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斎藤環氏  〜現代社会と新型うつ〜
http://www.asyura2.com/09/health15/msg/596.html
投稿者 MR 日時 2012 年 10 月 01 日 22:51:56: cT5Wxjlo3Xe3.
 

− 第21回 −

斎藤環氏
 〜現代社会と新型うつ〜

 今週の講師は、精神科医の斎藤環さん。医師として診療にあたる一方、「ひきこもり」や「ニート」など若年世代が抱える心の問題についても研究し、積極的に発言されています。そんな斎藤さんにお聞きしたのは、いま20代〜30代を中心に浸透し、新たな社会問題となりつつある「新型うつ」の問題。「従来型のうつ」と「新型うつ」は、いったいどこが違うのでしょうか?。

従来とは違う、新しいうつ


 新型うつは、20代〜30代の若い世代に広がりつつある新しいタイプのうつ病です。特徴は、症状が際立って軽いこと。そのぶん、ケースによってはなまけや甘えと区別がつきにくいのです。従来のうつ病は、まじめで責任感が強く、社交性もあってばりばり仕事をこなす人を襲う病気でした。がんばりすぎるあまり調子を崩し、最終的には自殺を考えてしまうほど危険な側面があったのです。しかし最近はうつになる人の数が増える一方で症状は軽くなり、どこの国でも精神科の病院は患者さんの予約でいっぱいです。

 「眠れない」、「やる気が出ない」、「仕事に集中できない」などタイプは様々ですが、一番目立つのは「うつ病なんです」と訴えてくる人の多さ。そして自殺の危険性が高かった旧来のうつ病と違い、最近のうつ病は自殺の危険性はそれほど高くありません。そのかわり、自傷、リストカット、OD(オーバードース:大量服薬)などの危険性が高いため、「周囲を振り回す困った人」という印象があります。また旧来のうつ病の場合は、まじめだった人が急に仕事ができなくなったりしたわけですが、最近のうつは、「元来なまけがちでさぼり癖があり、いい加減な人の症状がちょっとこじれてしまった」と見える傾向があります。

もともとの性格との関係が深いとも考えられますし、生き方の問題ともいえますので、軽いけれども治しにくいという特徴もあります。逆に言えば、昔のうつは我々からすると少しほっとする側面がありました。薬を飲んで休養を取ってもらうだけで治ったからです。ですが新型うつは休ませても治りませんし、薬の反応も鈍く治りにくい。精神科の疾患には「軽いけれども治りにくい」というケースがあるのですが、新型うつはその典型です。

社会の変化と新型うつ

 うつ病は昔から、「適応の病」と言われています。社会の価値規範によって病気の状態が変わってくるという説です。私はそれは正しいと思っていますが、かつてのうつ病は「勤勉が素晴らしい」とか「組織の一員として社会のためにがんばることが素晴らしい」など、高度成長期にもてはやされた価値規範を誰も疑わなかった時代の病気であると言えます。つまり、そのような考え方に過剰適応した人がかかる病気だったのです。しかし現在はそういう価値規範は流行らず、それどころか、がんばっても報われない人が大量に出てきています。ですから勤勉な論理はまったく流行りませんし、誰も信じていません。

 そんななか、若い人々が共有している価値規範がひとつだけあるとしたら、それは「人から承認されること」です。かつては「なぜ働くのか?」と聞かれた場合、ほとんどの人が「食べるため」と答えました。いまの若い人も普通に聞けばそう答えるでしょうが、内情は「承認のため」になるはずです。「人から認めてもらうため」、「恋人をつくるため」、「結婚するため」などです。

 つまり人間関係をつなぎとめ、人から尊敬されないまでも「認めてもらう」ことが求められている。ですから承認されることが素晴らしいという価値観が高まり、承認されたいという気持ちにどこまで適応できるかという競争になってきています。ですから、承認から少しでも外れるとうつになったり、諦めてひきこもりになるわけです。

 それと並行して懸念しているのは、コミュニケーション力が過剰に求められすぎる点です。企業も能力と同等かそれ以上のコミュニケーションスキルを重視しますし、学校内ではこうした考え方によって「スクールカースト」と呼ばれる「教室内身分制度」ができあがることもあります。企業においても学校においても、コミュニケーション偏重主義と言われるほどコミュニケーションスキルが重要視されているのです。昔は運動能力や成績などの評価軸がありましたが、いまはそういうところは評価されなくなり、「コミュ力」のみが求められるようになってきている。こうした傾向も、「承認が素晴らしい」という規範と結びついているでしょう。社会の変化が、新型うつの発症要因に関係しているのです。

新型うつと教育のあり方


 教育との関係性に目を向けると、新学習指導要領ができてから新型のうつが広まったという尾木直樹さんの考え方にはかなり説得力があると思います。この評価軸が導入されて以降、成績だけでなく学習態度が評価されるようになりました。良い点を取っても不真面目だったら点が低くなるというような評価が加わり、それが結果的に承認の価値を側面から強化しはじめたのです。

 態度も含めて評価されるのだとしたら、がんばる姿を学校の先生に見せなければならなくなります。すると「どう見られるか」が大切になり、それが生徒の自己肯定感を不安定なものにしました。ですから、この制度の導入以降は先生に反抗的な態度をとる生徒がほとんどいなくなりました。しかし人格レベルまで評価されるようになると非常に窮屈で息苦しくなり、うつ病に結びつきやすい。ゆとり教育に関係があると思いますが、近年はストレスに弱い、耐性の低い青年が生まれてきている気がします。

 また、家庭の問題もあります。家族の態度を全体的に把握するのは困難ですが、虐待件数が年々増えていることもあり、我々としては「親から全面的に肯定されたことがあるかどうか」を意識します。「あなたはなにがあっても大事な子ですよ」というメッセージをどれだけ受け取ってきたかが重要なのですが、そういう無条件の愛情を受け取ることができずに育った子も少なくないと思います。それは親が自分の子どもを自らの承認の道具にしてしまっているためで、そういう環境に育ったお子さんは耐性が弱くなってしまう可能性があります。自尊心は高いけれども自分を肯定できず、少しでも条件を外れると、うつに転落していきやすくなるのです。

新型うつとどう向き合うか

 では自分や家族に新型うつの症状が疑われた場合、私たちはどう対処したらいいのでしょうか? まず意識すべきは、新型うつという病名をつけているのが日本だけだということです。先ほども触れたとおり我々は、うつ病は「責任感が強く、まじめな人が過剰な状況につぶされてなる病気」であるという教育を受けてきました。しかし、そうした古いタイプのうつ病はかなり日本独特のものです。だからこそ日本の精神科医は「いままでとはタイプの異なるものが出てきた」と感じているわけですが、どちらのタイプも英語ではデプレッション(Depression)ですし、軽いか重いかという違いしかありません。いま新型うつと言われているものは、70年代後半から「逃避型抑うつ」という呼び名で扱われていました。厳しい現実からうつ状態に逃げ込んでしまう患者さんを指しているわけですが、現在でもこの病名はかなりの患者さんに当てはまると思います。

 いずれにせよ患者数が10年間で2倍に激増しており、これからも増えるでしょう。病院数が2倍になると患者さんも2倍になるという変な現象があるので、社会保険や福祉面でも間違いなく負担になっていくと思います。しかし企業でもメンタルヘルス部門をしっかり設けて予防に力を入れれば、ある程度は防げますし、若い世代に寄り添って、予防的に考えていくという発想の転換が求められてきています。

 繰り返しになりますが、うつの特徴に「意欲の低下」があります。そうなると仕事のみならず、趣味もできなくなる場合もあります。しかも、ショックを受けたあとでうつ状態になる「反応性うつ」(それは健康的な反応です)と違って、通常のうつは原因がはっきりしないことが多い。基本的にうつは体の病気ですので、睡眠、食欲、倦怠感を重視し、症状を自分で見極め、体調面の不調や意欲の低下が長引くときはうつを疑って受診することをお勧めします。

(2012年10月1日掲載)
http://www.blwisdom.com/future/21/  

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コメント
 
01. 2012年10月01日 23:35:36 : cqRnZH2CUM

>新型うつは、20代〜30代の若い世代に広がりつつある新しいタイプのうつ病です。特徴は、症状が際立って軽いこと。そのぶん、ケースによってはなまけや甘えと区別がつきにくい

そうじゃないだろ

なまけや甘えというのは、脳の障害(病気)に分類されるようになったということだ

先進国では貧困が個人のせいではなく、社会病理になって、責任が他の国民に負わせられるようになったのと同じこと

それが福祉社会

ありがたいことだな


02. 2012年10月08日 21:28:16 : txKoq6KBVw
くだらない
斉藤環なる精神科医?は誰も救えない

03. アクセルagwpdgmhmjpj 2012年10月14日 20:30:41 : o.gl1OAqmILow : ZmaC6GKStY
上二人は少しは勉強してから発言したらいいよ。斎藤環は優秀な医者。彼より優れた医者が日本に何人いるだろうか?
ちなみに甘えや怠けは病気とはされていない。単なる状態だから治療の
対象でも何でもない。
足がおれてる人が歩かないで車椅子で移動するのを自分の足で歩かない怠け者といっているようなもの。脳のなかは見えないというだけでなんの違いもない。しばらくすれば歩けるようになる。

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