慢性的経過をたどり、エピソードと次のエピソードとの間に顕著な症状や障害を伴う頻度も高い」と、この論文の研究者たちは結論。

G. 薬剤治療あり 対 薬剤治療なし −うつ病の現状比較

抗うつ薬の使用が今のように広がる前は、うつ病患者は自然に回復するのが常であり、その多くに再発は見られなかった。しかし今日、大うつ病の診断を受け、抗うつ薬による投薬治療を施される患者の圧倒的大多数が再発を起こしている。では投薬治療を受けなかった場合のうつ病はどうであろうか。投薬治療を受けるよりも良い経過をたどるのだろうか。ヨーロッパ、カナダ、そして米国の研究者が、こうした疑問に答えるべく、様々な"自然主義的"研究を行ってきた。

16. 『プライマリ・ケアにおける不安障害と抑鬱障害の転帰』‐Ronalds, C. British Journal of Psychiary 171 (1997): 427-3.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Outcome%20of%20anxiety%20and%20depressive%20disorders%20in%20primary%20care.PDF
概略:うつ病患者148人を対象にイギリスで行われたこの研究では、服薬していない患者群は6ヶ月で症状が62%軽減したのに対し、投薬治療群ではわずかに33%であった。

17. 『再発にかかわるうつ病治療』‐Weel-Baumgarten, E. Journal of Clinical Pharmacy and Therapeutics 25 (2000):61-6.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Treatment%20of%20depression%20related%20to%20recurrence.PDF
概略:オランダ人研究者による10年時転帰のレトロスペクティブ研究。抗うつ剤による薬剤治療を受けずに回復した患者は76%で、その後一度の再発もなかったのに対し、抗うつ剤の投与を受けた患者では50%であったことが明らかに。

18. 『抗うつ薬による治療の公衆衛生への影響』‐ Patten, S. Population Health Metrics 2 (2004):9-16
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/The%20impact%20of%20antidepressant%20treatment%20on%20population%20health.PDF
概略:9,508人のうつ病患者を対象にカナダで行われた研究。うつ状態にあった期間が、投薬を受けた患者では年平均19週間であったのに対し、薬剤を服用しない患者は11週間であった。この研究結果から、「抗うつ薬による治療は、気分障害の長期経過を悪化させる可能性がある」としたジョバンニ・ファヴァの仮説が裏付けられたと結論。

19. 『プライマリ・ケアにおける大うつ病の予後に対する治療効果と発見』‐Goldberg, D. British Journal of General Practice 48 (1998):1840-4.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/The%20effects%20of%20detection%20and%20treatment%20on%20the%20outcome%20of%20major%20depressoin%20in%20primary%20care.PDF
概略:世界15都市のうつ病患者を対象に行われたWHOによる研究。うつ病を識別するスクリーニングのメリットを評価。1年後、向精神薬への暴露がなかった患者のほうが「全般的健康状態」がはるか良好であり、「うつ症状が以前より緩和」され、「精神疾患」とされる可能性も低くなっていたことが明らかにされている。

20. 『抗うつ薬の使用パターンとうつ病に関連した休業期間』‐Dewa, S. British Journal of Psychiatry 183 (2003):507-13.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Pattern%20of%20antidepressant%20use%20and%20duration%20of%20depresson-related%20absence%20from%20work.PDF
概略:1996年から1998年の間にうつ病で連続10日間仕事を休む短期障害を経験した1,281人をカナダの研究者が特定。抗うつ薬の処方を受けなかった人は平均77日で仕事に復帰していたのに対し、服薬群は職場復帰に105日を要していた。また長期障害を経験した人は、服薬しなかった群ではわずかに9パーセントであったのに対し、抗うつ薬を服薬した群では19パーセントであった。

21. 『未治療大鬱病の特徴と重要性』‐Coryell, W. American Journal of Psychiatry 152 (1995):1124-9.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/Characteristics%20and%20significance%20of%20untreated%20major%20depressive%20disorder.PDF
概略:うつ病で薬剤投与を受けた人と受けなかった人の転帰を6年におよぶ期間追跡調査。NIMHの資金提供によリ行われたこの研究では、うつ病の"治療"を受けた人は、受けなかった人に比べて "主たる社会的役割" の "休止" を被る可能性が3倍高く、"再起不能" に陥る可能性も7倍近く高い。NIMHの研究者は「ここで評価されている未治療の人たちは、(治療を受けた人に比べて)軽度で疾患が継続する期間も短かく、治療が施されなかったにもかかわらず長期的には社会経済的地位における有意な変化を示さなかった」と記している。

22. 『身体治療を施さない大うつ病の自然経過』‐Posternak, M. Journal of Nervous and Mental Disease 194 (2006):324-9.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Depression_files/The%20naturalistic%20course%20of%20major%20depression%20n%20the%20absence%20of%20somatic%20therapy.PDF
概略:NIMHが行った"未治療うつ病"に関する研究。薬剤治療を受けなかった患者の23%は一ヶ月で回復し、6ヶ月では67%、そして1年以内に85%が回復。この新しい研究は、1960年代後半にNIMHがうつ病に関して行った提言が正しかったことを示すもの。大うつ病発作に襲われる人のほとんどは自然に回復する。「身体治療なく85%ものうつ病の人が1年以内に自然治癒するのであれば、いかなる介入もこれに優る結果を実際に出してみせることは極めて困難であろう」と、本論文研究者。

● 米国が公費で行ったSSRIの有効性に関する研究(STAR*D)を詳細にメタ分析した結果、いずれも有効性を過大に評価したものばかりであり、実際にはプラセボをごく僅かにしか上回るものでしかなかったことが、8月28日にMedscape Medical Newsに発表され、現在ひとつのスキャンダルになっています。

(簡単な登録で読めますので、是非読んでみてください)
http://www.medscape.com/viewarticle/727323?src

● またSSRIの自殺を含む重篤な副作用に関しては、ようやく日本でも厚労省から注意喚起がなされるようになりましたが、「犯罪的行為である」と世界中の非難を浴びながらも、製薬企業の強力な政治的圧力によって、子供を対象とした抗うつ薬(SSRI)パキシルの治験が今なお日本で行われています。(9月終了予定)
http://www.bnet.com/blog/drug-business/glaxo-is-testing-paxil-on-7-year-olds-despite-well-known-suicide-risks/4836?tag=content;drawer-container

● すでにアメリカでは、パキシルの製造元であるグラクソ・スミスクライン社が発売前の治験の段階で子供に自殺衝動を引き起こす副作用があることを知りながら、それを隠して販売を続け、治験に携わった精神科医が様々なデーター操作を行っていたことも裁判で明らかになっています。(精神科医は現在も服役中)
http://www.neworleans.com/news/local-news/457519.html


ーーーーーーー

統合失調症関連論文

A. 慢性化の問題が明らかに (1960年代-1970年代)

1.米国国立精神保健研究所が実施した最初のフォローアップ研究

a) 『退院一年後』Schooler, N. American Journal of Psychiatry 123 (1967): 986-995.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Schooler%283%29.PDF
概略:入院時に神経遮断薬による治療を受けた患者とプラセボのみを服用させた患者合計299人の1年後転帰を調査。米国国立精神保健研究所が初めて実施したこの長期研究では、プラセボ投与を受けた患者群のほうが「3種類の活性フェノチアジンのうちのいずれかを服用した患者よりも再入院率が低かった」ことが判明。

2. 米国国立精神保健研究所が実施した再発に関する最初の研究

a) 『精神安定剤服用の慢性統合失調症患者による突然の服薬中止後に起こる再発』Prien, R. British Journal of Psychiatry 115 (1968): 679-86.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Prien%28a%29.PDF
概略:再発率は服用量に直接関連することが判明。抗精神病薬の服薬中止前の量が多ければ多いほど再発率は高かった。研究開始時点においてプラセボを与えられていた患者18名のうち、半年で悪化した患者はわずかに1人 (6%)。研究開始時にクロルプロマジンを300 mg 服用していた患者64人のうち、服薬中止後に54%が悪化。研究開始時にクロルプロマジン300 mg 以上を服用していた患者116人のうち、服薬中止後に66%が悪化。(p.684 図3 参照)

b) 『慢性統合失調症患者への化学療法の中止』Prien, R. Hospital and Community Psychiatry 22 (1971): 20-23.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Prien%28b%29.PDF

概略:再発率が抗精神病薬の服用量と相関して上昇することを発見した最初の研究の確認となる米国国立精神保健研究所による研究。研究開始時点においてプラセボを投与されていた患者30人のうち24週中に悪化したのはわずかに2人(7%)。研究開始時点に300 mgを超えない範囲でクロルプロマジンを服用していた患者99人のうち、投薬中止後に再発した患者は23%。300 mg から 500 mg の間で服用していた患者91人のうち52%が再発。500 mg 以上のクロルプロマジンを服用していた患者81人のうち再発したのは65%。研究者は、「再発は患者がプラセボを投与される前に服用していた精神安定剤の量と有意に関連する−量が多ければ多いほど再発の可能性が高い」と結論。 (p.22とp.23 参照)

3. ソラジン登場前と登場後の、5年転帰の比較

a) 『2つの5年追跡調査の比較』Bockoven, J. American Journal of Psychiatry 132 (1975): 796-801.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Bockoven.pdf

概略:ボストンの精神科医、Sanbourne Bockoven と Harry Solomon による薬物治療が始まる前と始まった後の時代での再発率の比較研究において、薬物治療が始まる前の時代ほうが良かったことが判明。1947年にボストン精神病院で治療を受けた患者の47%が退院5年後時点において再発がなく、76%は追跡調査期間終了時に地域での社会生活がうまく行われていた。対照的に1967年にボストン・コミュニティー・ヘルス・センターにおいて薬物治療を受けた患者のうち、その後5年間再発がなかったのは31%で、1947年の患者集団よりも全体としては福祉などの"社会的依存"がはるかに高かった。

また、1940年代と1950年代のはじめのニューヨーク精神病院での再発率をレビューした他の研究者らも同様の報告をしており、退院した統合失調症患者のおおよそ50%は追跡調査期間中も長期にわたり継続して良い状態を保ち、これは神経遮断薬を使った転帰よりも顕著に優れていると報告している。(Nathaniel Lehrman の"A state hospital population five years after admission: a yardstick for evaluative comparison of follow-up studies," Psychiatric Quarterly, 34 (1960), 658-681 および H.L. Rachlin による"Follow-up study of 317 patients discharged from Hillside Hospital in 1950," Journal of Hillside Hospital 5 (1956), 17-40 参照のこと)

4. 薬物療法を受けない患者の長期転帰に関する米国国立精神保健研究所が1970年代に実施した研究2題

a) 『薬物を使わない急性統合失調症の治療』Carpenter, W. American Journal of Psychiatry 134 (1977): 14-20.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Carpenter%282%29.PDF

概略:1977年に米国国立精神保健研究所が行った研究。心理社会的サポートを提供する病院の実験プログラムに参加した49人の統合失調症患者を投薬治療を受ける集団と受けない集団とに無作為割り付け。退院1年後に再発したのは非投薬集団ではわずかに35%であったのに対し、投薬治療を受けた集団では45%であった。また、うつ、感情の鈍化、緩慢な動作に苦しむ患者も投薬治療を受けた集団に多くみられた。

b. 『薬物を必要としない、もしくは禁忌とする統合失調症患者は存在するか』Rappaport, M. International Pharmacopsychiatry 13 (1978):100-111.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Rappaport.pdf

概略:カリフォルニア大学のMaurice Rappaport らが1978年に行った研究。アグニュー州立病院に統合失調症で入院する若年男性患者80人を投薬治療を受ける群と受けない群に無作為に割り付け。退院3年後に再発したのは投薬治療を受けなかった群ではわずかに27%であったのに対し、投薬治療を受けた群では62%であった。中でも注目すべきは、入院中に投薬治療を受けず、退院後も投薬治療を受けなかった患者24人のうち、その後に再発したのはわずか2人であった。研究終了時、この投薬治療を受けなかった患者24人は投薬治療を受けた患者よりも著しく高い機能が見られた。

5. ソテリア・プロジェクト

概略:1970年代、米国国立精神保健研究所の統合失調症研究部門で局長を務めるローレン・モッシャー(Loren Mosher)が行った実験。抗精神病薬剤の使用を少量にとどめた家庭的な環境(ソテリア)の中で行う治療と、病院内で行われる従来の治療との比較研究。2年後、ソテリアの患者は従来の抗精神病薬で治療を受けた患者に比べ、「精神病理学スコアーが低く、(病院への)再入院が少なく、また全体的適応性も良好」であった。プログラムを終え、その後も神経遮断薬を服用せずに2年のうちに再発したのはソテリア・ハウスで薬剤を使わない治療を受けた患者ではわずかに31%であった。

a) 『神経遮断薬を使わない統合失調症治療』Mathews, S. Schizophrenia Bulletin 5 (1979), 322-332.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Mosher%281%29.pdf

b) 『統合失調症の地域居住型治療』Mosher, L. Hospital and Community Psychiatry 29 (1978), 715-723
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Soteria-community.PDF

c) 『神経遮断薬を使わない急性精神病治療』Mosher, L. International Journal of Social Psychiatry 41 (1995),157-173.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Mosher%282%29.pdf

d) Treatment of Acute Psychosis Without Neuroleptics. Bola, J. The Journal of Nervous and Mental Disease 191 (2003):219-229.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Soteria2003.PDF

6. 悪いのは病気よりもその治療薬か?

a) 『抗精神病薬による維持療法』 Cole, J. American Journal of Psychiatry 132 (1977): 32-6.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/cureworse.pdf

概略:米国国立精神保健研究所精神薬理学サービス・センターの元所長、ジョナサン・コールが1977年に行い、抗精神病薬が無数の問題の原因であることを考えると「抗精神病薬による維持療法を受けている外来患者全員が薬剤を使わない適切な試みをためしてみるベネフィットを与えられてしかるべきであった」と結論。彼が論文につけたタイトルは「悪いのは病気よりもその治療薬か?(Is the Cure Worse than the Disease?)」

B. 薬剤が慢性化を引き起こす生物学上の原因

7. 薬剤性の過感受性精神病

概略:1970年代後半にマクギル大学の二人の医師、ガイ・チュイナードとバリー・ジョーンズが、薬物治療を受ける患者の高い再発率につながる抗精神病薬の引き起こす脳内の生物学的変化を確認。薬剤がドーパミン活性を抑制することで、脳はそれを補おうとドーパミンに対して"過感受"になる。特にドーパミン受容体密度の増加を薬剤が誘発している。ドーパミン機能の擾乱は長期的には患者が生物学的に精神病を起こしやすくなり、薬の投与中止で悪化して再発する。「神経遮断薬は、運動障害および精神病症状そのどちらをも引き起こすドパミン過敏性を起こしうる。そのような過敏性を発現した患者が精神病を再発しやすいのは、単に精神疾患の自然の成り行きで決まるものではなさそうである」が、チュイナードとジョーンズの結論。

a) 『神経遮断薬の投薬後に起きるドーパミン作動性の過敏性』 Muller, P. Psychopharmacology 60 (1978):1-11.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Muller.pdf

b) 『神経遮断薬によって引き起こされる精神病』: Chouinard, G. American Journal of Psychiatry 135 (1978):1409-1410.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Chouinard%282%29pdf.pdf

c) 『神経遮断薬によって引き起こされる精神病』: Chouinard, G. American Journal of Psychiatry 137 (1980):16-20.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Chouinard%281%29.pdf

d) 『神経遮断薬によって引き起こされる精神病、その「駝峰」と遅発性ジスキネジア』Chouinard, G. Journal of Clinical Psychopharmacology 2 (1982):143-4.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Chouinard%20and%20hump%20course-2.PDF

C. 25年の確認エビデンス

概略:1980年代の初めから精神医学がほとんど無視してきたのが「神経遮断薬によって引き起こされる精神病」の問題。しかしそれ以来、抗精神病薬が人を慢性疾患に至らせる可能性を高めている事実を確認する長期転帰に関する研究が数多く存在する。

8. 世界保健機関(WHO)による研究

a) 『統合失調症に関する国際的予備調査』Leff, J. Psychological Medicine 22 (1992):131-145.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/who1.pdf

概略:統合失調症の転帰を先進国と途上国で比較した『統合失調症に関する国際的予備調査』と題されたWHOによる初の調査。1968年に始まり、9ヶ国、患者1202人を対象としたもの。追跡調査開始2年後、5年後、どちらも途上国の患者のほうが状態が良かった。研究者の結論は、途上国の統合失調患者は「先進国の患者よりも経過、転帰、ともに良かった。その結果は臨床転帰、社会的転帰、あるいはその両方を考え合わせても同じであった。」インドとナイジェリアでは3分の2患者が、5年後の調査終了時には症状もなかった。しかしWHOの研究者はこうした転帰の明らかな違いを説明する変数を特定できなかった。p.132,142,143 参照

b) 『統合失調症: 異文化における予兆と罹患率、そして経過』Jablensky, A. Psychological Medicine, supplement 20 (1992):1-95.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/who2.pdf

概略:「重度精神障害の転帰決定要因」と題されたWHOによるこの種の調査としては2度目のもの。10ヶ国、1379人の患者を対象とし、『統合失調症に関する国際的予備調査』のひとつの追跡調査としてデザインされた。調査対象となったのは初回エピソード患者で、うち86%が発症1年以内であった。結果は1度目の調査を確認するかたちとなり、2年転帰は途上国の患者のほうがはるかに良かった。大まかには、途上国(インド、ナイジェリア、コロンビア)の患者は、37%が一度の精神病エピソードを経験しただけで、のちに全快。26.7%は2回もしくはそれ以上の回数で精神病エピソードを経験していたが、それでも2年の終了時には"完全寛解"していた。つまり、途上国では患者の63.7%が2年の終了時にはかなり良い状態にあったことになる。それに比べてアメリカやその他の先進国6ヶ国では、2年の終了時にかなり良い状態にあったとされる患者は、わずかに36.9%であった。研究者はこのように結論する−「先進国にいるということが、完全寛解に至らない強力な予知因子である。」
WHO の研究者はこの転帰の違いを説明できる変数を確定していないが、途上国では継続的に神経遮断薬による維持療法を受けていたのはわずかに15.9%であったのに対して、アメリカやその他の先進国では61%の患者が神経遮断薬による維持療法を受けていたことを指摘している。

9. バーモントの経時的研究

概略:1950年代から1960年代の初めにかけてバーモント州立病院に入院していた統合失調症患者の転帰を調査した長期研究。20年後、25%から50%の患者が完全に薬剤を断ちながら統合失調症の症状もその兆候も見られず正常な生活を送っていたことを報告。統合失調症の患者は生涯薬を飲み続けなければならないというのは「作り話」であり、現実には「生涯薬を必要とするのはごく少数であろう」が結論。

a) 『重度精神疾患を持つ人のバーモントにおける経時的研究 U』 Harding, C. American Journal of Psychiatry 144 (1987):727-734
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/vermont2.pdf

b) 『統合失調症治療にまつわる7つの虚構、その実験的補正』Harding, C. ACTA Psychiatrica Scandinavica 90, suppl. 384 (1990):140-146
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/myths.pdf

10. 転帰論文のメタ分析

a) 『統合失調症の100年』Hegerty, J. American Journal of Psychiatry 151 (1994):1409-1416
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/100years.pdf

概略:アメリカの統合失調症患者の転帰は1970年代から悪化し続けており、1900年の状態と同じレベルにまで低下しているとするハーバード大学メディカルスクールの研究者による報告。抗精神病薬をその原因としているわけではないが、統合失調症の患者は、生涯にわたって薬を服用する必要があるとアメリカの精神医学が言いだした時期と一致することは注目に値する。つまり、生涯ずっと薬物治療を受け続けることに重点をおいた治療パラダイムが採用された時期とこの転帰の悪化は一致している。

11. MRI 研究

概略:1990年代、抗精神病薬が前頭葉に委縮をもたらし脳幹神経節に拡張を起こすことが MRIの技術によって明らかになった。この「フォローアップ磁気共鳴映像法」研究では、脳幹神経節の拡張が統合失調症の陽性、陰性の両症状の悪化に関連するとする。薬剤が時間の経過とともに慢性疾患を引き起こすことの強力なエビデンスとなる研究。

a) 『抗精神病薬を服用する統合失調症初回エピソードの患者の尾状核体積の増加』Chakos, M. American Journal of Psychiatry 151 (1994): 1430-1436
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/caudate.pdf

b) 『精神疾患での脳の進行性構造的異常における神経遮断薬』Madsen, A. The Lancet 32 (1998):784-785
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/progressive.pdf

c) 『統合失調症治療において神経遮断薬の服用のない患者とある患者の皮質下の体積』Gur, R. American Journal of Psychiatry 155(1998) 1711-1717
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/subcortical.pdf

d) 『MRIを使った統合失調症の追跡調査』Gur, R. Archives of General Psychiatry
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/mri.pdf


12. 遅発性ジスキネジアと広範囲にわたる低下

概略:抗精神病薬の長期使用により脳内のドーパミン経路が不可逆的に機能不全となりうる。それが運動障害(遅発性ジスキネジア)、重篤な精神病の症状(遅発性精神病)、広範囲な認識低下(遅発性認知症)を起こす可能性があるとする。

a) 『治療に神経遮断薬を使う患者の遅発性ジスキネジア』Crane, G. American Journal of Psychiatry 124, supplement(1968):40-47
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Crane%282%29.PDF

b) 『20年目の臨床精神薬理学』Crane, G. Science 181 (1973):124-128
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Crane%281%29%20.PDF

c) 『遅発性ジスキネジアにおける機能障害』Yassa, R. Acta Psychiatrica Scandinavica
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Yassa.PDF

d) 『遅発性ジスキネジアにおける注意気分障害の中心的決定要因』Myslobodsky, M. Brain and Cognition 23 (1993):88-101.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Myslobodsky.PDF

e) 『統合失調症における認知障害』Waddington, J. Brain and Cognition 23 (1993):56-70.
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/Waddington%282%29.PDF

f) 『遅発性ジスキネジアに対する定型 対 非定型抗精神病薬の有効性』De Leon, J. Eur. Arch. Psychiatry Clinical Neurosciences 257 (2007): 169-172
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/atypicalvtypicalonTDdeLeon-EurArchPsych06-12-5.pdf

非定型抗精神病薬を投与された患者の20%が5年以内に遅発性ジスキネジアを発症。通常の神経遮断薬と同じ割合。

g) 『抗精神病薬の神経病理学的有効性』Harrison, P. Schizophrenia Research 40 (1999): 87-99
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/NeurolepticNeuropathologyPHarrison.pdf

13. マーチン・ハロウの15年転帰の結果研究
http://www.madinamerica.com/madinamerica.com/Schizophrenia_files/OutcomeFactors.pdf

概略:米国国立精神保健研究所の資金提供により行われた統合失調症患者の長期転帰に関する追跡調査。1980年代後半にシカゴ地区にある2つの病院で統合失調症の診断を受けた患者を対象に行われたこの研究では、15年で抗精神病薬の服用をやめていた患者の40%が回復していたのに対し、服用を続けていた患者では5%であった。統合失調症以外の精神障害のあった患者も抗精神病薬の服用を続けていた患者よりも服用をやめていた患者のほうが状態ははるかに良かったと報告している。


17. 2010年9月06日 09:15:47: b9vzAqt1r6
じつは現代医療での薬効果についてもほとんプラシーボ効果ていどだったという統計資料が最近になって出始めているそうですよ。
岡田正彦教授の本を数冊読んだところ、「なんだ、プラシーボ効果を利用していたのは現代医療が先だったのか」などと納得した者です。

ただし、西洋医学(東洋医学でもほとんどそうだが)の薬は毒でつくられていますから、その負の代償はいずれ支払われなくてはなりません。
しかし、この誉めオパシーの方は「何も効かない、ただのあめ玉」だとされているようですから、こちらは負の代償が無いわけで、おなじプラシーボ効果なら、比較検討を国の機関で公正にやってみる事です。

はい、もちろんやりません。(厚生省は製薬企業主の医療体制に組み込まれている)

となると、問題はこういう事になります。
取捨選択するのは患者側。ただし、どちらの方法でも強制はいけない。
どちらも、「これなら絶対治る」などとは言えないことを認識するべき(患者によって全部異なる)

未成年の場合
自分で判断できない場合は、法律上とか死亡時の問題もあるので、かならず医師に診断を受けてから決める。

この決めるのは両親だが、両親の意見が分かれた場合はどうしても現代医療側につかないとならないことになる。
これは社会常識や法律上において「そうせざるを得ない」

自分で決める場合にもその確認書みたいな者を残しておかないと、後になって問題が複雑になる。死亡や重体の場合、本人確認はできない。

要はホメオパシーに限らず、現代医療の薬や手術を受けたくない場合にかならず起こる問題です。
現状の日本社会では「現代医療を否定したり、受けない者は非常識人」とされるのが現実です。

これを確りといつも忘れずにおかないと、この助産婦さんの様な大失敗に全体が批判される事になります。

○○なら絶対治る・・などと過信してはいけません。子供でも早く死亡したらそれは「現代医療にかからなかったからだ」と必ずそう思われ、非難されます。

最後の最後まで患者側の自由選択に任せるべきです。特に病が重いときとか都度確認が必要です。患者さんの状態によって選択肢も変化します。
その時は止めてはいけません。意志決定は意志のある内は本人に。

子供の場合は上記のように常に医師との繋がりを持っていないと、犯罪にされかねません。それが現実なのです。

この問題になった助産婦さんはその点を全然分かっていなかったのでしょう。
ビタミンKの投与を選択するのは両親です。
子供の場合は両親が絶対納得しないうちは「現代医療に反する様なもの」を薦める場合に必ず医師側にも見せての上で選択肢を与えるべきです。

今後も他の療法でも起こりえる共通の話しです。
インチキ臭いものもありますし、今後代替え医療とか民間療法とかいうものが認められていく過程において、その心構えと社会の実情を見直すよいきっかけになったようです。

こうして社会の批判に晒されて萎んで行くのも必要あってでしょうし、本物なら必ず復活してきますし、そうでなければ無くなる。

21世紀の今、「昔は意図的に排斥されてしまった」ものでも「本物は必ず復活してきます」から、まずは打たれ強くなって、そして過信しないで他のものも参考にする位の大度量ある医療が自然に統合されてくることでしょう。

そのスピードの急速になってきています。昔の常識とかに囚われないで今自分の目で取捨選択しないと即自分の身に起こってくる時代です。

批判は公正に。そしてそれが未来に役立ちます。
非難は感情的な攻撃になりやすく、本質から外れたものになりやすい。

自分は既成概念に囚われの身になっていないか? 常にそれを念頭に思い出してから批判する事が大切です。


18. 2010年9月18日 09:17:33: 6kuobrWeYc
>いいえ、ホメオパシーのせいで、山口県で乳児が死亡しています。
>助産師がビタミンK2シロップを与えなかったからです。

それは「ホメオパシー」のせいではないよね。
一昔前までは「ビタミンK2シロップ」など普通に与えてなかったのだから。
それを与えなくて乳児が死亡するならばとっくに人類は絶滅してるだろ。


19. 2010年9月28日 09:48:29: AQqyLULhMc
>>18
一昔前の乳児の死亡率は、今よりずっと高かったよ。
それでも人類は絶滅しなかった。
たくさん産んでたから。
いろんな病気で死んでいた。
その中にビタミンK2不足があっても大きな問題にならなかっただけ。
昔はビタミンK2不足がなかったわけではない。

この両親は、ある確率で死んでもいいと思ってビタミンK2をのませなかった
のではない。助産師を信じたからだ。
しかも母親によると、助産師が母子手帳にあるK2シロップ投与欄に「投与した」とウソの記録を残していたそうだ。
http://www.asahi.com/health/feature/homeopathy01.html


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