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特大MRIに長い注射針、丈夫なベッド―肥満に悩む米国の新たな問題
2012年 9月 19日 19:35 JST
機械工として働くデビッド・ワシントン(57)さんは、職場復帰に必要な治療を受けるに当たって、ある障害に直面している。体重630ポンド(約286キロ)のワシントンさんが入れる大きさの磁気共鳴画像装置(MRI)がみつからないのだ。
ワシントンさんは昨年、仕事中に腰を痛めたのだが、患部の状態をMRIで確認するまで手術は受けられないと医師に告げられた。
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左上から時計回りに、米国の肥満率推移、MRIの直径の推移(単位:インチ)、MRIの最大荷重量の推移
「MRIを1年も探している」とワシントンさん。シーメンス DE:SIE +0.11% やゼネラル・エレクトリック(GE) GE +0.85% などの画像装置メーカーにも電話をかけたが無駄だった。自宅のあるメリーランド州ホイートンから2時間かけてバージニア州にあるクリニックを訪れたこともあったが、そこのMRIもワシントンさんには小さ過ぎた。
ワシントンさんが抱えるこうした問題を、画像装置メーカーは厄介な技術的課題であると同時に新たなビジネスチャンスと捉えている。
肥満体の米国人の割合が増えるにしたがって、どのような大きさの患者にも合い、大量の組織も透過できるより大型でパワフルな画像装置の需要が高まっている。体脂肪が多いと画像が不鮮明になるため、体に有害な可能性のある電磁波の照射量を増やさずに、より鮮明な画像を撮影できるソフトエアの開発も進められている。
医療機器業界では、肥満患者に対応した製品の開発が拡大しており、スキャン装置の大型化以外にも、注射針を長くしたり、ベッドをより頑丈にするなどの取り組みが行われている。
「米国はわれわれにとって最大の市場だ。したがって、どの製品も米国人の肥満患者を念頭に開発を行っている」。シーメンスの画像装置部門を統括するベルンド・モンタグ氏は話す。同部門では、600ポンドを大幅に超える患者にも対応可能なコンピューター断層撮影装置(CT)は開発しているが、MRIの大型化はまだだ。「おおむね設計上の要件の問題だ」とモンタグ氏。
米国の画像装置市場をリードするGEや、オランダの電子機器大手フィリップスエレクトロニクス NL:PHIA -0.21% をはじめとする複数のメーカーが近年、より大型のCTやMRIなどの画像装置を開発している。
米疾病対策センター(CDC)によると、全米国人の中で肥満の人が占める割合は15年前は20%未満であったのに対して、現在は28%にまで増えている。
その期間にCTの直径も拡大し、業界標準の60センチから、今は80センチ以上の装置まで登場している。
メーカーは、横たわらなくても、立ったままで撮影可能な装置や特定の部位に特化したものをはじめ、さまざまな設計のスキャナーを試験的に開発している。だが、放射線治療専門医らは、患者の腰回りのサイズを含め、そうした設計にも限界があると話す。
また、たとえ装置が大型化しても、肥満患者の画像撮影が困難であることに変わりはないと医師らは指摘する。現在市販されているスキャナーは、並外れて肥満の一部患者を除き、あらゆる大きさの患者に合うように設計されている。だが、厚い脂肪の層にX線やその他の画像信号を透過させ、通常の照射量で診断可能な画像を撮影するのは依然困難だ。
放射線治療専門医によると、肥満患者の体内を効果的に撮影するには、通常よりもはるかに多くの放射線の照射が必要になり、新たな健康上のリスクをもたらしかねない。
「(肥満患者のX線)撮影は無理だ。とてつもなく多くの組織を透過させなくてはならない」と、米ペンシルベニア州立大学ハーシー・メディカル・センターにある心臓カテーテル研究所のチャールズ・チャンバース氏は話す。また、肥満患者の画像は通常、より不鮮明だと指摘する。
問題は、各組織によってX線波が吸収または偏向されてしまうため、肥満の人は通常よりも多くのX線が必要になることだ、と米ニューヨーク州トロイにあるレンセラー工科大学の原子力工学部責任者、ジョージ・シュー氏は指摘する。
こうした問題を受けて、メーカーは最低量の放射線でより鮮明な画像が撮影できるソフトウエアや、体のより広い部分や内部にX線を照射できるよりパワフルな機械を開発している。専門家らは、放射線の照射量を減らすことができれば、あらゆる患者にメリットがあると話す。
コンサルティング会社フロスト・アンド・サリバンのアナリスト、ロベルト・アラニバル氏は、CTは現在最も高額なもので65万ドル(約5140万円)程度だが、大型化が進めば病院のコストも40%ほど増える可能性があると指摘する。
「この問題を解決するには肥満をなくすのが一番だ」と、マサチューセッツ総合病院の放射線治療専門医、ラウル・アポット氏は話す。同氏の過去10年の研究は、病院やメーカーに画像措置の大型化の必要性を認識させるのに貢献している。
「だが、われわれ米国人は絶えず問題をみつけては最適な解決策を講じるのではなく、装置をただ大きくしている」とアポット氏はため息をつく。
記者: Christopher Weaver
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http://jp.wsj.com/Life-Style/node_514975?mod=WSJFeatures
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