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『隠された造血の秘密』腸管造血説と幻の造血幹細胞
発行日: 2010-05-21
発行:株式会社Eco・クリエイティブ
著者:酒向 猛(医学博士)
http://books.creative.co.jp/book_detail.php?id=20
< 「隠された造血の秘密」 その1 >
http://www5b.biglobe.ne.jp/~sugi_m/page286.htm
こちらで紹介したSさんからのメールもあって、「隠された造血の秘密」(酒向猛著、Eco・クリエイティブ)を購入し、いま読
んでいるところである。厚い本なのでまだ3章までしか読めていないが、非常に面白い内容が展開しているので、ここまで
の概要をすこし述べたい。
Sさんが腸管造血説を中心に生物学の歴史をまとめた本」と述べたとおり、本では医学の定説がどのように形成されたか
を丁寧にといていて、またいかに定説などというものが、いかに頼りなく、当てにならないかを思い知らされる内容となってい
る。現代医学における病理学の基礎理論は、19世紀ドイツに君臨した病理学者ルドルフ・ウィルヒョウ(1821-1902)に大
きくよっている。なぜそのようなことになったのだろうか。
細胞はどのようにして形成されるのか?
19世紀、この問題に対し二つの学派の主張が対立した。一つの学派は、細胞は無定形な液状物質から新生してくると主張
する新生説。もう一方の学派は細胞は細胞からしか生成しないとする細胞分裂万能説を唱えた。
シュライデンやシュワンは「細胞は無定形の液体状の物質の中に新生してくる」と考え、この無定形の液体状の物質を
形成液(ブラステーマ)と呼んだ。ロキタンスキー(1804-1878)他多くの学者は「細胞は無定形な液状物質から造られる」と
主張し、この考えが当時の医学会の主流を占めていた。当時のエッカーとケリカーという学者が「赤血球が塊を造った周囲
で細胞が形成される」という千島学説とよく似た説を主張しているのには驚く。この説は体液・血液を重視する考えでもあり
病気の原因は血液のバランスの崩れであるとする。体液のバランスの乱れが病気の原因であるという説は、ヒポクラテス
の時代から主張されてきた生気論とも合致する考え方であった。
一方のウィルヒョウ学派は「細胞は細胞によってのみ増殖する」という細胞分裂万能説を唱えた。この考えは当時、流行
した唯物論哲学や産業革命という流れや、また細菌の自然発生を否定した(今では問題視される)パスツールの実験も手伝っ
て、徐々に新生説を窮地に追い込んでいく。それまで学会を支配していた生気論がウィルヒョウの名声と権威で押さえ込
まれていったのである。そこには有名医学者にして人気政治家、人類学者でもあったスーパースター的存在ウィルヒョウ
の影響力が大きく作用した。機械論的・唯物論的なウィルヒョウ説が新生説(生気論)を圧倒したのであった。
と、本には、このように時代の風潮にのっかって、たしかな根拠もないままウィルヒョウ説が支持されていった様子が生き
生きと描かれている。
ついでに言えば、ウィルヒョウはよい業績も残したが、コッホによる結核菌の発見を批判したり、ゼンメルワイスが発見
した画期的な消毒法に反対したり、いくつもの誤りを犯したことも記されている。ウィルヒョウという有名学者も過ち(思い込
み・勘違い)からは全く逃れられていない。
科学といっても、所詮、人間という阿呆な動物が推論をまじえて作るものであり、それにはその時代の流行・哲学が色濃
く反映されてしまうものだとつくづくと思い知らされる。
酒向博士は「定説も変わるものである」の中で、「天文学で一時もてはやされた「ビッグバン宇宙論」や「ブラックホール
理論」も、最先端では批判される御時勢になってきている。」と述べているが、さすが!である。
そして21世紀の現代医学はウィルヒョウの細胞分裂説を宝物のように大事に守っている。
< 「隠された造血の秘密」 その2 >
「隠された造血の秘密」(酒向猛著、Eco・クリエイティブ)を読み終えた。
「千島喜久男は時代を超越した天才」と私は以前から思っているが、本書によってその確信を深めるばかりとなった。
Sさんが「腸管造血説を中心に生物学の歴史をまとめた本という感じでした。」と述べたとおり、近代医学における幹細胞
研究や造血説の解説に多くのページが割かれている。造血幹細胞研究の歴史は”悲惨なものだ”という感想をもった。
中心をおさえていないために(基礎の考え自体が間違っているがために)、枝葉の部分ばかりを大きく膨らませてしまい、
ついに巨大迷路を作った状態となっているのである。膨大な研究が行われてきたにもかかわらず、造血幹細胞の正体
は未だにまったくわかっていないのだ。軽薄な流行研究をふわふわ追い求めては失敗を繰り返してきたのであった。
(千島学説を黙殺してきた当然の帰結といえるが。)
その一方で、現代医学が信奉する骨髄造血を明確に否定した森下敬一博士の実験があった。森下氏は国会の場で
も千島学説(腸管造血説)や自らの実験の有効性を発言。さらに千島や森下らは骨髄造血の数々の矛盾点を指摘して
いる。
現代医学者は固定観念としかいいようのないセントラルドクマ(中心原理)に犯されてしまっているといえる。
酒向(さこう)博士は「幹細胞の可塑性は千島の学説を証明するか?」で次のように述べる。p.284
「確かにパラダイムシフトの時代であるから、馬鹿の一つ覚えのお題目のように細胞分裂万能説をいつまでも
唱えていたのでは時代遅れになりそうである。例えば、脳の神経細胞が再生しないと考えられてきたのは、
そこに細胞分裂像がほとんど存在しないからである。細胞分裂像がない臓器は再生しないと考えられていたの
である。しかし、放射線被曝マウスや組織培養の実験では神経細胞幹細胞が証明され、神経細胞が他の細胞
に分化したり、他の細胞から神経細胞に分化してくる事実が証明されたのである。
・・・・・・・・・・
これを見ると、千島が1950年代に唱えた「すべての組織細胞は可逆的分化能をもつ」という学説が徐々に
証明されて真実味を帯びてきたように見えるのである。」
酒向博士は、医学者としての冷静さを保つことに注意を払いながらも、千島学説を完全に支持しており、現代医学に千島
学説を加えることで今の混迷が一挙に解消されることを説いている。
そして、「プリオン説はほんとうか?」(福岡伸一著、講談社ブルーバックス)で、プルシナーを批判し、彼のノーベル賞
受賞は間違いだったのではないかとぶった福岡伸一氏自身が、なんと現代医学のセントラルドグマに毒されていた可能
性があるのである!
「プリオン説はほんとうか?」に批判を加えた11章「プリオン学説によるセントラルドグマ崩壊の危機」は一読に値する。
カラクリの裏にさらに別のカラクリが隠されていた・・ということのようである。
さらに驚いたことに、酒向博士は、なんとガストン・ネサーンを稲田芳弘氏らと訪ね、そしてネサーンが発明した超高分解
能顕微鏡ソマトスコープを覗いていたのだ!超微小生命体ソマチッドを観察しているのである。
引用する。p316
「2009年6月、私は作家である稲田芳弘氏のグループとカナダのモントリオール郊外のシェルブルックにある
ネサーンの研究室を訪れ、世界に一台しかないソマトスコープで生きた血液を観察するという、千載一遇の機会を
得ることができた。
ソマトスコープで採血直後の生きた血液を観察すると、美しい群青色の背景の中で無数のソマチッドが蠢いて
いる様子を生々しく観察することができる。現代の生物学はそのような存在は一切認めておらず、血液中でゴミが
ブラウン運動をしているものであると結論している。しかし実際にソマトスコープで血液を観察した後に、ネサーン
がソマチッドと呼んだ存在をゴミであるなどと考える人間がいたら、その人の知能程度は幼稚園児レベルであると
言いたい。小学生でも、何かの生き物が動き回っていると答えるに決まっている。ソマトスコープを一度でも見れば、
「現代の生物学がその根底から間違っている」という現実が痛いほど実感できるのである。」
酒向氏は大学院時代、生体サンプルを顕微鏡で観察されていた際、さかんにゴミのようなものが動き回っているのを見て
いた。それを先輩に聞いても「多分、ゴミが入ってブラウン運動をしているだけだよ」という答えしか得られなかったそうである。
分解能の低い顕微鏡では明確にはわからなかったのだろうが、酒向氏は生命体が自らの意思で動いているように見えた
そうだ。
そんな経験をもつ酒向氏がソマトスコープを覗いたときの衝撃はどれほどのものであったろうか。
ネサーンによれば、ソマチッドは16段階にその形態を変化させる”ソマチッドサイクル”を示し、その形態変化を観察すること
により人間の免疫力の状態を把握できるそうである。ソマチッドの状態は人間の健康のバロメータと言えそうだ。
千島学説とネサーンのソマチッドは大いに関係している。
学者はなにをもたもたしているのか。
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