02. 2010年3月01日 09:35:11 http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201003/1.html 平成22年3月掲載
ここから本文です 周囲の「気づき」「見守り」で「生きる心」を支えよう 〜「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を策定〜 「自作対策強化月間」ポスター 資料提供:内閣府 平成21年に自殺で亡くなった人は32,753人(暫定値)。日本では平成10年から12年連続で、自殺者数が年間3万人を超えています。近年は、厳しい経済状況が続く中、失業や倒産、多重債務を苦にした自殺も増えています。多くの自殺は、さまざまな問題を一人で抱え、心理的に追い込まれた末の死です。こうした状況を踏まえ、政府は、自殺対策の緊急的な強化を図るため、平成22年2月に「いのちを守る自殺対策緊急プラン」を策定しました。 自殺の多くは「追い込まれた末の死」 日本では、12年連続で自殺者数が年間3万人を超えています。これは交通事故で死亡する人の数よりもはるかに多い数字です。また、欧米の先進諸国と比較しても、日本の自殺死亡率は高い水準にあります。いじめを苦にした自殺や、家族の看護・介護疲れによる自殺、借金や生活苦による自殺など、自殺のニュースを見聞きすることは少なくありません。自殺は私たちの身近な社会の中で起こっている深刻な問題です。 「自殺は自分で選んだ死」と考えられがちですが、多くの自殺は、病気や障害などの健康問題、失業や倒産、多重債務、長時間労働などの社会的・経済的問題、職場や学校、家庭の問題など、さまざまな要因が複雑に関係し、心理的に追い込まれた末の死です。 自分が抱えるさまざまな悩みや問題が原因で心理的に追い詰められ、自殺以外の選択肢が考えられなくなってしまう。家族や社会とのつながりが減って、生きる意味を失ってしまう。与えられた役割の重圧に耐えきれなくなって、危機的な状態まで追い込まれてしまう。こうした耐え難い心の痛みから、うつ病などの精神疾患の影響により正常な判断を行うことができない状態で自殺という方法を選んでしまっているのです。 社会全体で自殺を防ぐ「いのちを守る自殺対策緊急プラン」 このように自殺が深刻な問題となっている中、政府は平成18年に「自殺対策基本法」を制定し、自殺対策に取り組んできました。しかし、厳しい雇用・経済状況の中で、長時間労働や失業、倒産、多重債務などの問題を抱えた中高年男性の自殺が増えるなど、依然として厳しい状況が続いています。 こうした自殺を防ぐためには、自殺の要因を生み出している、社会の制度や慣習などを見直すことはもちろん、心理的に追い詰められている人たちに対する相談・支援体制の強化を図り、社会全体で自殺予防に取り組むことが一層重要になっています。 そこで、このような状況を踏まえ、さまざまな悩みや問題を抱えた人々に届く「当事者本位」の施策を展開し、自殺対策の緊急な強化を図るため、「いのちを守る自殺対策緊急プラン」が平成22年2月に策定されました。 今回の緊急プランでは、例年、自殺者数が最も多い3月を「自殺対策強化月間」として、国、地方公共団体、関係機関などの連携により、啓発活動や当事者が支援を求めやすい環境づくりを推進していきます。また、地方公共団体における相談支援事業やハローワークでの心の健康相談などの実施、中小企業経営者向け相談対応の充実など、相談・早期対応体制を充実・強化していくこととしています。 周囲の人の「気づき」「つなぎ」「見守り」が大事 自殺を防ぐためには、私たち一人一人の役割も重要です。 自殺を考えている人は、悩みを抱えながらも救いを求めており、本人が意識していなくても、言葉や行動などの中で何らかのサインを発信しているものです。そのサインを、周囲にいる人たちが敏感に気づくことが重要です。 もし、身近に、最近元気がなくなった、様子が変わったなど、自殺のサインが見られる人がいたら、自然な雰囲気で話しかけ、その人の悩みにじっくり耳を傾けましょう。「手を差し伸べ、話を聞くこと」は、悩みを抱える人の心を軽くし、支えることにつながります。 また、うつ病などの心の病気が疑われる人は、早めに医療機関など専門家に相談し、治療することが大事です。自殺した人の多くは、自殺する直前にうつ病などの精神疾患にかかっています。本人を理解してくれる家族、友人などのキーパーソンと連携して、専門家に相談にするよう促しましょう。
うつ病から回復し、もとの生活に戻るためには時間もかかり、周囲の人の理解と支えが必要です。職場などでも、うつ病などの精神疾患に対する正しい知識をもち、うつ病などから回復途上の人をあたたかく受け入れ、見守っていきましょう。 こうした周囲の人の「気づき」「つなぎ」「見守り」が、自殺の予防につながります。 眠れてますか? 「睡眠キャンペーン」 働き盛りのお父さん。体が疲れているにもかかわらず、最近よく眠れないということはありませんか。朝早く目が覚めてしまって再び眠ることができなくなったり、寝付きが悪くなったり、夜中に目を覚ましたり…。それは「うつ病」のサインかもしれません。「ただのストレス」などと放っておかずに、早めにかかりつけ医など身近な医療機関や専門機関に相談しましょう。 最近は、厳しい経済・雇用状況が続くなか、働き盛り世代(男性)が、長時間労働や失業、事業不振などから大きなストレスを抱え、「うつ病」になるケースが増えています。うつ病の症状は、気分が沈む、意欲や集中力がなくなるといった精神的な症状だけでなく、睡眠障害や食欲低下、倦怠感、自律神経の乱れ、頭痛や肩こりなど、さまざまな身体症状としても現れます。また、うつ病が重症化すると、自殺を考えるようになったり、それを実行したりするケースもあります。 他の病気と同様、うつ病も早期発見・早期治療が大切です。体や心の不調を感じたら、「自然に治るだろう」と放っておかず、早めに医療機関や専門機関に相談しましょう。 内閣府では、働き盛り世代(男性)の皆さんを中心に、うつ病や不眠に対する理解・意識を深めてもらうため、平成22年3月、「眠れてますか? 『睡眠キャンペーン』」を全国的に展開していきます。ウェブサイトでは、関連イベントや、うつ病や不眠に関する情報、支援・相談窓口などさまざまな情報を掲載していきますので、ぜひご活用ください。 (取材協力:内閣府 文責:政府広報オンライン) http://www.gov-online.go.jp/useful/article/201003/1.html |