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「現場にアタック」 2010年09月13日(月)
新聞の世論調査ってどこまで信じられるの?
★きょうは民主党代表選を前に世論調査のお話です。今朝は新聞休刊日でしたが、きのうの共同通信の世論調査では菅総理支持67.3%、小沢氏支持22.8%でした。最近、新聞の世論調査については、世論誘導だ、回数をやりすぎだ、信じられんなど風当たりが厳しいようですね。新聞は管総理の支持が高いのに、ラジオは5対5、ネットは小沢氏支持が高いとズレがあるのも一因でしょう。そこで今日は、「世論調査とは何か」をはっきりさせましょう。
★まず、世論調査など統計に詳しい埼玉大学の松本正生教授に、なぜ媒体ごとに支持率が違うのか、そして新聞の調査はどのくらい正しいのかを伺いました。すると松本教授は「新聞の世論調査は全体の縮図になるようにやっていて、有権者の構成を代表するような性別、年代の人間をサンプリングして千人なり2千人なりを集めている。だから、それで世論を推しはかっても問題ないだろうと。それに対してラジオはたまたま聞いていたリスナー、ネットはサイトの訪問者などに聞いている。対象としている人たちの質が違うんですね。」とのこと。新聞の世論調査が一番世論に近いということです。
★新聞はRDD(ランダム・デジット・サンプリング)というランダムに番号を選び電話する方式をとっています。例えば、人口の多い自治体ではより多くのサンプルをとったり、男女比を揃えたりと、まさに世の中の縮図になるようにサンプルを選んでいるそうです。「私は一度も受けたことがないという」方、サンプルは千人程度。裁判員に当たるよりも低い確率だそうですよ。
★ただ、調査する方法は固定電話へ電話をかけるというもの。そこで、こんな限界があるといいます。今度は実際に調査する側の、毎日新聞世論調査室・七井辰夫さんのお話です。「20〜30代中心に携帯電話を使う方がだいぶ増えた。固定電話を持たないので、補足率が下がっている。まあ、若い人はその分投票に行かないとはいうが、それではいけないので、インターネットでの調査を併用できないか検討はしているが、これは難しい。固定電話を持たない層にどうアプローチするかが、RDD方式の課題ですね。」
★新聞の世論調査も、若者の票が反映されにくくなっているようで、限界を感じているそうです。また調査によっては回答率が5割を切ることもあるそうで、それを世論と呼んでいいのかという声もあります。ただ、大抵は選挙結果とのズレがそれほどなく、現状で一番世論に近いのでは。数字の正当性は担保されているというのが統計学的な見方のようです。
★調査方法については、限界はあるものの、最善の策ということでした。ただ、かつて「温室効果ガスを2020年までに15%減らす」という政策に対しての世論調査で大きく数字が分かれたことがありました。「妥当だ」と答えた人が、共同通信が26.5%、朝日新聞49%という数字になったことがあるのです。同じ日に調査したのになぜでしょう。実は、この時、共同通信の質問文の中に「1世帯年間7万6千円の負担増になります...」とあったんです。しかし、朝日新聞は「経済界はもっと緩く、環境大臣は厳しくと言うが」とだけ書きました。質問方法で答えが大きく変わってくるんですね。
★再び毎日新聞の七井さんに、質問内容で答えを誘導することはないか聞いてみました。すると「質問は前提条件付けずにかなりニュートラルに聞くようにしている。質問の仕方もそうで、相手が戸惑った場合もう一度質問はする。それでも本人が『わからない』と答えれば『無回答』とします。あえて問い詰めない。何回も重ね聞きしろという新聞もあるが、うちは慎重に答えてもらっている。」ということ。新聞社によっても違うみたいですね。
★世論調査について考える上で参考になるレポートがあります。朝日新聞編集委員の峰久和哲(みねひさ・かずのり)さんが去年6月に日本記者クラブで発表した『世論調査の役割と限界』というレポートなのですが、そこでは、助け舟を出し答えを誘導する「重ね聞き」の状況について書いてあります。これによると「朝日・毎日は重ね聞きしていない」が「読売・日経は重ね聞きしている」とあるんですね。ただ、日経は重ね聞きした前後の数字をネットで明記していると補足されてはいます。各紙、多少の違いはあるんですね。新聞の一面で「支持率」と謳うのだから、同じ質問をすべきと感じる人もいるかもしれません。
★一方、松本教授は、調査手法だけでなく、いまの世論調査にはこんな問題があると指摘しています。「政治家の世論調査依存というのがある。社会の方もそれを見てとっている面がある。同じことが新聞にも言える。世論調査の数字が速報や特ダネなら、一体新聞は何のためにあるの、となる。もう少し各紙の特色が出ていいのではないでしょうか。」
★確かに、数字が目的になっている感はありますね。松本教授は「その都度支持」という言葉で、世論調査に振り回される有権者を形容しています。世論調査に答える人の情報源は新聞が多い。そこで出た数字を見て、空気を読んで答えるそうです。その数字を見て、世論調査に答える人が出るという循環も起こりそうです。
★「数字が目的になっているんじゃないですか」と問うと、毎日新聞の七井さんはこう答えていました。「例えばこないだの参院選の前後は、うちは違うけど、新聞社によっては5〜6日おきに世論調査やっていたところがあったので、『世論調査政局になりはしないか』という批判はごもっとも。世論調査にはいつも課題がある。どうやったら日本国民の世論を表せるのか試行錯誤しているというのが現状でしょうね。」
★松本教授の言う「その都度支持」が増えることで、その空気が選挙を左右してしまうこともあるでしょう。世論調査の限界と性質。数字を受け取る側も、見極めなくてはなりませんね。
レポート記者:川原雅史
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