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老化の原因物質ついに発見! 「AGE」をためない食習慣とは/山岸昌一(久留米大学医学部教授)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20120528-00000002-php_s-bus_all
PHP Biz Online 衆知 5月28日(月)12時59分配信
◆老化の原因となる物質◆
人の体が老化するのには、必ず原因があります。
年をとったら、皮膚がたるんだり、血管がポロポロになったり、視力が衰えたりするのですが、それは自然にそうなるのではなく、体の中で組織が何らかの変化を起こしたからです。
つまり老化のきっかけとなる物質がある。その物質として最近注目され始めたのが、老化物質AGE(Advanced Glycation End Products=終末糖化産物)の存在です。
そしていろいろ調べていくと、こうした老化現象はこのAGEで説明できそうだということが、最新の医学でわかってきました。
老化の原因物質が発見されたからには、それを取り除いたり、減らしたりすれば老化を防ぐ方法も見つけることができるはずです。人類の長い間の夢だった「不老不死」の入口に、ようやくほんの少しだけ近づいたと言えるでしょうか。
でもどうやって老化物質AGEを取り除くのか? 老化物質AGEを増やさないようにするにはどうしたらいいのでしょうか?
◆「血糖値×持続時間」が老化の速度をあらわす◆
AGEはタンパク質が糖化して、変質した最終糖化物質です。
それが体内のあちこちに沈着し、組織を劣化させて、老化やそれにともなうさまざまな病気を引き起こします。
このAGEを考える場合、重要なポイントが2つあります。1つは血糖値です。これが高いとAGEがつくられ、老化が進みます。体内に糖がたくさんあればあるほど、タンパク質が糖とくっついてAGEがつくられる。
もう1つは時間です。高い血糖値の期間が長くつづけばつづくほど、その間にAGEがつくられ、やはり老化が進みます。
同じくらいの高血糖値でも3、4日だけなら、その間につくられるAGEはわずかです。でもそれが3年、5年、10年とつづけば、その分、どんどんAGEはつくられて、取り返しがつかない量までたまってしまいます。
AGEの値は、どれだけ高い血糖に、どれぐらい長い期間さらされたかという、いわばかけ算であらわすことができます。
< AGEの量=血糖値×その持続時間 >
かけ算の値が大きいほど、AGEの量は増えますので、ツケのようにたまってしまっては元に戻せません。
老化を問題にするときは、たとえ血糖値が正常の範囲内にあっても、70年、80年と長く生きてきたとすると、その分、AGEの量は多くなる、という見方をしなければいけません。
つまり生きている時間が長くなるにつれて、血管が傷んだり、脳梗塞や心筋梗塞になったり、歯周病になったり、骨がもろくなったり、認知症になるなど老化現象があらわれるということです。
「長生きすれば、それだけ組織がポンコツになって、老化するのは当たり前だろう」と思うかもしれませんが、なぜポンコツになるのかというと、その老化のメカニズムにAGEが深くからんでいるのです。
反対に若い人でも血糖値が高いと、かけ算の値が大きくなるので、老化は早く進みます。人によって、老化の進行に個人差があらわれることが理解されます。
そして最悪なのは、血糖値が高い状態のまま年齢を重ねていくことです。かけ算の値が飛躍的に増えて、老化が加速します。このことを見ても、中年になって高い血糖値を放置することが、いかに危険なことなのかがわかりますね。
健診で「あなたは血糖値が高いから食生活を改善しなさい、運動をしなさい」と指摘されても、まったく意に介さない人がいます。しかし、この助言は「あなたは老化の進行がほかの人と比べて早いですよ」と宣告されていることと同じことです。それでも、あなたが耳を貸さないとするなら、自らせっせと老化を早めているようなものです。
◆食べ物の中のAGE◆
AGEは高血糖によって体の中でつくられるだけではありません。AGEがたくさん含まれる食べ物を食べることで外からもとりこまれます。
おおよそ、その食べ物に含まれるAGEの7%が人間の体内にとりこまれて、最終的に蓄積すると思って下さい。
私たちは年間1000回前後食事をとりますから、1回ずつのAGE摂取量はそれほどではないとしても、AGEが多めの食事をとっている人は、長い間にそれが積み重なって大きな差がついてきます。
高血糖ではないのに、糖尿病の患者さんと同じように老化が早まったり、動脈硬化やがんなどさまざまな病気になる人がいるのは、食事を通して外からAGEをたくさんとっているからだとも考えられます。
ではどんな食べ物にAGEが多いのでしょうか。
AGEはタンパク質と糖の「メイラード反応」ですので、高温で加熱調理したもの、つまり「メイラード反応」を起こしているものにAGEがたくさん含まれます。
「メイラード反応」とは加熱により、焦げ目がついたり、キツネ色になることです。単純に言いますと、水を使わずに焼いたり、渦で揚げたものによく見られます。
つまり「見た目」でAGEの量がある程度判断できるわけです。
鶏肉を例にあげましょう。まず鶏肉を水炊きで食べます。水炊きはお湯でゆでるので、鶏肉の色はキツネ色にならず、トリの肌の色のままです。
次に鶏肉を焼いて焼き鳥にします。ちょっと焼き目がつきますね。そして一番焼き色がつく鶏肉料理は何かというと、あぶり焼きにした北京ダックです。
鶏肉を同じグラム数だけ食べた場合、料理によってどれくらいAGEが違うのか。
たとえば水炊きを1とした場合、焼き鳥は10ぐらいで、北京ダックは20ぐらいです。
同じ鶏肉を食べても、調理方法によって体内にとりこむAGEの量がかなり違う。目安は焼き色です。こんがりと焼き色がついていればいるほど、AGEは多い。
そう考えると、唐揚げやフライなど揚げ物はみなキッネ色ですから、AGE値が高いことがわかります。
同じ褐色でも、味噌や醤油、コーヒーなどはAGEを含みますが、機能性成分があると言われています。同じAGEでも、食品によって毒性が強いものと、人間にとって有用な成分を含むものとがあるのかもしれません。食品は、いろんな成分や機能を含みますから、一概にAGE量の「多い・少ない」のみで、「良し・悪し」を決めてしまうのは短絡的すぎます。
それに、体の中に入るトータルのAGE量を考えた場合、どのくらいその食品を食べるか、これも大事ですよね。北京ダックを焼き鳥ほど多く食べる人はいないでしょうし、第一、北京ダックを食べる機会もそうそうはありません。たまのごちそうとしてなら、まず問題ないでしょう。毎日バーベキューを食べている人を私は見たことがありません。シーズンに1、2回ですよね。一方、AGE含有量が少ないからといって、たくさんの量を食べればそれだけトータルとしてAGEは多く体に入ってくる。
要するに程度問題です。日頃からいろんな食品をバランスよく食べている分には、大きな問題はないでしょう。いや、偏らずにバランス感覚をもった食習慣は、きっと体にいいはずです。
ただ、とにかく高温で加熱したり、油で揚げたものは、キツネ色になりやすい。褐色になったり、焼き目がついたところがAGEですので、そういうものばかり毎日のように好んで大量に食べるのはさけたほうがいいと思います。
(『老けたくなければファーストフードを食べるな』より)
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