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「生物多様性問題」はいかなる議論や仕組み作りを招こうとしているのか?についての考察
http://www.asyura2.com/09/idletalk38/msg/555.html
投稿者 Morning Field 日時 2010 年 5 月 31 日 11:36:25: cmbeLabuI2v/M
 

(回答先: ピークオイル問題と米軍再編 投稿者 Morning Field 日時 2010 年 5 月 26 日 11:57:04)

気候変動問題を論じるに当たっては、「温暖化説」が必ずしも常識ではなく、「寒冷化説」も合わせて考えなければならないということが、先見性のある識者(阿修羅掲示板の書き手や読者を含む)の間でも一般的になりつつあり、報道機関においても丸山先生の学説が臆せず紹介されるに至った。

(引用はじめ、毎日新聞、2010年5月11日)
・・・東京工業大大学院の地質学者、丸山茂徳教授の「地球寒冷化説」を思い出した。今や常識となった地球温暖化の二酸化炭素主犯説に対し「地球の気温は雲の量で決まる」と説く▼雲ができる際の核をつくるのが宇宙線で、地球の磁気がその照射を妨げる。両者の相関関係で雲は増減するが、地球の磁場は弱まる一方のため、宇宙線量が相対的に増えている−−。・・・丸山教授は「温暖化の主因は活発な太陽活動だが、すでにピークを越えた」とも。その言葉通り黒点ゼロ状態も観測され「100年ぶりの活動極小期」と報道された。・・・
(引用おわり)

丸山先生は、大気中CO2が温暖化の原因というよりも、むしろ結果であるという側面もあるということを指摘した点で(もちろんこれだけではないが)、現代科学(神学?)へのコペルニクス的転回としての価値を果たそうとされている。これは地球環境における現実の正しい理解を目指す人たちにとって、非常に喜ばしいことであると思う。

一方で、「温暖化」問題と並行するように国際舞台で議論されてきた「生物多様性」問題についても、変化が現れてきているように思う。

「温暖化」問題においては、(本来公共資産である)「CO2」に価値が付与されて商品化・資産化されつつあるように、「生物多様性」問題においては、(本来公共資産である)「遺伝情報」に価値が付与されて商品化・資産化されていく流れが加速される懸念があるように思う。GM作物に自殺遺伝子が組み込まれることが常態化していることや、ビル・ゲイツが進めている「ノアの方舟」(遺伝資産の囲い込み)計画は有名であり、ここでは詳述する必要も無いだろう。

つまり、環境問題が巧妙に商売上の道具に使われていくということに注視せねばならないということなのだが、(そういう議論されつくした常識的な指摘ではなく、)ここではもう少し、新たな視点をもって、この問題を深堀りしてみたいと思う。

「温暖化(寒冷化)」と「生物多様性」の関係は深い。「地球温暖化によって失われる生物多様性」(JanJan News, 2007/04/13 )や「温暖化で小型哺乳類が危機に 1万年前の激減から回復せず」(CNN, 2010.05.26)という見方は既に知られているが、最近、Natureに以下のような主旨の論文も掲載されたという。

(引用はじめ、AFPBB News, 2010年05月25日)
約1万2800年前に地球の気温が急激に低下した原因の1つは、北米大陸の広い範囲に分布した人類によってマンモスなどの大型草食動物が急激に減少したことだったとする論文が23日、英科学誌「ネイチャー(Nature)」に発表された。・・・先史時代の北米大陸には100種あまりの大型草食動物が多数、生息しており、消化管から強力な温室効果ガスであるメタンガスを排出していた。メタンガス排出量の急激な減少が、寒冷化の原因、あるいは1つのきっかけになったと研究チームは主張している。・・・論文は「巨大生物の絶滅は人類の活動が引き起こした最初の悲劇だった」としている。
(引用おわり)

つまり、「人類活動→生物多様性(遺伝情報量)の低下→寒冷化」という論理を主張している。どこか、「人類活動→CO2の上昇→温暖化」にも似ていて面白い。あわよくば、この2つの論理を連結させようという試みなのかも(利用されるのかも)しれない。しかし、いずれ、丸山先生達の努力によって「狭窄的温暖化説」が衰退し、「寒冷化説」も統合された「気候変動説」が形成されていくプロセス(時勢)が避けられなくなったときに、「人類活動」を規制するために、「温暖化」だけでなく「寒冷化」も取り入れる必要が出てくるかも知れない。そして「気候変動」を避けるためには、農業―畜産という構造を維持する必要がある――ここまでの説明は良いと思う。しかし、この構造を維持するための利権(捕鯨の禁止や遺伝情報の私有財産権など)の構造も強化されなければならないという(間違った?)説明がなされていく可能性もあるだろう。

その構造がどのように組み立てられていくかについては、いくつかの仮説が思いつくが、世の中ではまだ断片的にしか現れてきていないと言えるだろう。つまり、まだファクト・データの収集とロジックの組み立てが必要であり、形成途上にある。

しかし、上述の丸山先生はここでも鋭い勘を働かせて、温暖化・寒冷化のサイクルと生物多様性のサイクルが同期しているメカニズムも既に説明されているのだが、以下のような面白い指摘もされている。

(引用はじめ、丸山茂徳「2020年に成長の限界か?」、環境Goo)
・・・生物多様性にとって地球温暖化というのは大変素晴らしいことです。温暖化は生物多様性を爆発的に加速するエンジンになっています。・・・生体はほとんど水でできていますから、温度が低い北極や南極だと生きていけません。大型の生物の90%は赤道周辺にすんでいます。生物がそのすんでいる空間を広げるためには、温度が上がるに越したことはない。これは常識的な話です。・・・なぜ、大型の生物が死んでいるのかというと、人口の爆発的な増加が原因です。人口が過去100年の間に17億人から64億人になっています。人間は大型生物なので、たくさんのものを食べます。人間が増えると同時に何が増えたかというと豚と牛です。・・・
(引用おわり)

生物多様性のどの部分を切り取るのかによって解釈に自由度があるが、「温暖化→生物多様性の低下」や「生物多様性の低下→寒冷化」という原因・結果の説明に対して、「寒冷化→生物多様性の低下」という原因・結果の説明もしっかりと可能であるように思う。

したがって、我々は今後盛んになっていくであろう「生物多様性」問題についても、健全な懐疑精神を失わないようにしなければならないことは言うまでも無いことだと思うが、「捕鯨の禁止」、「肉食の推進」や「自殺遺伝子入りGM作物の普及」、「遺伝情報の私有財産化の強化」など、決して日本人にとっては喜ばしくないように思えることが、どのような論理や手順で国際的な枠組み・仕組みのなかに組み込まれていくのか?ということに目を向けなければいけないように思う。

(生物多様性問題を主体的に考えるならば、Strategic Environment Transformation(戦略環境変革)とStrategic Enterprise Transformation(戦略事業変革)の統合戦略に沿っているとも見ることが出来るように思う。狭窄的温暖化問題→寒冷化問題→気候変動問題という大きな流れは無視できないものであり、こうした流れに主体的に関与しながら、自らもこうした学説に敵対しないように努力して変化していく必要があるということなのかも知れない。)

生物多様性というのは大きく捉えるならば生命の論理でもあり、本当に複雑なメカニズムであるように思う。・・・「温暖化」よりも手強い相手のような気がするのは、私だけであろうか。・・・正しい理解ではなく、捻じ曲がった論理や仕組みづくりが展開されるだろうという心配については、単なる杞憂に終わってくれれば・・・と望んでいます。  

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