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放送法改正案 権力介入の芽を摘め-現行案では「権力介入」の可能性がある(朝日・社説)−クロスオーナーシップの件は黙殺 http://www.asyura2.com/09/hihyo10/msg/632.html
「放送法改正案―権力介入の芽を摘め デジタル化などの技術の進展に対応するためだったはずの放送法改正案に危うい規定が盛り込まれている。 総務相の諮問機関である電波監理審議会(電監審)に、放送の不偏不党などについて調査し審議して総務相に建議できる権限を与えるというのだ。だが、これは放送内容への権力の介入を許しかねない。削除するべきである。 改正案の大筋は自公政権時代からの検討を踏まえたものだが、問題の項目は現政権が3月に追加した。現在は衆院総務委員会で審議中だ。 それによると、建議の対象は「放送による表現の自由を確保することに関する重要事項」や「放送が健全な民主主義の発達に資するようにすることに関する重要事項」に及ぶという。 抽象的な表現だが、それがくせ者だ。原口一博総務相は「放送行政のあり方をチェックしてもらうもので、番組に介入する意図は全くない」と強調する。 しかし、電監審は事務局を総務省に置く。委員の見解には政府の影響力が及ぶと考えるのが自然だ。独立性には大きな疑問符がつく。民放の社長や労働組合などからは、この審議会を通して政府が番組に注文をつけてくるのではないか、と警戒する声が出ている。 衆院の審議でも、野党議員が「大臣が代わればどうなるか分からない」と疑念を示した。権力者が都合のいいように使える規定は、表現の自由にとって禍根となりかねない。 番組の内容に問題がある場合に、検証し解決する仕組みはすでにある。NHKと民放でつくる第三者機関の放送倫理・番組向上機構(BPO)がそれだ。これまでに多くの事例を扱ってきており実績も重ねている。 だが、BPOについては前政権の総務相が「お手盛り」ではないか、などと批判したことがある。今回の改正案にも、BPOに任せたくないという総務省の本音が垣間見えるという指摘も聞かれる。 原口総務相は「表現の自由を守る側に立っている」と言う。一方で、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体をめぐる事件では、報道番組での「関係者によると」という表現を取り上げ、「電波という公共のものを使ってやるにしては不適だ」などと、牽制(けんせい)するかのような発言をしていた。 問題は原口氏だけではない。改正案は閣議決定を経て国会に提出された。閣僚たちはその内容と問題点を理解して署名したのだろうか。 放送をはじめマスメディアの最大の使命は、国民の知る権利への奉仕と公権力の監視だ。その基盤である表現の自由を脅かしかねない規制をつくるより、豊かで多様な情報空間を提供する。それこそが政治の役割と自覚してもらいたい。」
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