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ネット界への挑戦状!? 『ウェブはバカと暇人のもの』
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http://www.excite.co.jp/News/bit/E1242201698657.html
ネット界への挑戦状!? 『ウェブはバカと暇人のもの』
2009年5月16日
『ウェブはバカと暇人のもの』(中川淳一郎/光文社)
書店で挑戦的なタイトルが気になり、思わず手にとってしまった話題の新書、『ウェブはバカと暇人のもの』。私もこうやって時々エキサイトで記事を書かせていただいている関係から、「ネットでウケる話題とはどういうものか?」を考えない日は1日もないのだが(←大袈裟)、自分が心底おもしろいと思い自信のある記事と、実際に反響のある記事とのあいだには「深くて暗い何か」がある……ということは少ない経験からも感じ続けていた。そんな私にとっては思いあたるフシが満載の、久々に「読んでよかった、おもしろかった」と思わせてくれた本書。
ページビュー(PV)を上げ、荒らしコメントを削除することに日々追われる自らを自嘲気味に「IT小作農」という著者の中川氏は、ヘビーなネット漬けの生活を送る某ニュースサイトの編集者。「他人を『死ね』『ゴミ』『クズ』と罵倒しまくる人」や「『通報しますた』と揚げ足とりばかりする人」や「妙に品行方正で、優等生的な発言しかしない人」etc……を具体例に挙げつつ、本書でいわく、ネット世論の“くだらなさや気持ち悪さ”をこれでもかとばかりに紹介。そして、そんな自らの経験から導き出した、ネットでウケる商品や企画の性質をわかりやすく解説してくれる。
例えば、ネットの記事で取り上げて人の興味を引くのは、ズバリ「安くてコンビニで買えるもの」(納豆、チロルチョコ、ガリガリ君が御三家)、店舗なら「マクドナルド」「ユニクロ」「モスバーガー」が御三家なのだそうだ。そのうえで、話題にしたい部分や突っ込みどころが多いことも重要なのだとか。つまり「高感度」であることより「親しみ、共感(+B級感)」のあるネタがウケるわけで、それはこのExciteコネタで多くのトラバや投票数を集める記事を見ても本当にそうだなぁ……と納得。ちなみに本書では、過去にコネタで話題になった「足クサ男」の記事が、企業が仕掛けるネットプロモーションの「お手本」として取り上げられていた。
光文社の担当編集者さんにお話を伺ってみたところ、売れ行きは非常に好調らしい。ちなみに、このタイトルは中川氏ではなく担当編集者さんが考案したものとのこと。「バカ」「暇人」という強烈に「刺さる」言葉を2つも持ってくるなんてすごいタイトルですよね〜、と言ってみたところ、「本当は『貧乏人』というのも挙がっていたのですが、それはあんまりだろうということで……」とのこと。それって本当は『ウェブはバカと暇人と貧乏人のもの』というタイトルの可能性もあったということ??
いやでも実際、これが確かに「本当に効くネットプロモーションとは?」とか「現役プランナーが語る、ネットユーザーの真実」とかだったら私も書店で手にとらなかったと思いますけどね。
担当編集者さんいわく、この本でいちばん伝えたかったことは「ネットとの距離のとり方」だという。ネットのすばらしさや可能性を決して否定しているわけではないが、「ネットなら何か新しくておもしろいことができるはず!」という過度な期待は幻想で、「ま、その程度のものなんですよ」ということがテーマとなっているのだとか。
一般のユーザーにはネットのダークサイドを理解し無用なトラブルを避けるための指南書として、企業の広報担当者さんにはネットをうまく活用するためのガイドとして、はたまた企画が通らなくて悩んでいるウェブ系のプランナーの方々などにはクライアントを説得する材料としても役立つかも?
と、いろいろ考えさせられることの多かった本書だが、「ネットはあなたの人生をなにも変えない」とわかってはいても、今後もやっぱりえんえんネットを見続けてしまうのだろうなー……と思ってしまった私でした。
(web1.374)
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