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医療保険改革めぐるオバマ演説 断行への決意と危機感の表れ【産経】
http://sankei.jp.msn.com/world/america/090910/amr0909102158006-n1.htm
2009.9.10 21:55
【ワシントン=渡辺浩生】
米国では、セオドア・ルーズベルト元大統領が最初に医療保険改革を唱えてから1世紀近くが経過した。
そして今、先進国で唯一、国民の多数が保険に加入していない状況を解消する試みに、オバマ大統領は取り組もうとしている。
上下両院合同会議での大統領の演説は、改革断行への決意の表明であり、同時に、改革に挫折すれば指導力に疑問符が付き、求心力の低下を招きかねない立場に自身が置かれていることへの危機感の表れでもある。
「私はこの目標に取り組む最後の大統領となる決意だ」。
視聴率が最も高い夜のプライムタイムに合わせた「就任来、最も重要な演説」(英紙フィナンシャル・タイムズ)で、オバマ大統領は自らの退路を断った格好だ。
「無保険」の解消はクリントン政権で挫折したままになっている。
米CBSニュースによると、医療保険改革をテーマにしたオバマ大統領の演説は就任来、28回を数える。
にもかかわらず、大統領は改革法案の作成を議会側に“丸投げ”してきた。
その結果、リベラル色が強いペロシ下院議長が主導した下院案は、公的保険の新設を盛り込み、財政赤字は増した。
そして、政府が市場を支配するという懸念から、保守派の猛反発をかった。
国民の関心もやや低下している。
世論調査では、保険に加入する国民の8割が「満足している」と答え、改革は増税や医療費の上昇など、個人負担を重くすると考える人が増えた。
就任直後に60%あった大統領の支持率は、50%前後まで低下している。
オバマ氏にとり8月は「最悪の月」だった。
国民が失業への不安を募らせる中、「(医療保険で)『何が危機なのか』という問いにオバマ大統領は最低限答える必要がある」とは、米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、マイケル・ガーソン氏だ。
演説では、失業や転職で無保険となったり、過去の病気を理由に加入を拒否されたりする現状を、「米中間層の危機」と強調した。
改革案を「私の案」と初めて呼ぶなど、指導力を発揮する意思をにじませた。
共和党が主張する医療過誤訴訟の抑制にも理解を示すなど、妥協の余地もちらつかせた。
しかし、大統領が語気を強めたのは、住民集会などで反対派が持ち出している攻撃に反論した部分だった。
不法移民にも保険を提供するという反対派の指摘を、大統領は「偽りだ」と一蹴した。
だが、その直後に、共和党のウィルソン議員が「うそだ」と叫び、議場には険悪なムードが流れた。
大統領の熱意が通じたのか、演説終了後、共和党の一部議員からは「超党派案の検討を始めるときだ」(ボウスタニィ下院議員)との声も漏れた。
ウィルソン氏は党内からも批判を浴び、大統領に謝罪した。
しかし、政府運営の保険新設をオバマ氏が強調したことで、政府介入への抵抗感は払拭(ふつしよく)されず、「美辞麗句を聞かされただけ」(コーカー上院議員)という冷めた反応も多かった。改革の行方はなお不透明だ。