投稿者 上葉 日時 2010 年 4 月 13 日 22:30:07: CclMy.VRtIjPk
ゆとり世代は男子も「一般職」:日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20100408/213893/
ゆとり世代は男子も「一般職」蛯谷 敏(日経ビジネス記者)、白壁 達久(日経ビジネス記者)
一般職に応募する男子学生、就職専門の家庭教師に指導を受ける有名私立大学生…。買い手優位の厳しい雇用環境を背景に、学生の就職戦線に異変が起きている。「ゆとり教育」世代が就職期に入り、全体の質が落ちた影響と採用側は言う。
「一般職に、男ですよ」
困惑を隠し切れないといった表情で、ある生命保険会社のベテラン採用担当者が話す。企業の採用活動が本格化する4月。その最前線では、一昔前なら考えられない事態が起きている。
この保険会社では、長らく一般職と総合職の2つの職種で学生を採用してきた。一般職は、社内の事務処理などの仕事が中心であり、キャリアを積み重ねていく総合職とは異なる。応募条件に男女の制限はないが、通常は女性が就く職種と考えられてきた。
とりあえず「一般職男子」目指す
ところがここ数年、一般職の応募者に男子学生の姿を散見するようになったのだという。想定していなかった事態に、採用側も戸惑い気味で、「理由を一生懸命分析している」と採用担当者は言う。
彼らはどんな理由で一般職に応募するのか。先の採用担当者によれば、ある男子学生の志望理由は、「遠方への転勤がないから」だった。「一般職は、勤務地が大きく変わることがないことから、自宅から通える仕事を安易に選んだ、というのが本音だったようだ」。
一般職に群がる男子学生――。こうした動き、実は業種を問わずに広がっている。企業の採用活動を支援する採用プロドットコムの寺澤康介社長は、「ここ最近、一般職を希望する男子学生の話はよく耳にする」と言う。
試しに、一般職を採用している商社、銀行、生損保など10社に聞いたところ、6社で男子学生の応募があったとの回答を得た。実際に、どの程度の男子学生が一般職に応募しているかというデータはないが、その傾向が広がりつつあるのは確かなようだ。
無論、特殊な事情で一般職を希望する男子学生もいる。「家庭の事情などで、自宅を離れられないことから仕方なく応募する場合もある」と、損害保険会社の採用担当者が言う。
ただし、それだけではここ最近の増加を説明できない。ある採用支援会社の社長は「厳しい雇用環境の一端を反映した結果」と指摘する。
この社長によれば、一般職を選ぶ学生は、従来、派遣会社などに登録をしていたという。ところが、昨今は派遣切りが広がり、「派遣は不安定」というイメージが刷り込まれた。その結果、正社員志向の学生が増え、多くが一般職に流れ込んでいるという。
厳しい総合職の選抜競争を避け、「とりあえず一般職へ」と考える学生も増えている。「競争の激化で、総合職の内定獲得を最初から諦める学生もいるようだ」とメガバンクの採用担当者は言う。いわゆる、草食化。そんな傾向が、一部の学生に見られる。
多くの企業が採用を絞り込んだ結果、やむなく一般職へと向かう男子学生。だが、大企業の採用担当者は手厳しい。「一般職に応募する男性は、まず採用しない」と口を揃える。
もっとも、男女雇用機会均等法以降は、一般職と総合職に男女の制限はない。現実には総合職への女性進出が拡大しており、逆の現象が起きる可能性もゼロではない。実際、ある採用担当者はこう言う。「まとまった数の男子学生が一般職に応募してくれば、採用方針も変えざるを得ないかもしれない」。近い将来、総合職の女性と一般職の男性が結婚し、「男の寿退社」が始まるかもしれない。
1回1.5万円の就職家庭教師 異変は、これだけではない。
親子で就職活動。少子化が進んだ今、親が子供の就職活動に口ばかりか手や顔まで出すのはもはや珍しい光景ではなくなりつつあるが、こうした現象がさらに “進化”を遂げている。
「就職家庭教師」――。自宅に専門の指導者を呼び、エントリーシートの書き方や面接の対応方法を1対1でたたき込むサービスが人気を集めている。以前から、こうした就職指南を公開指導するセミナー形式のサービスは存在した。だが、それを個別で提供する家庭教師方式が出てきたのは、ここ数年のことだ。社団法人キャリア開発支援機構の「就職の家庭教師」もそんなサービスの1つ。昨年から始まったこの講座の受講料は、1回1万5000円。1コマから受講可能だが、多くの学生が10回コース(12万5000円)を選択する。決して安くはない料金を支払っているのは、大半が親だ。
「早稲田・慶応義塾・上智といった有名私立の学生も多い」と、担当者の下田明氏は言う。本格的な就活シーズンとなった3月以降、応募が増えている。現在、100人近い学生に20人のカウンセラーで対応しているが、「人手が足りないくらい」と下田氏は語る。
就職戦線に起きている異変。その背景を、採用プロドットコムの寺澤社長は「大学生全体の質が低下していることに起因する」と分析する。
文部科学省によれば、大学への進学率は、昨年の春に初めて5割を突破した。大学志望者に占める入学者の割合を示す入学率も、92.7%と過去最高を記録。「簡単な面接だけで入学できる大学も増え、誰もが望めば大学生になれる時代になった」(寺澤社長)。その弊害として、学生の平均的な質の低下も目立つようになった。同社が昨年12月に企業の採用担当者に対して実施したアンケート(総回答社数388社)でも、「質の高い学生の採用は苦戦しそうだ」との回答が43%に上った。
「担当者が最も質の低下を感じるのが、学生のコミュニケーション能力。携帯電話とインターネットの普及によって、そもそも人と会って話そうとする学生が減った」と、採用プロドットコムの松岡仁・業務部長は指摘する。2010年春以降は、いわゆる「ゆとり教育」を受けた世代が本格的に企業社会に入ってくる。上の図で紹介しているように、就職活動の情景は一昔前とは様変わりしている。
こうした状況に、昨今の厳しい就職環境が重なった結果が、「一般職男子」や「就職家庭教師」などを生んだ背景にあるというわけだ。
事態の変化を受けて、企業の採用活動にも変化が見え始めている。特に大企業を中心に進んでいるのが、採用大学の絞り込みだ。従来、学部不問のオープンエントリーを標榜していた企業が、方針を一転し、重点的に採用する大学をあらかじめ設定する動きが広がっている。先の採用プロドットコムが実施したアンケートでは、6割近くが1〜10校に大学を絞り込んで採用活動を実施するという結果が出ている。一部の企業ではリクルーター制度が復活しているところもあるという。
就職活動の最前線で起きている異変は、大卒就職率80%という数字が、単に景気低迷と業績不振を反映した結果にはとどまらないということを暗示している。
日経ビジネス 2010年4月12日号10ページより
◆関連
「一般職に、男ですよ」・・・でどこが悪いの? : EU労働法政策雑記帳
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/04/post-3cff.html
Togetter - まとめ「『ゆとり世代は男子も「一般職」』の記者への公開質問 by @y_arim」
http://togetter.com/li/14102
蛯谷敏(S Ebitani) (sebitani) on Twitter
http://twitter.com/sebitani
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
フォローアップ:
次へ 前へ
▲このページのTOPへ
★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評10掲示板
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/
since 1995
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの
引用、転載、リンクを許可します。
確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。
▲このページのTOPへ
★阿修羅♪ > マスコミ・電通批評10掲示板