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http://www.tokyo-np.co.jp/article/entertainment/news/CK2009110702000065.html
2009年11月7日 朝刊
NHKの受信料収入が、契約数は順調に増えているにもかかわらず伸び悩んでいる。不況の影響で生活保護世帯などの受信料免除者が増えているためだ。本年度予算では、受信料収入を過去最高の六千四百九十億円と見込んでいたが達成は厳しい状況。経営計画に盛り込んだ二〇一二年度からの受信料収入の10%還元はどうなる? (近藤晶)
「信頼回復の指標として何としても達成したい」。今年一月に行われた予算についての会見で、金田新専務理事は、目標とする受信料収入の確保に強い決意をにじませていた。本年度は、昨年十月に経営委員会で議決された経営計画(09〜11年度)の初年度。一二年度からの「受信料収入の10%還元」へ向けた第一歩であり、予算では受信料収入を前年より百四億円多い六千四百九十億円と見込んだ。
しかし、本年度上半期(4〜9月)の受信料収入は三千二百億円にとどまり、年度予算の半分に四十五億円足らなかった。第二・四半期の業務報告では「受信料収入の確保が大きな課題になっている。予算で見込んだ六千四百九十億円の確保が厳しくなりつつある」としている。
一方で、受信契約は順調に増加している。本年度の年間増加目標を契約総数三十万件、衛星契約六十万件としているが、上半期は、それぞれ十八万九千件(年間目標に対する進ちょく率62・9%)、三十四万三千件(同57・2%)と計画を上回るペースで増えている。NHKは昨年十月、訪問集金を廃止しており、その人員を未契約者や支払い拒否・保留者に対する活動に振り向けたことが効果をあげた。
「パワーシフトによって契約の取り次ぎは極めて好調だが、予想外だったのは受信料免除世帯がこれだけ増えたこと」(福地茂雄会長)。受信契約が増加しているにもかかわらず、収入が伸び悩んでいるのは、厳しい経済状況が背景にある。生活保護受給者や市町村民税非課税の障害者らは、受信料が全額免除される。昨年度の生活保護世帯数は、八年連続で過去最多を更新。本年度に入っても、「公的扶助を受けて受信料全額免除になる世帯が三倍から四倍に増えている」(大西典良理事)という。
また、経済的な理由から、口座振替が残高不足で落ちなかったり、振込用紙による振り込みがされなかったりするケースも出ている。上半期のこうした減収額は、当初の想定を上回る六十四億円に上り、契約増加による増収額七十二億円をほぼ相殺する形になってしまった。
本年度は、地デジ投資の追加経費を計上したため、当初から赤字予算。しかし、経費削減と合わせ、地デジ関連支出の一部が来年度に繰り越される可能性があり、受信料収入が予算を下回っても赤字幅は拡大しないとみている。
福地会長は、五日の定例会見で「収支バランスは入りも少ないが出も少ない。年度末の帳尻は合うと見込んでいる」と説明。「三カ年経営計画を変更する必要は今のところないと考えている」と述べ、現時点では一二年度からの「受信料収入の10%還元」を堅持する考えを示した。
ただ、経営計画が議決されたのは、いわゆる「リーマン・ショック」の翌月。その後の急激な経済状況の悪化は織り込まれていない。今後の経済状況によっては、口座振替率の低下や全額免除世帯がさらに増える懸念もある。経営計画では、受信料収入を一〇年度に六千六百四十億円、一一年度に六千八百億円を目指すとしているが、ハードルは高いといえそうだ。