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うだうだと、去年書きためた、テキストファイルを見ていたらこんなん見つけました。我ながら、ちと面白かったのでここに投稿
デフレについて考える際に理解しなければならないのは、資本主義の成長モデルの本質は、格差であるということである。
格差を少なくする方向にすれば通貨流通料が増えインフレ傾向になり、格差を助長すれば逆でデフレ傾向になる。熱力学の用語を借りれば、こうなる。ある通貨のエントロピーが高い状態にすれば内部エネルギー(景気)は上昇し、エントロピーを下げれば内部エネルギー(景気)も下降する。(さらに、為替の効果を考えれば、面白いが、ここでは考えない。)
ちょっと曖昧模糊とし過ぎてているので、具体的に説明しよう。
メーカーAとメーカーBがある。メーカーAはいわゆる高付加価値商品を専門に扱うメーカーで、「品質がよく単価の高い部品」を使って、高額(5000円)の商品を出荷している。メーカーBは、「品質はそこそこの安い部品」を使ったミドル〜ローエンドモデル(2000円と1000円)の商品を多数扱い、薄利多売で売上をだしていると仮定する。
もうひとつの仮定として、1000人の顧客がいる。年間に一つ、この商品を買う。
格差の少ない市場を考えて見よう。1000人のうち、700人が、3000円(B層)のお金を持っており、300人が6000円(M層)のお金を持っている。市場全体の所持金は390万円になる。そして、B層は必然的に2000円と1000円の商品を買う。M層は5000円と2000円と1000円の商品をいずれも買うことができる。各々の層が、均等にそれぞれの商品を買ったと仮定すると、それぞれの売上は
メーカーA: 5000円の商品を100(M層÷3)人=50万円
メーカーB: 2000円の商品を450(M層÷3+B層÷2)人=90万円
1000円の商品を450(M層÷3+B層÷2)人=45万円
こうして、390万円の資産から185万円の金の流通が生まれる。
では、格差の大きい市場ならどうだろうか。1000人のうち、200人が、14000円(T層)のお金を持っており、800人が1500円(B層)のお金を持っている。市場全体の所持金は400万円になる。
それぞれの売上は
メーカーA: 5000円の商品を66(T層÷3)人=33万円
メーカーB: 2000円の商品を66(T層÷3)人=13万円
1000円の商品を867(T層÷3+B層)人=87万円
こうして、400万円の資産から133万円の金の流通が生まれる。
つまり、後者は全体のお金が増えているのに、流通量が減っている。つまり、市場が弱ってデフレに陥っている。荒い議論ではあるが、格差が増えればデフレを助長することがわかるだろう。
さらに、企業は経営を維持するため、急激なデフレを避ける方向に動こうとする。メーカーAは商品単価をあげて、売上を確保し、メーカーBは、2000円モデルを値下げする。結果として、ミドル・エンド商品が無くなる市場の2極化が生じる。例えば、メーカーAは、T層の半分の顧客を獲得する魅力的な、超高付加価値商品をつくる。実際には次のようにうまくいかないが、例えばこうなる。
メーカーA: 12000円の商品を50(T層÷2)人=60万円
メーカーB: 1400円の商品を425(T層÷4+B層÷2)人=60万円
1000円の商品を425(T層÷4+B層÷2)人=43万円
(この例をみてもわかるように、市場の縮小を最小限に抑えつつ収益を確保することは、かなり難しい。)
そして、メーカーAはもともと、『「品質がよく単価の高い部品」を使って、高額(5000円)の商品を出荷している』。商品の利益率は増える方向に働き、その分、従業員の給料が増える。一方メーカーBは、もともと『薄利多売で売上をだしている』ため、2000円商品を1400円で作るために無理なコストダウンが要求され、賃金カット、ワーカーの解雇がすすむ。商品の数の関係上、メーカーBがメーカーAの10倍に近い従業員を持っているため、さらに格差が拡がる。格差が拡がるとデフレがすすむ。粗雑な議論であるが、これが今の日本で起きている。
ここで、「市場全体の所持金」が増えてもダメだったことを思いだそう。これは円の発行量だけを対象にした議論が無駄であることを示している。デフレ対策で大量の国債を発行しても、格差を下げる方向に投資しなければ、円の価値が下がるだけで、流通量を上げることは出来ず、景気の悪化を加速することになるのだ。
※もちろん半分ネタです(笑)