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糖尿病加速は「過食」「運動不足」が原因
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120624-00000541-san-soci
産経新聞 6月24日(日)19時48分配信
【身近な健康の疑問(4)】
高血圧、脂質異常症とともに虚血性心疾患の原因となり、網膜症、腎症、神経障害の3大合併症をもたらす糖尿病。疑いも入れると患者は全国で2200万人を超すといわれ、日本の代表的な生活習慣病となっている。
−−糖尿病とはどんな病気ですか
黒田久元医師糖尿病というと、一般には「のどが渇く。トイレが近い。体重が落ちる」と言われていますが、こういう状態になる前、「私は症状がないから大丈夫」と言っていて糖尿病状態にある人が多い。症状がないから、糖尿病かどうかは検査をしてみないと分かりません。
糖尿病は尿の病気ではありません。血液でもなく、血管の病気です。血管が悪くなると神経や目、腎臓などの細小血管がやられ、しびれや失明などの合併症につながり、心臓や脳、足などの大血管がやられると心筋梗塞、脳梗塞、足壊疽(えそ)といった命や生活にかかわる重大な病気をもたらします。血糖値が常時、1デシリットル当たり200ミリグラム以上になると糖尿病です。
−−血糖値とは何ですか
血液中のブドウ糖の濃度のことで、ブドウ糖は体や脳を動かすエネルギーです。健常な若い人の血糖変動は、食べたり食べなかったりに関係なくほとんど一定で、1デシリットル当たり80〜120ミリグラム程度に保たれています。
血糖が高くなると、血管の内皮が障害を受け壊れてきます。血糖の変動幅が大きいほど血管の障害が進み、心筋梗塞が増加することが分かってきました。高血糖が続き、目や腎臓が悪くなる糖尿病に先行して、心筋梗塞を発症することも多いのです。
−−血糖はなぜ変化するのですか
血糖は食事をすれば上がります。しかし血糖は食物と膵臓(すいぞう)のβ細胞から分泌されるインスリンだけでコントロールされているのではなく、筋肉へ取り込んで消費したり、脂肪細胞へ取り込み蓄積したり、肝臓で糖の取り込みと放出をするなど、複雑に微調整しています。断食しても、血糖が下がりすぎて倒れないのはそのためです。
一方、過食や運動不足で大きくなった脂肪細胞は、血糖コントロールを悪くさせるホルモンを放出することも分かってきています。
−−血糖値を下げるには、どうすればいいのですか
筋肉を使うことです。特に大きい筋肉、最大のものは大腿筋です。つまり歩けばいいということになります。実際には30分で3キロ歩く速さ、やや速く歩くのがいいでしょう。1日の摂取カロリーの10〜15%を消費できれば十分と考えます。
−−それでも、下がらない場合は
運動と食事制限が基本ですが、それだけではよくならない場合、投薬をします。
内服薬は膵臓のβ細胞を刺激してインスリンを出させる薬が主流でしたが、β細胞を刺激し続けると、β細胞が疲れてインスリン分泌ができなくなることが分かりました。またいつもインスリンを分泌させていると、血糖を下げ続け、おなかがすいて食べ過ぎて太るということも起きます。最も悪いのは、血糖の上下変動が大きくなって、血管を壊してしまうことです。そのため、近年はスフォニルウレア(Su)剤(インスリン分泌薬)という効果の強い薬を控える傾向にあります。
生理的に分泌されているインスリンをより上手に適正分泌させるホルモン(インクレチン)が腸から分泌されていますが、超短時間で効果がなくなるので、これを長持ちさせる薬(DPP4阻害薬)が新たに開発されています。これは血糖変動が少なく、より理想的といわれています。
−−ほかにどんな薬が使われますか
食物の吸収を遅くさせることで、インスリンを過剰分泌させない薬や、元来分泌されているインスリンを無駄にしない薬、肝臓での糖の出し入れをうまくコントロールする薬など、膵臓を直接刺激しない薬(インスリン非分泌系薬)を組み合わせて使うことが望ましいと思われます。
これらの非分泌系薬はSu剤に比べ、やや価格が高いことや、内服の回数が多くなる難点はありますが、膵臓のβ細胞を長い間大事に使えるようになります。
数種類の内服薬を組み合わせても血糖コントロールができないときは、時機を逃さずインスリン治療を受け入れるべきでしょう。早い時期であれば、インスリンから内服薬治療へ戻れる場合もあります。
糖尿病は老化現象の一つであり、誰でも年々少しずつ糖尿病状態に近づいています。過食と運動不足はそれを加速するということを肝に銘じるべきでしょう。(聞き手高橋健治)
■黒田久元(くろだ・ひさもと)昭和30年5月、三重県四日市市生まれ。独協医大大学院卒。独協医大助手、講師を経て、医療法人関湊記念会グリーンクリニック(壬生町緑町)院長、独協医大臨床教授(地域医療)。日本糖尿病学会、日本甲状腺学会の共に認定専門医。
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