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【12/11/24号】 2012年11月19日 週刊ダイヤモンド編集部
2兆円規模まで成長した健康食品市場の「真実」 あの大人気ダイエットサプリで 相次いでいる健康被害
腹がぽっこりと出た人気お笑いタレント2人が激しい運動もせずに、相次いで引き締まった体になったとのテレビCMで有名になったサプリメントがある。
「食事制限嫌い、運動嫌いな方のダイエットをサポート」というキャッチコピーの効果は絶大で、男女問わずダイエット志向の消費者が飛び付き、あっという間に人気に火が付いた。サプリの売り上げランキングでは常に上位に入る大ヒット商品だ。
だが、このサプリをめぐって、発売当初から、消費者が相次いで健康被害を訴えている。
東京都内に住む30代の女性は、このサプリを飲んだその日、妙な動悸と、熱っぽさを覚えた。翌日には激しい嘔吐と下痢を繰り返すようになり、一切の食べ物を受け付けなくなったという。
「ひとときもトイレから離れることができないほどの腹痛に加え、じんましんまで出た。3日間寝込んで会社を休まざるを得なくなった」(30代女性)
いわゆるメタボに悩んでいた中年の男性は、妻からこのサプリをプレゼントされた。「心配してくれているんだ」とうれしくなって早速飲んだところ、下痢をはじめ、目まいや立ちくらみを覚え、やはり寝込んでしまったという。
症状の程度にこそ違いはあれど、多くの人が通常の色ではない便が出たり、下痢の症状を訴えたりしている。
「ダイエットなんだから下痢で出して痩せるんだろう」などと考えるのは大きな間違い。日常生活で下痢をすれば薬を服用する人も多いはず。これも立派な健康被害である。
もちろん、すべての使用者が発症したわけではなく、生活環境や食生活によっても異なるため、このサプリが原因だと一概に言い切ることはできない。ただ、いずれのケースも飲むのをやめた途端、症状は改善しており、何らかの影響があったものと推察される。
現に、被害の相談を多数受けた公的な機関が成分を調査、体への影響について現在、研究を開始している。
全貌が研究されていない
原料のハーブが原因か?
実はこのサプリを販売している健康食品メーカー、2003年にもやはりダイエット系のサプリで同様の事態を引き起こしている。
このときは、メリロートと呼ばれるマメ科のハーブを原料としたサプリで、原因と疑われる肝機能障害の事例が2件、厚生労働省に報告されている。ちなみにその際には、社名まで公表されたものの、因果関係が明らかではないとしていまだに販売を継続している。
そして今回のサプリもやはりハーブで、コレウス・フォルスコレリというインドやタイ、ミャンマーなどに自生するシソ科の多年草を原料としている。
この多年草から抽出されるフォルスコリンという成分が、脂肪の分解を促進するという論文は存在する。ただ、コレウス・フォルスコレリの中のわずか10%にすぎず、それ以外の成分に関する分析は行われていないままだ。
このメーカーでは、12人の男女を対象に8週間にわたる臨床試験を実施、体重は減り、軽度の消化器症状以外は特に問題はなかったと米国生薬学会で発表している。
ただ、事情に詳しい専門家は、「学会は特に厳しい審査があるわけではなく、誰でも発表できる」と言い、発表したからといって安全だとも言い切れない。
これに対し、このメーカーは、「便通に影響を受ける方が多い傾向があるので『過剰摂取は避け、体調に併せ摂取量を増やして』と記載している」とコメントしている。
カネのにおいを嗅ぎつけ
さまざまな企業が参入
サプリなどを含む健康食品市場は、昨今の健康志向の高まりを追い風に、今や2兆円規模にまで拡大している。
1991年からは特定保健用食品、通称トクホ制度がスタートし、市場も一気に拡大。発がん性物質が問題になった「エコナショック」などもあったが、08年からスタートしたメタボ健診の義務化などを追い風に成長してきた。
6割近くの消費者が使用した経験を持ち、半数以上が2種類以上を併用、健康食品に年間1万2000円以上支出している人は実に4割に上っている。
これまではテレビや新聞広告を通じた通信販売が中心だったが、インターネットの普及により、より身近な存在になったことが大きい。団塊世代が年齢を重ね、健康をより意識し始めたことも後押ししている。
市場の拡大に伴って、カネのにおいを敏感に嗅ぎつけて参入する企業や業者は後を絶たない。医療などと比べ参入障壁が格段に低いこともあって、中小を含めれば把握できないほどの数だ。
最近では、食品メーカーや飲料メーカー大手も相次いで健康食品事業に乗り出し、富士フイルムホールディングスなど異業種や、小林製薬など医薬品メーカーも殴り込みをかけている。
とはいえ、「期待ほどの効果を感じなかった」とアンケートに答える消費者が8割以上にも上っている。それもそのはず。詳細は後述するが、健康食品は薬ではなく、あくまでも食品だからだ。
にもかかわらず購入する人が絶えないのは、「どこかでそんなに効くわけがないと思いながら、あくまでも気休めとして買っている人が多い」(健康食品メーカー幹部)というわけだ。
ただ、冒頭で紹介したようなケースのように、気休めにしてはあまりにも高い代償を払わなければならなくなった健康食品も少なくない。健康食品が原因とみられる健康被害の事例が相次いでいるのだ。
厚生労働省がまとめたものを見ると、実はすべてダイエット系の食品で、原材料はほとんどがハーブだ。肝機能障害を発症しているものが多いが、じんましんが出たり、下痢や腹痛、嘔吐を伴っているものがほとんど。中には繊之素膠丸のように、服用後、劇症肝炎によって死亡したケースもあるから恐ろしい。
これらはあくまでも医薬品成分が入っていない商品。健康食品と呼ばれるものの中、個人輸入の普及により国内に大量に流入、蔓延している「無承認無許可医薬品」になると被害はさらに拡大する。
これは、食品として流通していながら医薬品成分が検出されたものを指し、薬事法違反となる代物だが、被害者が3桁に上ったものがいくつもある。
薬局やドラッグストアなどで当たり前のように販売しているメジャーな商品の中にも危ない商品はある。
たとえば、「痩せにくい人へ燃焼成分を補給」などとうたっているα−リポ酸は、人によって低血糖状態に陥り、冷や汗や手足の震えといった症状が現れることがあるとして、厚生労働省も警鐘を鳴らしている。
世の中にあふれる情報を
見極める“目”が重要
「効果などないとうすうす思っていたが、やっぱり効果のある健康食品などないのか……」
ここまで読み進めてみて、そのように感じられた読者もいるかもしれない。だが、決してそのようなことはない。用法・用量を守れば、薬のような即効性はなくても、症状や体質を改善するものが存在する。
ただ、商品によっては、患部に直接注射するなら効果はあるが、口から飲んでも何の意味もないといったものもある。
一方で、消費者の無知につけ込んで、いかにも効果があるよう広告などで誤認させたり、重病を患っている消費者の不安をあおり、「絶対に治る」などとだまして高額の商品を売り付けたりするような悪いやつらも跋扈している。
いくら不安だからといって、そうした連中にだまされては元も子もない。見極める目を養うことが最も重要である。
『週刊ダイヤモンド』11月24日号の特集は、「健康食品・サプリのウソ・ホント」。いまや国民食となっている健康食品。しかし、健康食品には明確な定義がありません。メーカー側が健康にいいと言えば、それは自動的に「健康食品」になってしまうだけに誤解や間違いも多いのです。
そこで今回の特集では、関節痛などを改善するといわれるヒアルロン酸やグルコサミンをはじめ、アミノ酸やセサミンといった人気の高い健康食品を中心に、効果の有無を徹底的に検証します。
クロレラやローヤルゼリーといった老舗の健康食品についても併せて取り上げていますので、利用している人、今後、利用を検討している人はぜひ参考にしてください。
正確な知識を得た上で過剰な期待はせず、健康食品とうまく付き合う方法を身に付けることが何よりも重要なのです。
(『週刊ダイヤモンド』副編集長 田島靖久)
http://diamond.jp/articles/print/28098
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