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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100816-00000003-voice-pol
◇根幹から揺らぐ免許制◇
今月は通信事業者が注目する電波監理審議会の行方を本稿で語ろうと思ったら、なぜか電波割り当て問題など重要な課題をすべてスルーされてしまった。総務省の諮問機関としての電監審の機能強化は選挙前から議論になっていたが、従来より“電波利権”と揶揄される重大な権益の交差点であるがゆえに「ルールを決めるための議論を進めるためのルールづくり」で議論が沸き起こってしまい、収拾がつかなくなってしまっている。
もっとも、“総務省放送村”においては地デジ政策の推進に長らく神経を集中してきており、気がついてみたら地デジ以前に放送事業の免許制を根幹から揺るがすほど、地方局各局の経営基盤が傷んでしまった。テレビへの広告出稿が減り、思った以上のペースで放送各社の売上げが減少したのが主な理由である。
そこへ、地域のケーブルテレビ局や光回線を担うプロバイダーなど非免許事業者が放送の垣根に参入し、彼らもべつだん経営状態が芳しくないけれど、都市部密集地はもちろん、テレビ電波の入りづらい山間部に顧客を分厚くもってしまった。利用者が2000万人以上いる現在、いまさら「再編を進めるのにあなたがたは邪魔です」ともいえない。
結果として、都道府県ごとの放送免許を地域ごとに再編しましょうという議論がようやく始まろうかというところで、通信を専門領域とする事業者が放送の世界に進出してきて、市場からすれば制度や行政方針とは関係なく放送と通信が勝手に融合してしまった。不特定多数で地域の縛りがあり、頒布するのに割高なテレビより、機動的で顧客の層が限定できるネットやケータイのほうがコンテンツ業界としては扱いやすいということで、動画サービスなどを中心に情報配信のルートが変わってしまったのだ。
メディアとは本来、私たち人間が行動を起こすために判断を下す基となる必要な情報を得るためにある。それゆえ、ネットやケータイなど複合的で、より個別具体的な情報を提供するメディアに主眼がシフトしていくのは当然だが、免許事業者からすると過去すでに行なった設備投資や稼働している人員、今回の地デジ対応のため追加投資の負担が甚大で、サービス事業として本来重要な「メディアとして顧客と向き合う姿勢」をつくる元気すら失われつつあると感じてしまう。
◇全員が満足する方法などない◇
面白いことに、ネットの時代になっていちばん元気なのは、じつは大手系列のラジオ局である。ひところの低迷を脱しているところもあり、今後うまく営業が充実していけば、ネットとの親和性を基点に復権しかねない状況だ。
すでに終わったメディアとされ、邪魔者扱いされていたラジオ局であるが、よく考えるとリスナーとの関係性や、手軽さゆえの即時性など、大儲けさえ狙わなければ利用者を確保するための算段はネットに用意されていた。twitterが流行し、radikoなどのアプリを使って自由にネットでラジオを聴ける環境になると、本来のコンテンツ力に気づいた先進的なネット利用者からの支持を受け、お手軽な定番ネットコンテンツの一つに成長しはじめた。
しかし、そのようなラジオの復権があだ花に思えるほど、繰り返すが、既存のテレビ局を主軸とする日本型メディアコングロマリットは急速に疲弊している。地デジは進めてみたものの、現在ある民放五社のうち、生き残ることができるのは3社といわれる。電波は残しながらも社としてはグループ化するなどで再編しなければ、財務面から見るかぎり、メディア事業が生き残れないのはほぼ確定的だ。
各社は海外へのコンテンツ販売や、非放送事業に活路を求めて収益手段の多様化に打って出ざるをえない。しかし各社単独での動きが多く、業界の沈没スピードを押し留められるほどのものにはなっていない。
このままでは、いずれ駄目になることはみな、わかっている。放送という市場全体のパイが縮小を続けており、いまある5社と地方局、そしてCSやらケーブルテレビやらでテレビの前に座っている人の目玉を奪い合っても、規模を維持することはできない。廃れきったテレビ事業者が金をかけられないコンテンツをいくら制作してもテレビの前に客は帰ってこず、産業としての放送事業はもちろん、コンテンツ制作の現場も大いに疲弊することは理解できるだろう。
そのような状況下、行政には何ができるか。限りある資源を配分することがその役割なのだから、全員が満足する方法などない。100点のない世界ではあるが、国内での最適だけではなく、海外市場やネットの状況も踏まえた産業再編の青写真なくば後手後手に回りかねない、と思うのは私だけだろうか。
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