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「自然」という贅沢品
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投稿者 MR 日時 2012 年 9 月 29 日 14:57:48: cT5Wxjlo3Xe3.
 

2012年09月23日 09:28 科学/文化
「自然」という贅沢品

きのうの和郷園のツアーは、予想以上の参加者が集まって大盛況だった。意外にもほとんどが若い人で、農業を新しいビジネスとして考えているのが印象的だった。

和郷園は一般には「自然循環型農業」として知られているが、現場を見ると普通の農家より機械化・合理化している。農薬は最小化しているが、いわゆる有機農業ではない。しかし彼らは品質管理を徹底し、「国産の安心」をセールスポイントにして生協などに売り込んでいる。価格だけで競争すると、輸入農産物には勝てないからだ。

エコロジストを自称する人々は、有機農業や無農薬栽培で「自然のまま」に栽培することが善だと信じているのかもしれないが、本当に無農薬にしたら農作物は壊滅して生活は成り立たない。よくも悪くも、もう日本には「ありのままの自然」なんてないのだ。それでも人々は自然を求め、「安心」な農産物にはプレミアムを払うから、和郷園では農薬を減らし、手間をかけて品質管理する。つまり自然とはありのままの状態に戻ることではなく、普通の農業より高コストの贅沢品なのだ。

「古代には人々は平和に暮らしていたが、文明によって堕落した」という歴史観は、創世記から反原発派に至るまで、ありふれたお伽話だ。たとえば梅原猛氏はこう書く:
政治家、実業家、学者、芸術家などの多くが、道徳心を失っている。特に政治家は、金銭欲、権力欲にとらわれ、私的利益ばかり追っている。[・・・]今回の事故は、あらためて近代文明の是非を問い直し、新しい文明を作るきっかけにもなるのではないか。まずは日本が率先して原発のない国を作り、それを世界に広げていくべきだと思う。
和郷園の人々は、こういう通俗的な「エコ」をまったく語らない。彼らは「ありのままの自然」がきわめて人工的な製品であることを知っているからだ。7人が死亡した浅漬けの事件にみられるように、加熱・殺菌を省いて「自然のまま」加工した食品のほうがリスクが大きい。

梅原氏の語るようなロマン主義は、世界の自然を大規模に破壊した西洋人が、その罪を糊塗するために語る裏返しの自民族中心主義である。彼らは文明の中に住みながら、自分と無関係な自然だけは保存せよという。彼らは原子力が「自然エネルギー」ではないというが、太陽光発電こそもっとも人工的で高価なエネルギーだ。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51805308.html

こういう思い込みとは逆に、自然のままの人類は激しい戦いを繰り返していたが、国家によって戦争を抑制したのだ。そして核兵器は、結果的には史上最長の平和の時代をもたらした。それはもちろん自然ではないが、われわれはどんな時代よりも安全な社会に住んでいる。
http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51805308.html
http://agora-web.jp/archives/1308615.html

必要なのは「自然に帰る」ことではなく、自然をコントロールすることなのだ。

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http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51811783.html


 


 

2012年08月19日 10:42 本
文明と戦争
韓国の主張する「歴史問題」のほとんどはでっち上げだが、アメリカ議会やEU議会まで慰安婦決議をしている。このように国際的な情報戦で日本が韓国に負け続けてきた一つの原因は、その平和主義にある。日本人は平和を最優先するのが当たり前だと思っているかもしれないが、英語でpacifismというのは、自国が侵略されても抵抗しない敗北主義のことである。

人間はもともと平和に暮らしていたが、文明によって戦争を起こすようになり、科学が発達して大量殺戮が行なわれるようになった。原子力は人間がテクノロジーを制御できなくなった時代の象徴だ――という通俗的な話は当節流行の原発文明論でよく語られるが、それは逆である。

旧石器時代の人類は平均15%ぐらい殺されていたが、その原因は人間が類人猿より凶暴だったためではなく、道具を使うようになったためだ。石器によって相手を一撃で殺せるようになると、戦争は先手必勝になるので、先に殺さなければ殺されるという安全のジレンマが起こる。これはゲーム理論でいう囚人のジレンマで、これを解決するために国家が生まれた、というのが本書の中心テーマである。

そういうホッブズ的な「自然状態」で何が起こるかは、『リヴァイアサン』に描かれている。相手より少しでも強力に武装しようとする軍拡競争である。国家が生まれたのは武力には規模の経済性があるためで、それによって戦争の回数は減ったが規模は大きくなった。専門の軍隊や大量の武器が必要になり、兵站を維持する経済力が国家の興亡を決めるようになった。

1回かぎりの囚人のジレンマでは、ナッシュ均衡は裏切り(戦争)しかないが、ゲームが繰り返されるときは確実に復讐することが協力(平和)を維持する必要条件である。このためには国家秩序を固定することが重要で、中国では専制国家、西洋では主権国家という形で権力を固定した。地方豪族の戦争を止めるために、彼らの既得権を守る法秩序やデモクラシーが生まれた。核兵器の「相互確証破壊」は究極の戦争抑止策である。

これに対して徳川幕府は、バラバラの地方国家の戦争を「凍結」し、対外的な交流を遮断する「内向きの平和」を実現した。これは世界にもまれなイノベーションだったが、コストが安い代わりに汎用性が低い。日本人どうしなら「話せばわかる」という平和主義が通じるが、安全のジレンマが遍在する世界では、一方的に裏切られる最悪の結果になる。

世界のテロの半分が起こるイスラエルのテルアビブ大学で教える著者にとっては、安全のジレンマは日常的な実感だろうが、平和ボケの日本人がそれを理解することはむずかしい。しかし東アジアの地政学的な均衡が崩れ始めた今、本書は社会科学の研究者のみならず、政治家や官僚にとっても必読書である。

http://ikedanobuo.livedoor.biz/archives/51805308.html


 


リスクにあなたは騙される―「恐怖」を操る論理
著者:ダン・ガードナー
早川書房(2009-05-22)
販売元:Amazon.co.jp
★★★★☆

9・11のあと飛行機に乗る人が激減し、人々は自動車など他の交通手段を利用した。その結果、死者は減っただろうか? 残念ながら2001年の9月以降の1年間に、アメリカで飛行機の代わりに自動車を使った人は1595人死亡した。同じ距離を移動する交通手段としては、飛行機がもっとも安全であり、自動車がもっとも危険だが、人は一挙に多くの人が死ぬ事故でリスクを評価する。

このようなバイアスが、もっとも愚かな政策を生んだのが、本書のテーマである「テロのとの戦い」である。イラク・アフガン戦争では軍民あわせて10万人近い死者が出たが、テロの犠牲者は全世界で年間300人前後で変わらない。これは1年間にプールで溺死するアメリカ人の数より少ない。平均的なアメリカ人がテロで死ぬ確率は1/10000以下だが、これは落雷で死ぬのと同じぐらいの確率である。

この「テロ」を「原発」と置き換えてみよう。日本で原子力施設の放射能で死亡した事故は50年間で2人だから、1年間に0.04人が死んだことになる。これに対して落雷による死者は年間20人だから、あなたが原発で死ぬリスクを恐れているとすれば、落雷で死ぬリスクをその500倍恐れたほうがいい。

しかしアンケートを取ると、アメリカ人の44%がテロの犠牲になることを恐れている。日本人は今、ほとんどの人が放射能を恐れているだろう。このようなバイアスには明らかな法則性があり、その原因は進化心理学でよくわかっている。人間の脳は旧石器時代から進化しておらず、人々は感情で動くからだ。

あなたの脳の中には、旧石器時代から変わらない反射的な感情(古い脳)と、新しい知識を学習して論理的に思考する理性(新しい脳)が同居しており、まず行動を決めるのは感情である。特に強い感情は、恐怖である。これは命を守るためのメカニズムなので、理性を超えて反射的に作動する。だから「放射能がくる」などとわずかな恐怖に訴えることが、メディアが売るための常套手段である。

古い脳のもう一つの特徴は、変化率に反応することだ。これは進化の戦略としては合理的である。外界から入ってくる情報は膨大なので、それをすべて処理することはできない。画像圧縮と同じように計算を省略し、変化する部分だけを認識して動く相手から逃げるのだ。このため人々は、ありふれた大きなリスクより新しい小さなリスクに強く反応する。

しかし統計的にみると、人類は歴史上もっとも安全な世界に住んでいる。1900年にアメリカで生まれた子供の20%が5歳までに死んだが、その比率は今では0.8%である。日本の平均寿命は1900年には44歳だったが、今は82歳である。「癌の死亡率が上がった」と騒ぐ人がいるが、それは他の病気で死ぬことが減ったからだ。客観的リスクを評価するには、変化する「事件」に過剰反応するバイアスを自覚し、新しい脳を使って数字を見ることが大切である。
http://agora-web.jp/archives/1308615.html  

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