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「あるある問題」を生むテレビ局の構造的腐敗体質 【現代産業情報】 2007.3.15
http://www.asyura2.com/09/hihyo9/msg/377.html
投稿者 きすぐれ真一 日時 2009 年 6 月 11 日 16:22:41: HyQF24IvCTDS6
 

(回答先: 社員は記者クラブでふんぞり返り厳しい現場は制作会社に丸投げする 「殿様報道局」【SAPIO】 2009年5月14日 投稿者 きすぐれ真一 日時 2009 年 6 月 11 日 12:44:52)

http://www.gendaisangyojoho.co.jp/cgi-bin/backnumber.cgi?NO=572&BODY=16 【現代産業情報】
●「あるある問題」を生むテレビ局の構造的腐敗体質
NO.572 2007.3.15
 資本主義の抱える“病”を、テレビ局ほど抱え込んでいる業界はあるまい。

 社員は30代になると年収1000万円を突破、全上場企業の中でも最高ランクの待遇を受けているのに、制作現場では露骨な搾取が繰り返されている。

 番組の大半は制作会社に発注、ここで第一次のピンはねが行なわれ、孫請け、ひ孫請けの制作会社に発注される過程で、さらなるピンはねが実行されて制作費は削られ、その少ない予算の中で「受ける作品」を作ろうとするから、「やらせ」や「ねつ造」が起きる。

 さらにテレビ局員を縛っている視聴率は、当然のことながら「テレビを視る層」によって支えられており、ヒマをもてあます主婦層、若年層、老年層におもねっているうち、食欲、性欲、所有欲など個人の欲望を満たし、単純に楽しめる娯楽番組が多くなる。番組から品性や品格が失われるのは当然で、それが社会の第一線で活躍する層のテレビ離れを生み、ますます番組は劣化する。

 それでも視聴率さえ稼げれば、広告代理店やスポンサーとの関係は良好で、経営は安定する。平日の接待ゴルフ、割烹、料亭、高級クラブでの接待など、他の業界ではすでに終焉した「法人資本主義」が、ここでは平然と続けられており、電通、博報堂などの大手広告代理店と組み、スポンサーを海外旅行に連れて行くなど、尋常ではない大盤振る舞いがまかり通っている。

 それは電波法や放送法に守られた、新規参入のない閉じられた世界だから成り立つ話で、「寡占が腐敗を生む」という独占禁止法の精神がここには生きている。かつては孫正義氏が、最近では堀江貴文被告や三木谷浩史氏が戦いを挑んで、孫氏は撤退、堀江氏は獄に落ち、三木谷氏は苦境に立たされた。

 下請けを搾取、視聴率の罠にはまって良心を忘れ、寡占の中で広告代理店とともに栄華を続け、新規参入組に対してはマスメディアとしての権力を用いて“異物”を排除する。孫や堀江や三木谷が乗り込んできたら、国家権力の検察や警察に彼らの“アラ”を売り、存続を図ろうとしてきたテレビ界のどこに公共性があるだろう。

 したがって、「あるある大辞典」はひとり関西テレビの問題ではない。それがわかっているからテレビ局は口をつぐみ、問題の沈静化を待とうとしているが、どんな世界にも「火事場泥棒」はいる。菅義偉総務相は、今回の不祥事を機に、放送法の改正を目論み、政界のテレビ局に対する権限強化を企んでいる。
「公の電波で、事実と違うことが報道されるのは極めて深刻なことだ。いままでも行政指導しているが、次々と出てくる。再発防止策を考えないといけない」

 こう記者会見で述べた菅総務相は、業務改善命令のような措置を新設したい考えだというが、「納豆を食べると痩せる」といった、どうでもいいような虚偽への「命令」を考えているのではなく、業務改善命令をもとに政界のテレビ局支配を強め、場合によっては政官財界に発生したスキャンダル封じにも使えると見込んでいることは明白で、「テレビ局の自業自得」と放置してはおけない問題である。

 それにしても、テレビ局の報道に対する使命感はどこにいったのだろうか。彼らは、IT企業や政界から攻撃を受けた時だけ「公共性」や「報道の自由」を口にするが、資本の走狗として視聴率稼ぎに奔走する姿との落差はあまりに大きい。

 マスメディアの範疇には入らず、社会的評価は低く、影響力もないとテレビ界が内心ではバカにしているのが、雑誌の世界である。確かに、「雑」の「誌」である雑誌は、エロから政治までのごった煮で、羊頭狗肉や「売らんかな」の企画が少なくない。

 だが、その一方でゲリラ性を発揮して社会の病巣に切り込み、警鐘を鳴らそうという意気込みもある。先ごろ、「編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞」が決定、大賞は本間正明税調会長のクビを切った『週刊ポスト』と、日興コーディアルグループの粉飾決算を暴いた『月刊現代』の町田徹氏のレポートだった。他に、溝口敦氏の「細木数子研究」や西岡研介氏の「JR東日本研究」が並ぶ。

 テレビに比べれば、関わる人数や予算がはるかに少なく、限られたライターが劣悪な労働条件で働く雑誌の世界で、「安倍政権の本質」を炙り出す本間問題や、日本市場の歪みの象徴である日興コーディアル問題を暴けたのは、ひとえに編集者や記者が問題意識を磨きつつ、取材を重ねる努力を怠らないからだろう。

 雑誌発売日の早朝から、その雑誌スクープをパクリ、平然と放映、自らの努力をする意識が、テレビ局にほとんど感じられないところに、このメディアが抱える構造的問題があり、崖っぷちに立たされているという自覚を業界関係者は持つべきである。
 

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