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オトコを上げる食事塾 笠井奈津子
【第4回】 2012年7月9日 笠井奈津子 [栄養士、食事カウンセラー]
寝ても疲れが取れない
あなたがよく眠れないその理由とは
「うつ」はまだ小さな芽のうちに摘み取りたい。でも、小さな芽に気付くには、日本のビジネスマンは忙しすぎるのかもしれない。厚生労働省によると、うつ病と診断された人は、1996年から2005年までの10年間で約2倍。雪だるま式に増えていく中、100万人を超えたのは、2008年のことだ。もう、うつは、遠くの誰かの話ではない。
不眠の話でなぜうつの話をするんだ、と思った人もいるだろう。でも、うつの入口に待ち構えているもののひとつに、不眠をはじめとする睡眠の問題がある。充分な睡眠がとれていないと、ストレスを感じやすくなり、疲れやすくもなる。その状態が続くことで、うつを誘発することがあるのだ。だからこそ、睡眠の質にもっと目を向けなければならない。「寝ても疲れがとれない」「なかなか寝付けない」「ぐっすり眠れてない気がする」そのような感じがあったら、自身の生活を総点検してみよう。
そもそも、睡眠はなぜ大事なのか。睡眠には、身体を休めると同時に、その間に脳を休息させ、記憶を整理するなどの役目がある。「何時間寝るのがベストですか?」とよく聞かれるが、ベストな長さには個人差があるだろう。今回は、「朝、前日の疲れをひきずらずにスッキリと起きることができて、よく眠れた、と満足できる睡眠」を目標として話したい。
睡眠不足で向かう仕事が、いつも以上に効率が良い、なんてことはまずあり得ない。ましてや、身体を動かす仕事であったら、危険性も高まる。もしも睡眠不足で成果を上げることがあるとしたら、力まずに考えたアイデアが意外と良かった…とか、そんなことかもしれない。
実際、身体の中では、睡眠不足によって副交感神経の働きがにぶくなる。そうすると、自律神経のバランスが悪くなり、血流が悪くなることで、身体だけではなく、脳のパフォーマンスも低下する。つまり、「あまり寝ていない」ということは、仕事を効率よくすすめるための足かせとなる。そして、脳のパフォーマンスが落ちることで、脳の働きによって生み出されている心も乱れてしまう。
夕食が遅く、朝ごはんを食べない人は要注意
不眠症が治らない人の食習慣
食事記録から不眠を読み解くと、睡眠に問題を抱えるクライアントには大きく2つのパターンがある。ひとつには、夜の食事の時間が遅い、もしくは、夜の食事量が多いケース。私たちは、走りながら眠れない。それにもかかわらず、終電ぎりぎりまで飲み食いして家に帰り、内臓が消化という名のエクササイズを全力でしているというのに、当の本人は高いびきをかいて即刻寝ていたりする。これでは、睡眠の役割である“身体を休める”、ということができていない。それでは、疲れが残るのは自然なことだろう。
しかも、困ったことに、こういうタイプは「胃が重いから朝ごはんはいらない。食べたくない」なんて言うから、ますますもって、生活リズムがくるってしまう。朝食を食べないことが午前中の仕事効率を下げ、昼食を食べてやっとスイッチが入った…と思ったら、夜から昼まで長時間欠食していたものだから、血糖値が安定せず、食後には眠くなったり、だるくなったり。仕事も終わって絶好調になった夜、またしても飲みに繰り出す…そして翌朝食べられない…の繰り返し。その悪循環はどこかで断ち切らなければならない。
ただ、仕事が終わった後の食事は、癒し的な要素が大きく、ここでかなり食事に気を付けるというのは難しい。朝食や昼食の時間はたっぷりとれないから、夕食だけが唯一の楽しみなんだ!好きにさせてほしい!という人には、机上の空論に聞こえるかもしれない。でも、これは、うつを防ぐために必要なケアで、かつ、疲れた顔をして仕事の縁や異性との縁を逃さないために本当に大事なこと。どうか頭の片隅に入れておいてほしい。
空腹で目覚めるくらいまで…とは言わないが、ぜひ、朝食を普通においしく食べられるくらいまで夜の食事量を少し控えるか、時間を少し早めることを意識していただきたい。個人差があるが、腹八分目にしなくても、食べ過ぎないだけで翌朝全然違う!という人もいる。遅い時間になったとしても家に帰って食べたい人は、夕方におにぎりひとつ食べて、帰ってからはおかずを食べる、というように分食をするだけでも随分と違う。
量は減らせない、というのであれば、その代わりに、脂質を多く含むメニューを減らすだけでも効果はある。そのためには、洋食よりも和食が良い。パンよりもごはん、パスタよりもうどん、といった具合に、カタカナ料理を平仮名料理にする、と、無意識のうちに脂質を減らすことができる。
それでも、どうしても夜にチーズハンバーグが食べたいんだ!!というのであれば、生野菜や大根おろしのような酵素を多く含むものを足すと良いだろう。そのような消化お助け隊を身体の中に送り込むことで、同じものを食べても消化がスムーズに終わり、早く身体が休息できるようになる。
小さい頃、眠れないというと母親がホットミルクを作ってくれたりしなかっただろうか。大人になると、それがお酒になったりもするが、たまにのことならばOKでも、習慣的な対処法としてはおすすめできない。少量のアルコールだとしても、脳は興奮してしまう。興奮しながら良い睡眠がとれるかというと、それもまた否である。
睡眠に必要な材料
肉や魚、大豆などが不足していないか
そして、睡眠に問題を抱えるもうひとつのケースは、“睡眠ホルモンの材料不足”で、脳が栄養不足になっている場合である。つまり、睡眠をとるために必要な材料が不足しているのだ。
その代表的な材料が、トリプトファン、という必須アミノ酸。必須アミノ酸は、体内でつくることができないアミノ酸なので、食べ物からしか摂るしかない。アミノ酸を多く含むものといえばタンパク質であり、これはセロトニンの原料となるものを多く含む。睡眠ホルモン・メラトニンはこのセロトニンが酵素の働きによって作りかえられたものなので、タンパク質が不足していては、睡眠に必要な材料が揃わない。
スマートフォン位の大きさのタンパク質(肉・魚・卵・豆、大豆製品に多く含まれる)を1日3回とるのが目安となるが、朝食は食べない、昼は麺類、夜はお酒中心…なんて生活をしていたら、あっという間に不足してしまう。かといって、夜にまとめてとっても、前述のケースのように眠れなくなってしまう。ここはやはり、朝と昼に欠かさず摂るようにすることが大事だ。
そして、不眠症と関係するマグネシウムにも注目。マグネシウムは、神経の興奮を抑える働きがあると共に、先にあげたような酵素の働きをサポートしてくれる。ひと昔前の日本であったら、あまり欠けることのない栄養素だったが、精製によって失われてしまうため、手作りのものが少ない食生活で、加工食品ばかりとっていると不足している可能性がある。マグネシウムは豆腐などの大豆製品や、海苔、ごまなど種実類にも多く含まれる。若々しい髪を維持するためにも欠かせない栄養素なので、ごはんのお供に、毎日意識的にいただいても良いだろう。
ただ、最近は、職場環境による睡眠トラブルもあるように見受けられる。それは、パソコンと向き合う時間が長い職種だ。本来、夜が近づいて暗くなってくると、目に入る光の量が減り、それを合図にメラトニンの分泌が盛んになってくる。だが、パソコンのような明るい画面を見続けると、そのスイッチが入りにくい。できれば、一定の時間を決めたら、それ以降は、資料をまとめる、整理する、など、パソコン作業以外の仕事をすすめた方が良い。質の良い睡眠のためには、自律神経の副交感神経を優位にしておくことも大事なので、ややこしい課題に向きあったり、ストレスを感じるような類の仕事は、後回しにしないで、午前中にすませた方が良い。それが、夜に神経を興奮させず、脳を休めるためにできることだ。
「寝てない自慢」より
ちゃんと睡眠をとる男性の方がモテる
「俺は寝なくても大丈夫」という人も要注意!飲み会などで、どれだけ自分の仕事がハードかを「あんまり寝ていなくてさ〜」と、無意識の内に、俺って頑張ってるんだよね、かっこいいでしょ的なニュアンスで口にする男性がいるが、仕事をしている女性からは、それって要領の問題じゃないの?と思われてしまう可能性が高い。もしも好きな人に言われた場合でも、「頑張っていてかっこいい!」と思う以前に、純粋に身体を心配してしまう。同性から見るとお調子者に見えても、遊んでいるように見えても、仕事にメリハリをつけ、ちゃんと睡眠をとって、血色がよく、ハツラツとしている男性の方がモテるのは、そこに男性としての生命力を感じ、安心感を得られるからではないだろうか。
しかも、かっこいい身体作りにも睡眠は欠かせない。なぜならば、睡眠時間をきちんととることで、食欲を抑え、基礎代謝量を増やしてくれるホルモン“レプチン”の分泌が正常に働くからだ。睡眠不足の日に限って、なぜかいつも以上に食欲があった経験はないだろうか?それは、レプチンの分泌が少なくなると、反対に、食欲を増すホルモン“グレリン”の分泌が盛んになってしまうからだ。寝ないで仕事をする方がハードで痩せそうだが、実際は、睡眠時間が短いのも肥満につながる。
「疲れたー!」と言いたくなることは日々あると思う。それだけに、疲れが蓄積されていくと、予期せぬ大きな問題を引き起こす。ぐっすり寝てリセットできるようになると、身体だけではなく気持ちまで楽になるのを実感するはずだ。明日の朝起きたら、疲れの残り具合をチェックして、まずはできるところからはじめてほしい。
◆編集部からのお知らせ◆
「最近、疲れがとれないなぁ…」「昔よりもモテなくなったなぁ…」
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