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(回答先: 盆暮れに30万ずつ貰った番記者は誰だ(阪口徳雄の自由発言) 投稿者 gataro 日時 2010 年 6 月 01 日 07:14:11)
週刊ポスト 六月十一日号(五月三十一日発売)
「官房機密費マスコミ汚染問題」で歴代官邸秘書官を連続直撃!
上杉隆と本誌取材班
「記者ひとり30万円手渡した」ほか仰天証言が出るわ出るわ!
怒りの告発キャンペーン第3弾
大新聞は1行も報道せず(東京新聞を除く)
テレビは特集番組をあわてて中止!それでも本誌はあくまで追求する!
なんとも異様な事態が起きている。新聞は、東京新聞(5月18日付で特集)を除き、どこも大々的に取り扱うことはしない。いつもなら雑誌のスクープに便乗するテレビもまったく後追いしない。なのに、編集部の電話は鳴り止まず、インターネットにも書き込みが溢れている。
上杉隆氏によるメディアと官房機密費に関する追及キャンペーンである。早く打ち止めになって欲しいと願う記者クラブメディアには残念だが、元官邸秘書官らが次々に口を開き始めた流れは、もう止まらない。
>「記者を一人ずつ個室に呼んで30万円手渡した」
>「総理外遊の同行記者にチャーター機内で‘土産代’を」
>次々に驚き呆れる証言が、出るわ出るわ!
テレビの特集がキャンセル
先週、あるテレビ局の幹部との会合後、彼は親切にも私に、社内の動きを教えてくれた。政治部の幹部連中が、本誌キャンペーンに怒り心頭だという。
「上杉のスキャンダルを探せ。全力で探せ。経歴詐称でも、女絡みでも、誤報問題でも何でもいい。とにかく潰せ」
こうした号令が部内にかけられているというのだ。呆れるほかないが、各方面から私に対する圧力が増してきているのは確かだ。
テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』が6月1日に官房機密費の特集を収録するとのことで、私もゲストとして呼ばれていた。ところが、直前になって企画自体が中止になったのである。同じく出演予定だった評論家の宮崎哲弥氏が語る。
「官房機密費のテーマをぜひやりたいと番組側から打診を受け、上杉氏が出るというのでそれなら出たいと思っていたところ、後日番組側から、官房機密費については扱わなくなったと聞きました。野中広務氏が出ないからだという。企画内容が変わって上杉氏も出ないというので、私も出演しないことにしました」
TVタックルのプロデューサーも、「野中氏のスタジオ出演がスケジュール的に難しく、VTRにも出たくないとのことで、企画が空洞化してしまったことが理由」と説明する。しかし、私はこれまでも何度か出演したが、当事者がいないと企画が成立しないなどということは初めてのケースだ。何か企画を中止しなければならないような「力」が働いたのだろうか。またそれ以上に不思議なのは野中氏のこの間の行動だ。5月20日には毎日新聞の取材に応じている。「政治評論家へのあいさつなども前任の官房長官からノートで引き継いだ。1人だけ返してきたのが田原総一朗さん」(毎日5月21日付朝刊)など、これまで同様、小出しの発言を繰り返している。記者クラブメディアになら答えるが、私と話すのは嫌だということなのだろうか。
一方で、この問題の重大性に気づく言論人も増えてきた。宮崎氏は、「メディアにおける政治報道の根本的な機能は、国民の政治的意思の形成に資する適正な情報を提供することだが、それが権力によって不当に歪められている、または歪められている疑いがあることは、民主主義の根幹に関わる問題」だとして、今後問題を追及する決意を表明する。また、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「この問題を報じられるかどうか。マスメディアの生死がかかってるかもしれない」、ジャーナリストの岩上安身氏は「上杉隆氏、義によって助太刀いたす」とそれぞれツイッターでつぶやいている。
記者クラブメディアにも変化が起きている。幹部たちからの陰湿な嫌がらせとは対照的に、現場の記者からは「やっちまえ」との声をよく聞く。実は前号で報じた記者クラブから官邸への「メモ上納」については、以前から記者クラブ内で問題視されていたのだ。
「森(喜朗)政権のときに、記者が夜回りして取ってきたオフ墾(オフレコ懇談会)メモが官邸に出回っていることが明らかになった。当時は手書きかワープロだから、メモを集約する部長やデスクから流れていることは明らか。どうせ部長クラスは機密費をもらってるんだろうという話も加わって、上を突き上げたことがあったんです。だから今回のことは、やっぱりかと」(国会担当記者)
いよいよ、機密費を受け取った上の世代と、それを追及する下の世代とのマスコミ世代闘争の様相を呈してきた。新聞・テレビは毎週のように「世論調査」をする余裕があるのならば、何よりも先に社内がどれだけ機密費に汚染されているのか、「内部調査」をすべきだ。
番記者たちのリストもある
私はこの1週間ほどの間に、さらに数十人の元官邸関係者を連続直撃した。すると、メディアヘの機密費バラ撒きの生々しい実態がわかってきた。
本誌5月17日発売号で紹介した機密費リストについて、「この紙は断片に過ぎない」と教えてくれたのは、80年代に自民党政権下の官邸に務めた人物だ。彼は私が持参したメモを手に、解説してくれた。
「これは1枚紙のメモではなく、1冊のノートの断片にずらりと書き込まれたリストの見開きページをコピーしたもの。ここにあるのは政治評論家などの名前だが、そのほかのページには番記者たちの名前や社名なども記されていた。そのリストに沿って、盆暮れに現金や商品を配っていたんだ」
政治評論家リスト、そしていま私のもとに次々と集まってきている政治部記者らの名前が記されたリストは、それらがひとまとめにされた「機密費ノート」の断片だったのだ。
別の官邸秘書経験者も口を揃える。
「盆暮れに記者を一人ずつ呼び出して、平均30万円ぐらいずつ配る。必ず個室で、証拠が残らない形で渡す。部数の多い大新聞や、影響力の高い一部のテレビ局の記者は10万円ぐらい上積みしていた。反対に、部数の少ないブロック紙や通信社は10万円ぐらい低かった」
記者によって幅があるが、目安としてはA新聞と系列のAテレビ、そしてBテレビが最高ランクの40万円程度。C新聞や前記以外のテレビなどが30万円前後。低いのがD通信社で20万円といった具合だったという。
また、前々号で紹介したリストには政治評論家の名前に続いて自民党議員や秘書の名前と、下は「50」から上は「1000」にいたる万単位の金額と思しき数字が記されているが、それにも理由があった。
「これもすべてマスコミ対策費だね。官邸が直接渡すのと別に、有力議員や秘書を通じて評論家や記者に機密費を配っていたんだ」
リストには、議員や秘書の名前に加え、「自民党同志会50 自民党職員350 自民党幹事長室100 自民党選対100 自民党国対100」と記されていた。これもマスコミヘの経由地なのだという。こうして自民党の複数のルートを通じて、マスコミヘ機密費が広く配布されていたのだ。
このリストは引き継ぎの際、後任の官房長官秘書官が新しいノートに書き写すと、前任者はノートやメモをシュレッダーにかけるなどして、処分していたという。そして、総理退陣の際、官邸に残された最後の儀式、機密費の「山分け」が行なわれる。
「基本は総理と官房長官で山分け。余った分はそれぞれの秘書官たちがお世話になった議員や官僚、評論家や記者らメディア関係者にも配って使い切る。引き継ぎのときは金庫を空にするのが礼儀だった(笑い)」(官邸秘書経験者)
政権交代にともなう麻生内閣・河村健夫前官房長官の「消えた機密費2億5000万円」の行方を探る上で、実に興味深い示唆ではないか。
ちなみに、元参院議員の平野貞夫氏も、「細川護煕氏が首相を辞める際に、『私は機密費を自分で使ったことがない。お世話になった方に何かしたいのだが、どうすればいいか』と相談しにきた。『官房長官に相談すれば?』といったら、数日後に銀座から2万円の靴券が届いた。100人ぐらいに配ったそうだ」と証言している。
90年代の内閣官房の元高官が明かしたのは、よりグローバルな活動だった。
「ワシントン支局などに転勤が決まった政治部記者に、100万円単位でつけ届けるんです。それで2年間ほど向こうからの情報を送ってくれると考えれば、安いものです」
こうなると記者はちょっとした諜報員である。元官邸関係者らは、ほかにも生々しい実態を教えてくれた。
「昔は総理外遊などの際は政府チャーター機の中で機密費を政治部記者にお土産代として配っていたが、経済部などよそ者がいる場合は後で個別に配っていた」といった受け渡しの詳細や、「記者を吉原や川崎のトルコ(風呂)に連れて行った」という風俗接待の有り様、「夜中に酔っぱらうとしょっちゅう機密費を無心してきた」「50万円から100万円にといった金額のランクアップを要求してきた」政治評論家の所業まで暴露。渡した側はみな次々と証言をしてくれる。
官邸は機密費の目的を知らない!?
私は5月25日に行なわれた岡田克也外相の記者会見で、機密費がマスコミに渡っていた疑惑に関する見解を問うた。これに対し大臣は、「マスコミ対策に使われたかどうかは承知していない。それは内閣官房に聞いてもらいたい」と答えた。これに関しては平野博文官房長官の問題であると明言したのだ。
さて、その平野氏はというと、同25日、衆院議員の鈴木宗男氏の質問主意書に対して何とも珍妙な答弁書を示した。官房機密費がいつどんな目的で設けられたかについて、「初めて計上したのは昭和22年度だが、『何のために作られたものであるか』は確認できなかった」というのだ。河村前官房長官からの引き継ぎに関しても、具体的な使途についての説明や、引き継ぎの帳簿は存在しなかったとしている。
平野官房長官は5月14日に、政権発足後の6か月で国庫から支出された官房機密費3億6000万円のうち、未使用分の約1620万円について国庫に返納したと発表している。裏を返せば、いまでも毎月約6000万円ずつ機密費を使っていることを明らかにしたわけだが、「何のために作られたものであるか」もわからず、「具体的な使途」も知らされないままにこれだけの税金を使っているとすれば、それこそ問題だ。
平野氏は事の重大さを理解しているのだろうか。政治とジャーナリズムの癒着をめぐる全面戦争の火ぶたは、とっくに切って落とされているのだ。
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