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【検証するにはまだ早いけどでもまだまだ見えてこないな】菅直人が語る霞が関の新しいビジネスモデル(週刊朝日)
http://www.asyura2.com/09/idletalk38/msg/139.html
投稿者 アルカディア 日時 2009 年 10 月 26 日 09:56:08: jjR5cYzLvBZKE
 

http://news.nifty.com/cs/magazine/detail/asahi-20090809-02/1.htm

天下分け目の決戦を目前に控え、民主党、自民党のマニフェストが出そろった。国民へのサービス合戦ばかりが話題になるが、実は最大のポイントは、国の「ビジネスモデル」の大改革だ。民主党といえば「脱官僚」。だがそれは「もう古い」という菅直人・同党代表代行が、英国をモデルにした「この国のかたち」の青写真を70分にわたり語った。

 民主党はマニフェストで、通常の「与党」ではなく「政権党」という言葉を使っている。なぜなのか。

「私はそこにこだわりがあるんです。与党というのは"与(くみ)する党という意味なんです。『与』という言葉は何か擦り寄るという響きでよくない。

 今の内閣は実は明治憲法モデルのままで作られています。天皇陛下が国会の指名に基づいて総理大臣を任命し、その総理大臣に与する党が与党になっている。しかし現憲法の議院内閣制では、選挙で勝利した国会の多数派が自分たちのリーダーを総理大臣にする。与するのではなく、自分たちが内閣を作る。いわば、国会が親で内閣が子。もっと言えば国会の多数派イコール内閣。だから政権党と内閣の一元化になるのです。


民主党のマニフェストは、内閣の運営の全責任を政権党が持つという考え方で組み立てています。個別の政策がどうのこうのではなく、それが政権構想の骨格なんです。

 政権党と与党の違いは、非常に重要です。言葉だけのことではない」

 自民党政権は内閣と与党を使い分ける二元体制を保持してきた。政府が法案を提出する場合、閣議決定前に自民党(与党)の了承を義務付ける「事前審査」が慣行として50年近く続いている。具体的には官僚が法案を立案し、まず与党に根回し・調整をする。そのうえで内閣に持っていく。

 このシステムは、与党にも官僚にもメリットをもたらしてきた。族議員は各省庁に予算獲得で協力する代わりに地元や関係業界へ利益を誘導できた。官僚は法案が与党の事前了承を得られれば、国会を無事通過させられた。官僚はこうして実質的に内閣と自民党をコントロールしてきたという。菅氏はこの仕組みを「政治家が官僚に陳情しているようだ」と指摘し、「官僚内閣制」と呼ぶ。そして政権を取れば、二元体制を変えるという。「脱官僚」である。

「私の中では、『脱官僚』という概念から少し進歩しているのです。『ビジネスモデル』のチェンジです。

 方向性としては今の官僚内閣制からの『脱』。だからといって官僚はいらないとか、官僚は敵、という発想では決してない。今は、官僚が本来政治家がやるべきことをやっている。今の政治家と官僚の役割を新しい位置関係にする。そのことは実は、霞が関の中堅・若手の官僚も賛成なんです」


 菅氏は今年6月に英国に政権運営の調査に出かけた。

「議院内閣制の母国、イギリスでは、官僚は政治的中立義務があり、自分が所属する省庁の閣僚以外の議員に接触することは原則として禁止されています。省庁間の調整や与野党へのブリーフィングなどは基本的に、官僚ではなく政治家である大臣、副大臣、政務官の仕事となっています。官僚は専門的な知識と経験で閣僚などを支える専門家集団とされ、その代わり、政治的な責任が問われることはありません。これが民主党が想定する政治家と官僚のあるべき姿なのです」

 民主党が考える具体的な「ビジネスモデル」では、内閣に大臣、副大臣、政務官(政務三役)、大臣補佐官など国会議員約100人を送り込み、政務三役が中心となって政策の立案、調整、決定をしていく。今は閣議の前日に各省庁の事務次官が会議で案件を調整し、閣議は事実上、そこで決まったことを決裁するセレモニーと化している。この事務次官会議を廃止する。代わりに、閣僚委員会を設置し、閣僚をはじめ政治家が調整機能を果たす。また、事務次官の定例記者会見も原則禁止するという。

「数年前、財務省の若手官僚が3年ほどイギリスの財務省へ出向しました。彼が帰国後に出したリポートがあります。それを読むと、官僚はほとんど午後6時に帰っていた。それでも、仕事はやっているのです。国会にかかる仕事は10分の1。イギリスなら政治家が責任を持つべき仕事まで、日本では官僚がやっている。我々から言うと官僚支配だが、当事者である官僚は、もっと合理的に仕事をできないのかと思っています。中堅・若手官僚には、民主党の提示したビジネスモデルは受け入れられるという自信を深めました。『脱官僚』から若手官僚に喜ばれるシステムに進化しているんです」


 そのリポートを本誌も入手した。

《日本の官庁と最も異なるのは、その勤務スタイルで、英国財務省においては、職員は夜6時で退庁し、(省内は)夜7時を過ぎると閑散とし、夜8時を過ぎて働く者は極めて少ない。このように職員の勤務時間に如実な差があっても、全体として英国財務省は日本の財務省と同様の機能を滞り無く果たしている。この差はなぜ生まれるのか》

 リポートはその要因を次のように分析する。

《日本と比較した場合、政策のコアの部分はほぼ同様であるにもかかわらず、日本の官庁の勤務時間を長くする最大の要因の一つは国会(議員)との関係であろう。例えば、答弁書作成のプロセスの簡略化、合理化によって改善できる部分はいくらでもあり、実益の無い部分での無用な業務が多いように思われる。毎週2回、事務次官と大臣が記者会見を行っており、これほど頻繁に行う必要があるのかは一考の余地がある》

 さらに官僚の過酷な労働環境をこう訴える。

《職員は自分で時間をコントロールすることが難しく、外部的な要請に常に支配されている。例えば、案件を上げるにも、いつ上司や幹部の時間が空くかわからない。呼び込まれるまでひたすら待ち続け、また幹部の部屋に入れば、いつ解放されるかは、幹部の気分次第。国会作業などの場合に最も顕著だが、とにかく仕事が決着するまで働き続ける必要があり、何時までに終わるという見通しが無い》

 菅氏によれば、ほかにも似たような内容のリポートが多く存在するという。


「民主党としては、人事権を行使し、霞が関幹部と敵対するのではなく、逆に内側から議論して意識を変えていくような環境をつくりたい。クビを切ったからって人間の意識は変わりませんから。官僚は明治以来、内閣を守るのは与党ではなく自分たちであり、役所が存在してこそ、国政があるとずっと思ってきた。だが、そうではなく、内閣を守るのは政権党です。

 このギャップは原理の違いからきている。その原理を根本から変えようというのです。政権が代われば、役所のシステムもガラガラポンで変わるのは先進国ではあたりまえのことです。官僚たちには、これまでの古いビジネスモデルを変え、全面的に国の運営の在り方がモデルチェンジするという感覚を持ってほしい」

 これまで国の運営は官僚が未来図を描いてきた。ある意味、与党はその図に乗って注文をつけたりしてきたが、今後は政策、予算の立案からすべてを政治主導で行うとすれば、今度は政権党の政治家に責任や負担が一気にかからないのか。

「政治が未来の図を描くのが本来の民主主義の姿でしょう。政権党の負担が重くなるのは当然で、政治家の本分です。民主党が描く未来図がまずくてうまくいかなかったら、次の選挙で有権者から見捨てられ、我々のクビは飛ぶ。うまくいけば、政権は続く。

 官僚は有権者から選ばれているわけでなく、失敗してもクビは飛ばない。だから、官僚の根回しに乗り『予算をつけてやったから、俺の地元の道路は頼むよ』と陳情してきた自民党政治は、民主主義ではないのです。イギリスで会談したプレスコット前副首相に、今の日本の政治システムを説明すると、『官僚による根回しは不正につながり、官僚に力を与えてしまう。日本は官僚が政治をやっているのか』と驚かれました」


 7月27日に民主党のマニフェストが発表されると自民党は「財源がない」などと批判してきた。だが、菅氏によると、「官僚内閣制」から政治主導に切り替えるという部分については、どの閣僚も言及していないという。菅氏は96年の橋本内閣で厚生相として入閣した。民主党議員で閣僚経験者は少ないが、古いモデルを知らないほうがいいと考える。

「私が厚相に任命されたときには、いざ入閣が決まると、秘書官の決定から記者会見のメモの準備、皇居での認証式などを官僚が手際よく段取りしてくれた。だが、後から落ち着いて考えると、なぜ、大臣に任命された直後に官僚が作成したメモを頼りに記者会見に応じなければならなかったのか、など不可解なことばかりでした。スタート時点から官僚のお膳立てで動く大臣経験など大した意味もない。

 だから私は、首相が決まってすぐに組閣するのではなく、ある程度時間をかけて閣僚を決めたほうがいいと思います。官僚の作ったスケジュールに乗らないことが必要でしょう。

 麻生さんは『官僚を使いこなす』と言いますが、官僚は、自分たちがあらかじめ決めている答えに誘導するように大臣に巧みにレクチャーするのです。

 民主党は結党以来11年、野党なので、政治家が官僚に依存しないで法案や政策を作り続けてきた。ネクストキャビネット(次の内閣)などの経験で十分、機能する内閣を作り上げられると私は確信しています。さらにイギリスの内閣の『特別顧問』のような政治任用の補佐スタッフら官民の優秀な人材を配置する総理直属の国家戦略局を設置します。国家戦略局は新しい国家のビジョンを作り、政治主導で予算の骨格を決める。


 イギリスでは予算は総額(歳入)を先に決めて、それをどこに配分するかを議論していく。日本の予算編成は積み上げ方式で、足りなくなったら赤字国債を出す。積み上げ方式を逆転させたいと思っています」

 では、こうした霞が関改革で「この国のかたち」が変わると、具体的に、一般国民の暮らしにどんなメリットがあるのか。

「まず、霞が関を解体することによって、天下り団体を減らし、税金を国民のためにより有効に使うことができる。中央集権化で列強に対抗した明治維新とは逆方向へ向かう『地方分権』、いわば明治以来の『分権革命』なのです。

 国の役割は外交、防衛などに限定し、それ以外の大半の行政は、地方自治体に任せる。これによって人材も経済も現在の東京一極集中から地方へ分散され、地方が活力を取り戻すことができる。もちろん、地方分権の最大の障害は霞が関です。例えば、道路を造る事業を地方自治体が行えば、国土交通省の職員数は今の5分の1で済み、霞が関は次第に小さくなっていく。

 自民党もこれまで再三、地方分権に手をつけようとしたが、二人三脚でやってきた霞が関の執拗な抵抗でこの10年間、まったく進まなかった。それが、政権交代で可能になる。早ければ2年で達成できると思っています」

 政権交代によって「国のかたち」は菅氏の言うようにドラスティックに変わるのか? それとも単なる机上の空論で終わるのか? 選択するのは有権者だ。

 

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