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http://news.livedoor.com/article/detail/4473006/
過労死・老衰死していく毎日新聞の運命(上)
2009年11月27日11時06分 / 提供:PJ
東京・千代田区にある毎日新聞社の正面玄関階段。(撮影:小田光康)
【PJニュース 2009年11月27日】各種報道によると、経営難に陥る毎日新聞が、全国の地方紙などが出資する共同通信に2010年4月から加盟することになった。毎日は人員整理はせず、全国紙の看板を守る方針だという。また、地方の取材網を維持しながら地方紙からの記事配信を受け、さらには、脱発表ジャーナリズムを目指すという。一方で、共同との合同航空取材や共同通信加盟社への印刷・販売の委託などで経費節減などを図るという。
この記者会見で朝比奈豊・毎日新聞社社長は「地域面は今のままで、提携に伴うリストラは考えていない」と述べ、「記者クラブに拠点を置きながら、官公庁や企業の発表は共同通信も活用し、分析や解説に力を入れる脱発表ジャーナリズムを進めたい」と語った。
果たして、こんな夢のような経営戦略がまかり通るのだろうか。毎日は実際のところ「全国紙」の看板を捨て去り、実質上、地方を切り捨てて「東京ローカル」な新聞に均衡縮小していくという戦略を取るわけだ。ここまでは納得がいく。ただ、毎日新聞の根本的な経営難をこれで解消できるわけではない。筆者はこの計画が絵に描いた餅に終わり、結局、毎日新聞が袋小路に陥って過労死、老衰死していくと予想する。この根拠について記していこう。
まずは、毎日新聞の販売数の減少という影響だ。毎日は地方の取材網を維持すると主張するが、そうであれば共同への加盟は無かったはずだ。徐々にではあろうが、地方の取材拠点を減らして経費を削減していく、というのが毎日の基本路線であることは間違いない。すると、既存の共同加盟社と競合する地域で、毎日新聞の紙面展開は今まで以上に苦戦を強いられるのは明らかだ。呉越同舟となった共同加盟社とて新聞不況による経営難は同質。敵に塩を送るような余裕はない。むしろ、記事の質と量ともに相対的に劣後した毎日新聞のシェアを、地方紙と全国紙が奪い合うことになろう。その結果、地方での毎日新聞の販売部数低下が予見されるのである。
次に、過剰人員の早急な削減がすすまないことによる財務体質のさらなる悪化が挙げられる。一般に、新聞社の財務構造は人件費や取材費などに代表される固定費の比率が高く、それにより損益分岐点が高止まりする傾向にある。つまり、利益が出にくい財務体質なのである。赤字経営に陥り、緊切な財務体質改善を迫られる毎日新聞が人件費維持を前提とするならば、販売部数を伸ばさない限り、その改善は見込めないのだ。翻って、足元の国内景気を臨めばデフレ経済に突入した状況だ。デフレ下で新聞の販売単価と部数のいずれが減少することはあっても、増加することはまずない。経営感覚を欠いた新聞記者上がりの毎日新聞経営陣がこの無理難題を乗り越えられるかというと、大きな疑問符が付く。
3つ目は年功序列型賃金体系を崩せぬことで、記者の士気がますます低下していくことがある。毎日新聞に限らず、朝日新聞や読売新聞といった大手新聞社では、過剰な労働を強いられる薄給敏腕の記者と営業社員におんぶにだっこしている、ねじ曲がったプライドを持ちながら高給をむさぼる記者・デスクといったその他大勢がいるという構造がある。これは今盛んに議論されている日本航空の経営構造に非常に似通っている。強い労組に守られた社員が自ら毎日新聞の内部崩壊を加速させているのだ。このゆがんだ構造が優秀な記者の士気を奪いつつ過労死を誘い、無能なその他を老衰死させる原因となるだろう。【つづく】
パブリック・ジャーナリスト 小田 光康