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朝日 社説を斬る(2010/4/1) http://www.asyura2.com/09/hihyo10/msg/507.html
小関博公式ブログ 社説のタイトルには「首相の資質」とあり、「鳩山氏のリーダーシップの迷走」とあるので、首相のリーダーシップがないことを社説で批判したいのであろう。 社説を読んでみると二つのことが問題にされている。一つは、「ゆうちょ銀行への預け入れ限度額を2千万円に倍増、かんぽ生命保険の保障限度額を2500万円にほぼ倍増するという内容」についてで、これについては、「手っ取り早く規模を拡大して収益を増やそうという安直な路線」だとして、社説は反対している。 その理由として、 「弊害ははっきりしている。郵貯は資金の大半を国債で運用している。資金が民間金融機関から郵貯に移れば、企業の設備投資などに回る資金が減り、経済の活力がそがれる。「中小企業をいじめるような法案」(山口那津男公明党代表)と言われても仕方がない」 だという。 だが、おそらくこの記事を書いた記者は中小企業という存在も取り巻く状況も少しも分かっていないのだろう。どうしてそれが鳩山総理のリーダーシップの問題なのかはともかく、確かに多くの中小企業は資金的に銀行依存であり資金不足に悩んではいる。が、それは銀行が貸し出す資金を集められなくて、資金が潤沢でないために銀行の貸し渋りにあっているわけではないのである。銀行(地銀)は貸したくても貸し出す先が見つけられなくて困っている。そして、もちろんそれ自体問題ではあるが、これは銀行に潤沢に資金を回るようにしたところで解決する問題ではないのである。 なぜ銀行は貸出先が見つけられないかと言えば、銀行自体がリスクを取って産業を育てるなどということが全く出来なくなっており、簡単に言えば商売の能力が著しく低下してしまったのが原因なのである。 そのため国は中小企業のための政策として、信用保証協会を作りそこで債務を保証することによってリスクを肩代わりして来たのである。それだから今中小企業が借入をする場合には国の信用保証協会付が当然の条件であって、銀行それ自体のプロパーの貸付はほんの微々たるものでしかない。 国は景気対策としてこの信用保証協会の保証枠の拡大を打ち出すことが多いが、これは近頃では余り効果を持っていない。そもそのこの政策は中小企業のためといってもそれは間接的であり、実際には銀行への支援なのである。 つまり銀行(地銀)はすでにその本来の役割を果たせなくなっているのである。それどころか国に保証枠など支えてもらうことなしには、銀行は自らの商売すら出来なくなっているのだ。そんなことだから、地域に貢献するということもさほどは期待できない。 日本の借金の制度の問題は限界に来ている。それが新規事業の立ち上げなどが振るわない大きな原因になっていると考えられる。日本の金融には連帯保証人制度などという前近代的な制度も残っている。アメリカだったら、もし担保を取って借入してそれが倒産などの事情により返済不能になれば担保物件を手放しさえすればそれで終わりである。日本はそうではない。 日本の借金制度においては、借り手にきわめて不利な条件が設定されているのである。これは借り手に不利なだけでなく、実は貸し手も有利だとばかりはいえない。所詮借り手と貸し手とは、ともにうまくいかなければ共倒れせざるを得ない、そういう関係なのである。 そう考えた時、郵貯はその日本の借金制度の不備を補うものとして大きな役割を担うものとして郵貯を考えていることは、亀井大臣の今までの発言から間違いないものと思う。 朝日新聞は選挙目当てに郵貯の限度額を引きあげをねらったものと言いたいのであろう。だがこのことは、朝日社説が言うような政局の話ではなくて非常に重要な政策、いや政治の哲学に関する事柄なのである。 すなわち日本の信用創設のあり方に関する哲学の問題なのである。亀井大臣にこのことを聞いて見たら良い。ここに書いたものと同様の答えが返ってくるものと思われる。 もうひとつの普天間の問題についても社説を批判したいがそれは次の機会とする。 郵政決着―擦り切れる「首相の資質」 見当違いのリーダーシップだと言わざるを得ない。鳩山由紀夫首相が主導した郵政改革案の決着のことである。 閣内や与党内にも異論があったが、亀井静香郵政改革相らの案に沿って進めることを決めた。ゆうちょ銀行への預け入れ限度額を2千万円に倍増、かんぽ生命保険の保障限度額を2500万円にほぼ倍増するという内容だ。 手っ取り早く規模を拡大して収益を増やそうという安直な路線である。 弊害ははっきりしている。郵貯は資金の大半を国債で運用している。資金が民間金融機関から郵貯に移れば、企業の設備投資などに回る資金が減り、経済の活力がそがれる。「中小企業をいじめるような法案」(山口那津男公明党代表)と言われても仕方がない。 民主党はもともとは郵貯の規模縮小や簡保の廃止を掲げていた。首相はなぜ逆方向の改革案をのんだのか。 亀井氏らを抑え込もうとすると、連立政権の危機につながりかねない。かといって、「学級崩壊」の様相すら呈する閣内の対立を放置すれば、イメージダウンは深刻になる。その一方、特定郵便局や労組などの郵政ファミリーを引きつければ参院選には有利だ。そんな事情があったのだろう。 政策判断より政局判断を優先した、後ろ向きの「裁定」というほかない。 鳩山氏のリーダーシップの迷走は、谷垣禎一自民党総裁が言う通り、もはや「首相としての資質」が疑われるところまで来ているのではないか。 きのうの党首討論で谷垣氏は、いろいろな問題を引き起こし、混乱を生んでいる真の原因は、「首相の言葉」そのものにあるのではないかと述べた。的を射た指摘である。 好例が米軍普天間飛行場の移設問題だ。首相は3月中に政府案をまとめることを「お約束する」と述べてきた。だが、3月末が近づくと「法的に決まっているわけじゃありません」などと言い訳し、「1日、2日ずれることが大きな話ではない」と言い放つに至った。「綸言(りんげん)汗の如(ごと)し」という言葉をご存じないのだろうか。 これでは、5月末までに「命がけで」決着させると聞かされても、有権者は鼻白むしかない。 この問題では、首相は「腹案」なるものがすでにあることを明かし、「考え方は一つだ」と語った。しかし、岡田克也外相は現時点で一案に絞るのは「ありえない」と述べたばかりだ。二人は口をきかない間柄なのか。 改めて指摘するのは残念だが、首相はともかく言葉をもっと大事にするべきである。自分の発言がどういう政治的意味を持つか、無頓着すぎる。 最高指導者として政策の方向性を定め、責任ある言葉で政権内を調整し、引っぱっていく。そんな首相の資質への期待が擦り切れかかっている。
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