★阿修羅♪ > 医療崩壊3 > 161.html ★阿修羅♪ |
|
Tweet |
株式日記と経済展望
http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu202.htm
http://blog.goo.ne.jp/2005tora/
--------------------------------------------------------------------------------
ドイツでは、開業医の過剰や集中を防ぎ、医療供給を適正にするため、
中長期計画としての開業医定員制を実施して、僻地医療にも役立っている
2009年10月30日 金曜日
◆開業医の年収2522万円、勤務医は1450万円 10月30日 ニッカンスポーツ
http://www.nikkansports.com/general/news/f-gn-tp0-20091030-560931.html
厚生労働省は30日、医療機関の経営状況などを調べた「医療経済実態調査」の結果を中央社会保険医療協議会(中医協)に報告する。2008年度の医師の年収を見ると、開業医である一般診療所の院長は平均2522万円で、病院勤務医の同1450万円の1・7倍だった。
開業医と勤務医の格差は以前から問題視されており、厚労省は08年度の診療報酬改定で勤務医への配分を手厚くしたが、格差は前回調査の1・8倍からわずかな縮小にとどまった。鳩山政権は勤務医対策を重視する姿勢を打ち出しており、10年度の報酬改定では勤務医への配分をさらに強める考えだ。
中医協は2年に1度の報酬改定を議論する厚労相の諮問機関。自民党を支持してきた日本医師会の推薦枠をなくすなど、長妻昭厚労相が委員を一部差し替えてから、この日が初の会合。
医療経済実態調査は、報酬改定に反映させるのが目的。従来は改定前年の6月分の月収を調べていたが、医療収入には季節変動があることなどから、実態を詳細に把握するため、今回は09年3月末までの直近の事業年度で年収も調べた。
一般病院の勤務医の年収を運営主体別に見ると、医療法人では平均1550万円だったが、日赤などの公的病院では同1326万円と、100万円以上の差があった。
一方、病院の院長の年収は全体の平均で2639万円で、診療所開業医の2522万円を上回った。(共同)
◆尊敬する職業のトップは医師〜ドイツ医療制度の秘密〜 8月19日 日経マネー
http://special.nikkeibp.co.jp/ts/article/0i0h/103598/
24時間365日対応の救急医療
病院と開業医の役割分担が明確になっており、交通事故や意識不明といった患者以外は開業医が最初に診療を行います。開業医の休診日は土日、祝日、水曜午後と全国統一で決められており、開業時間は原則として7時から19時までです。休診日と夜間は救急当番医が担当します。
救急業務は当番制となっており、65歳までの開業医は病気や妊娠・育児中でない限り、全員が一般救急当番に参加する義務があります。一般救急業務の能力がないと開業が許可されません。救急当番医はすべての患者を最初に診て応急処置をし、重症であれば病院に転送します。診療後はその患者の主治医に報告をし、患者を戻さなくてはなりません。救急当番の時間内は担当地域外に出てはいけない決まりになっています。
開業医は診療時間外でも自分の患者を診療する義務がありますが、できないときは救急当番医に依頼したり、長時間不在にするときは必ず同僚医師に連絡をして承諾を得ておきます。休暇や病気のときの同僚医師による助け合いが徹底しているようです。
開業医の地域別・専門医別の定員制
開業医の過剰や集中を防ぎ、医療供給を適正にするため、中長期計画としての開業医定員制を実施しています。連邦の地域開発計画資料を参考に、行政地域に準拠して医療圏を設定します。医療圏ごとに専門医1名あたりの住民数を定め、住民が増減すればそれに比例して定員数も変化します。ただし、定員制と言っても開業医の配置換えを行うといった強制的なものではなく、定員を超えた地区は開業許可をせず、供給不足の地区では開業を推進するといった方法を取っています。
開業の自由が制限される定員制ではありますが、医師から目立った反対の声はないそうです。狭い地域で患者の奪い合いが起こり、収入の減少につながれば医師自身の不都合になると考えているようです。開業応募者の採用は開業認可規則で定められた選抜方法に従って行われます。
一方、病院の運営は州の病院計画に基づいて行われます。病院計画委員会に参加するのは、病院協会、疾病金庫州連合体(各州公的医療保険団体)、民間医療保険協会(一定水準以上の年収の人は公的医療保険と民間医療保険を選択できる)、自治体州連合体の4団体です。毎年州全体の医療重要の統計を作成し、地域に合わせて各病院の予算を決定します。
病院計画では、全病院の診療や経理内容を把握し、それに基づいて病院の予算や将来計画を決定します。診療科の拡大、縮小、廃止、最新治療設備の設置なども州全体の総合的見地で決められます。各病院は医療の質を確保し、費用対効果などに注力し、効率的な病院運営に努力します。患者が予算より少ない場合は返却し、反対に患者が多く予算超過の場合は次年度の予算で充当します。
労力をかけた医師国家試験と罰則付き義務化の生涯教育
ドイツでも6年間の卒前教育を終え、医師国家試験に合格すると医師免許が交付されます。日本と大きく異なるのは、国家試験に口答・実地試験が課せられていることです。試験は2日間で、両日とも受験生一人に対して最低45分、最高60分かけて行われます。試験は試験委員会の委員だけでなく、州試験監督局から監督官を派遣したり、同じ試験を受験している医学生、大学教員の委員、医師会の代理人が同席できるシステムとなっています。口答・実地試験はこのような公開の状況で受験生に患者を診察させ、時間をかけて行われるので、臨床の実力がよく分かるそうです。
受験生は試験期日の前に1名またはそれ以上の患者を割り当てられ、ヒストリー作成と検査を行い、診断、予後、治療計画並びに症例の分析的評価を含む報告を作成し、試験期日に提出します。これも試験の対象となり、評価に加えられます。大変な労力をかけて国家試験が行われますが、ドイツでは昔から実施されてきた試験方法で、試験への協力依頼を受けた患者はほとんど断らないそうです。
国家試験合格後も、臨床に従事する医師は、卒後研修規則で定められた専門にコースの中から一つを選び、卒後研修をすることが義務付けられています。生涯研修は医師職業規則で義務化されています。2004年からは徹底するために罰則付きとされました。医師会が研修への出席点数を管理し、証明書を発行します。条件を満たさないと診療報酬削減や開業認可取り消しといった処分が下されることもあります。
ドイツでは医療の質を確保するために多大な労力をつぎ込み、国民が安心してアクセスできる仕組みを作り上げているようです。医療は公共財であるという意識を、医師や患者だけでなく、国民全体が共有していることが基本にあるのだと感じます。ドイツ医療制度のごく一部をご紹介しましたが、ほんの少し垣間見るだけでも日本の医療制度の将来像を考える参考になるのではないでしょうか。
(私のコメント)
日本の政治は利害調整能力が低くて、それが八つ場ダムが57年もかかっても出来なかったり、成田国際空港がなかなか完成しない原因にもなっているのです。日本人は未だに自由に対する認識や公共の福祉という意識が低くて、日本全体から見れば悪影響をもたらす事でも、いったん手にした利権は絶対に手放そうとはしない。だから圧力団体が結成されて政治の手足を縛ってしまって、問題がなかなか解決が出来なくなってしまう。
日本医師会も圧力団体の一つであり、自民党の有力支援団体でもありました。日本の医師不足は数が不足しているのではなく、医師が都市部に偏在しており僻地には医師がいない地区が多発しています。病院も同じであり都市部に集中して僻地には病院がない。あったとしても医師不足で病院閉鎖を余儀なくされている。
これらの問題も自由と公共の福祉のバランスが欠けている為に生じている問題だ。つまり都市部には病院と開業医が集中して過当競争になっているし、地方には病院がなく開業医もいない地域が出来てしまっている。政治がなかなか時代にあった政策が出来ないからこういう事になってしまうのですが、戦前の反動で個人の自由が過剰に認められるようになってしまった。
医療問題も人の命がかかった問題なのだから政治ももっと真剣に改革して欲しいものですが、医師会という圧力団体が政治的解決を難しくしている。もちろん医師にも個人の開業の自由がありますが、開業する医師は都市部に集中してしまい、地方には開業する医師がいないと言う問題が発生している。
私は、医療問題は「白い巨塔」や「Dr・コトー診療所」といったテレビドラマで知る程度なのですが、「ブラックジャックによろしく」では病院勤務医の過酷な勤務実態をテーマにしていましたが、国全体の医療システムが時代に合わなくなっているのに、政治が動かなくて現場に矛盾が集中してしまっている。
どの様にしたらいいかは中立的な機関が解決策を提示して議論すべきなのでしょうが、医師会という圧力団体を動かさなければ何も決められない。都市部に集中している開業医を地方に強制的に移住させる事は出来ないし、病院にしても同じだ。インターンの問題にしてもマスコミは医局制度を封建的と攻撃したが、自由化したらインターンの学生が都市部の有名病院に集中して地方には来なくなってしまった。
ドイツなどでは都市部の過当競争と医療過疎の問題を解決する為に、地域的定員制を取っているが、日本でもこの制度を取り入れることが医療過疎の問題を解決する手段になる。現在の日本の医療制度では病院の勤務医の勤務実態は過酷であり、勤務医を辞めて開業医になってしまう。
都市部で開業するには、施設を整えるのは金がかかるから巨額な借金を抱えての開業になってしまう。開業医と勤務医の所得格差は1,7倍もあるということですが、開業医も借金を抱えているから医療報酬制度をいじる事が難しい。地方なら医院を開くのも楽なのでしょうが、医師は地方には住みたがらない。営業上の理由もあるのでしょうが、「Dr・コトー診療所」でも言っていたように、医師は地方に住むのがいやなのだ。
医師の養成制度も、日本の制度は時代に合わなくなっているのですが、専門家と医療の高度化でますます分業化が進んでいる。このような医療は大病院でなければ出来ないし、医療技術は日進月歩だから、大学病院のある都市部に医師が集中する結果をもたらしているのだろう。地方ではいくら医療設備を整えても医師がなかなか来てくれない。
医療は公共の福祉と関連する事だから、現在のように自由放任でいいとはならないのですが、規制をはめようとすると医師会が反対する。日本では公共の福祉という意識が低くなり自由ばかりが尊重されるようになった。だからダムや国際空港もなかなか出来ない原因にもなっていますが、生活に密接に関係のある医療制度も自由ばかりが尊重されて地方医療は見放されてしまった。
日本はまだ国民皆保険制度で恵まれていますが、医師の偏在問題は何とかしないといけないのですが、ドイツの地域別専門医別の定員制を敷いて、都市部の過当競争と地方の医療過疎を解決すべきだ。新規の開業医も自由にどこでも開業できるという自由を認めたら偏在は起きてしまう。勤務医と開業医の所得の格差も問題だし、医療レベルを保つには地方にも高度医療が出来る中核病院があるべきだ。
現在の日本の問題は、政治家や官僚に問題解決能力がなくなってしまったことであり、圧力団体は自分の利権は手放さない。日本全体を見て判断する総合判断能力のあるエリート層がいなくなり、自分の利害ばかりを主張する人ばかりになってしまった。マスコミですら自分の利権にしがみ付いていてはろくな記事も書けないだろう。
今週のテレビタックルでもやっていましたが、日本の医療行政の欠陥は医系技官に過度な権力集中がある為なのですが、医系技官は現場の事を知らない。だから新型インフルエンザが流行ると分かっていてもワクチンの製造は間に合わなかった。枡添厚生大臣は手も足も出せずに適切な手を打てなかったようですが、利権が絡んでくると関係団体は命がけで抵抗してくる。
民主党政権に交代して、しがらみのない大臣がばっさりとやってくれればいいのですが、長妻厚生大臣は就任早々へとへとになってしまって、ばっさりとやれるような大臣ではないようだ。何を聞いても検討中と言うばかりで立ち往生してしまっている。前原大臣や亀井大臣のように蛮勇を振るえる人でないと、「無血の平成維新」は実現が難しい。