投稿者 西岡昌紀 日時 2010 年 3 月 24 日 19:25:55: of0poCGGoydL.
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1444545957&owner_id=6445842
面白い記事が有るので御紹介します。
これは、今から17年前、クリントン政権下でアメリカに医療保険制度改革が議論された頃、ニューズウィーク日本版に載った記事です。
記事の筆者は、デイナ・ルイスさんと言ふアメリカ人の女性で、私の見るところ、この人は、日本社会にどちらかと言へば批判的な事を書く事が多かったと思ひます。その彼女が書いた、当時の日米の医療の比較に関する記事がこれなのですが、とにかく、お読みになってみて下さい。
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(以下引用)
二つの病院の話をしよう。とくに目新しい話ではない。でも、日本の読者もこれから数カ月間、アメリカの医療保険制度をめぐる論議について耳にタコができるほど聞かされるはず。いったい何が問題なのかを理解してもらう上で、この話はいささかなりともお役に立つかも知れない。
まずは東京郊外の丘の上に立つX病院(近くには某テレビ局の広大なスタジオがある)の話。数年前のある日曜日の午後、私は赤い自転車に乗って、この丘のスロープを下っていた。さわやかな日だった。目の前には、穴ぼこ一つない舗装道路が広がっている。あたりには人影もなく、ついついスピードを出しすぎた。
しまったと思ったときは、もう遅かった。私は救急車で丘の上の病院に運ばれた。足首の骨が砕けており、つま先が地面に触れるだけで、激痛が走るありさまだった。
X病院は五階建ての私立病院で、その界隈では一番大きい病院だ。でも、私が運び込まれた大部屋には、さびた鉄棒の古めかしい病院用ベッドが並び、天井には雨漏りの染みが広がっていた。
ベッドの横に布団が敷けるようになっていて、夜中にトイレに行くときに介助が必要なら、「付き添いのおばさん」を雇ったらいい、という。ときおり無愛想な看護婦がやって来て、体温を測る。医者は日に一度だけ、ちょっと病室をのぞいて私の足首を見ると、「結構、結構」などとつぶやいて去っていく。
一週間後に、ようやく手術を受けた。これまた年代ものの手術室。私の足には、フランケンシュタインもかくやの縫合の跡が残った。その後、まるまる一カ月間、医者は私を病院のベッドにクギずけにした。おまけに骨を支えるために入れていた金属の棒を、麻酔もかけずに引き抜いたのだ!
退院許可が下りるころには、私はこの病院に敵意すら抱いていた。不潔なトイレ、不親切な看護婦、惨めな食事・・・・。
X病院でさんざんな目にあったので(もちろん、ここが日本の最高水準をいく医療施設だなどとは思わなかったが)、日本ではもう二度と病院の厄介にはなるまいと固く心に誓っていた。
だから、八カ月後、再び足首が痛み出したとき、私はサンフランシスコ近郊にあるY病院(同じく私立)に行った。
検査の結果、X病院の処置がまずかったので、再手術の必要があることがわかった。私はアメリカでも指折りのその道の専門家に執刀を依頼した。彼は何時間もかけてレントゲン写真を見せ、これからどのような処置をするか詳しく説明してくれた。
手術を当日、朝七時にY病院に入院。親切な看護婦が、最新式の電動ベッドを備えた明るい部屋に案内してくれた。数時間後、医者は医者はファイバースコープを搭載したリモコン式の超小型ノコギリで手術を行った。傷跡はびっくりするほど小さい。手術の模様はビデオテープに収録され、後で患者に見せることになっている。
麻酔からさめると、輝くように清潔な部屋に寝かされていた。愛想の良い看護婦が何度も顔を出しては、「気分はどう?」と尋ねる。手術からきっかり、十二時間後に退院許可が下り、私は歩行用の軽いギプスをつけてY病院を退院した。
ざっとこれが二つの病院の物語だが、ただもう一点、些細な違いにも触れておかなければならない。X病院では私は健康保険による治療を受けたが、Y病院ではそうではなかった。
アメリカの医療保険制度は論争は、多くの日本人にはわかりにくいかもしれない。日本には国民皆保険制度があり、会社員であれば給与から保険料が天引きされる。医者にかかるのに、いちいち懐具合を気にする必要はない。もちろん、私と同じように、果たして最善かつ最新鋭の医療を受けたかどうか疑問に思う人も少なくないだろう。
アメリカの医療サービスの水準は高く、X病院よりはるかにましな日本の病院と比べても、総じてもっと行き届いたケアが受けられる。けれども、ここで言いたいのは、そのことではない。アメリカの医療保険制度をめぐる論議は、医療サービスの質とはあまり関係がないのだ。
問題は、退院して数週間後に私がY病院から受け取ったぶ厚い封筒にある。
X病院の場合、一カ月の入院で私が窓口で支払ったのは、わずか五万円。残りは健康保険でまかなわれた。
Y病院から送られてきた封筒には、当時の為替相場で換算してなんと125万円の請求書が入っていた。半日のケアに対して、この金額である。日本で働いていた私は、アメリカの医療保険にはいっさい加入していなかった。病院とかけ合い、第三者に明細書をチェックしてもらうなど、八方手を尽くしてみたが、結局は全額支払う羽目になった。
今のアメリカには、医療保険に加入していな人が3700万人もいる。この恥ずべき事実の原因は複雑だが、結果は単純だ。彼らは自転車で転んだり、癌や糖尿病にかかったり、あるいは妊娠しただけで、破産の憂き目にあう可能性がある。
世界最高の医療サービスを提供してくれる施設は、アメリカにはいくらでもある。ホテル並みの病院の自動ドアの前に立ちさえすれば、優秀な医師と親切な看護婦の一団があなたを迎えてくれるだろう。
ところが、日本と違って、誰もが気軽にそのドアの前に立てるわけだはないのだ。私はまだしも恵まれていた。仕事に就いているので、法外な治療費をどうにかやりくりできたからだ。だが無保険者の多くはそうではない。借金して払う人もいる。ないものはないと居直って、病院や政府にツケを回す人もいる。それ以前に、治療を受けずに苦しんでいる人が大勢いる。
だからこそ、X病院でひどい扱いを受け、Y病院のすばらしいケアに救われたにもかかわらず、私は日本の医療保険制度を改めて見直している。もちろん、医療サービスの水準がアメリカ並みになれば、それに越したことはない。
クリントン大統領が先週、議会に提出した医療保険制度改革案に反対する一部の人々は、医療の質の低下を論拠にしている。国民皆保険制度を導入すれば、X病院のような施設が増えるのではないか。そうでなくとも、金を出しさえすれば、最高のケアが受けられる現行制度のメリットが失われる可能性があると、彼らは主張する。
だが、こうした批判はあまりにも説得力をもたない。質が低下する懸念がないとはいわないが、それはすでに医療保険に加入している人の言い分だ。X病院とY病院の中間には、さまざまなレベルのサービスがある。けれども、保険に入っていない人たちには、そもそも行くべき病院がないのだ。
というわけで、今後数カ月、辛抱強く論議の行方を見守ってほしい。制度改革をめぐる論争は部外者には退屈だろうし、国民に医療を保障するというごく当たり前の政策を実行するのに、なぜこれほどごたつくのか、日本人は理解に苦しむだろう。
でも私たちアメリカ人は、この方面ではまだまだ学ぶことが多いのだ。
(デイナ・ルイス「世話になるならやっぱり日本の病院?」(ニューズウィーク日本版・1993年10月6日号・44〜45ページ)
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これが、アメリカの医療制度です。
やっと、それが変はるのでしょうか?
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米医療保険改革法が成立、オバマ大統領が署名
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=1151507&media_id=52
米医療保険改革法が成立、オバマ大統領が署名
(ロイター - 03月24日 07:54)
3月23日、オバマ米大統領は医療保険改革法案に署名。米国の無保険者を解消する同法が成立した。写真はホワイトハウスで同法案に署名する直前のオバマ大統領(2010年 ロイター/Jim Young )
[ワシントン 23日 ロイター] オバマ米大統領は23日、医療保険改革法案に署名し、同法を成立させた。
大統領は「ほぼ1世紀におよぶ取り組み、1年以上の論争を経て、きょうついに医療保険改革法案が米国の法となる」と述べた。
また、上院が修正条項を迅速に可決すると確信していると語った。
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