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「梅干し」を科学する くさりにくい理由は? どんな効能がある?
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120615-00000301-newton-sci
科学雑誌Newton 6月15日(金)18時50分配信
ウメの実を収穫する季節がやってきた。ウメの実の代表的な加工食品である梅干しは,古くは薬用として利用されてきたもので,さまざまな効能を示すいい伝えも多い。近年,その効能の科学的解明が進んでいる。梅干しに含まれる,さまざまな成分やその機能を紹介しよう。
■ 梅干しがくさりにくいわけ
梅干しとは,ウメ(学名Prunus mume Sieb. et Zucc.)の実を塩漬けにしたうえで日干しした保存食だ。塩漬けで保存性が増すのは,主に,塩をまぶすことでウメの実の内外にできた塩分の濃度差を解消するよう,ウメの実から液がしぼり出されるためだ(この液は梅酢とよばれる)。水分が奪われる環境では,多くの腐敗の原因となる微生物は生きられない。
従来の梅干しは,塩分20%程度で,何年も常温保存できた。だが最近は嗜好の変化にあわせ,塩分10%以下の「調味梅干し」が広く出まわっている。これは梅干しを洗って塩を抜き,調味液につけたものだ。調味梅干しの保存性は,脱塩法や調味液の種類にもよるものの,従来のものよりおとる。そのため,賞味期限の表示が義務づけられており,冷蔵保存が推奨されているものが多い。
■ タネを食べてはいけない?
『梅は食うとも核(さね)食うな,中に天神寝てござる』という言葉がある。これは,ウメの種子である「仁(じん)」が,毒をもつことをいましめたものだ。
ウメを含め,モモやアンズなどバラ科サクラ属の実などには,「アミグダリン」といった,青酸配糖体とよばれる物質が存在する。これはとくに,未熟な青梅の仁に多く含まれている。この青酸配糖体は,果肉や動物の腸内にある酵素で分解されると,有毒な青酸が生じる。まだ発芽の準備ができていない未熟な実を,動物から守るはたらきがあるのだ。
ただし,実の成長段階,さらには収穫後にも,熱や酵素でアミグダリンは減っていく。梅干しの機能を研究する,和歌山県立医科大学の宇都宮洋才准教授は次のように述べる。「梅干しの場合,仁を数個食べたからといって中毒を気にする必要はありません。仁には脂肪分や抗菌物質,薬効成分もあります。ネズミは熟して木から落ちたウメの仁を好んで食べます」。
「うなぎと梅干しは食べ合わせが悪い」といういい伝えもあるが,一緒に食べることで体に害をおよぼすような成分は知られていない。梅の酸味は,だ液をはじめとする消化液の分泌をうながし,食欲を増進させる。高価なうな重の食べ過ぎが,胃,あるいは家計への負担となるために,いましめとして広まったものとする説がある。
■ ウメが健康食品とされるわけ
「梅干しはその日の難のがれ」ということわざがあり,さまざまな効能があることが経験的に知られている。そもそも,中国原産のウメが最初に日本に伝わってきたのは,実を燻製にした漢方薬「烏梅(うばい/ウメイ)」としてであったという。
ウメに含まれる有効成分を探ろうと,近年科学的な研究がさかんに行われるようになっている。宇都宮教授らの研究グループは2006年,ピロリ菌の活動を抑制するウメの成分を特定した。ピロリ菌は胃炎や胃潰瘍の原因となり,胃がんのリスクも高める病原体だ。
特定されたウメの成分は,ポリフェノールの一種の「シリンガレシノール」だ。培養したピロリ菌にこの成分を加える実験を行ったところ,1ミリリットルの培養液中,大粒梅干し5個分に含まれる量で,ピロリ菌の活動が半減したという。また,ウメの摂取量が多い人ほど,胃中のピロリ菌の量が少ない傾向がみられたという調査結果も報告している。
また,糖尿病予防効果のある成分や,インフルエンザウイルスの増殖を抑制する成分が特定されている。後者の成分「エポキシリオニレシノール」は,ウメではじめて発見された成分だ。このほかにもウメは,各種のがん細胞の増殖をおさえる効果が,試験管での実験で確認されているといい,今後の研究が気になるところだ。
「植物は成熟度にあわせ,抗菌物質などの成分を,みずからに役立つ形に変換していきます。ヒトはこれらの物質を,食用・薬用として利用しているのです」(宇都宮准教授)。
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