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前立腺癌スクリーニングが前立腺癌死亡を減らせるかどうかについては、いまだ明確な結論は得られていない。スウェーデンKarolinska研究所のGabriel Sandblom氏らは、スウェーデンの一都市に住む男性全員を対象に集団ベースの無作為化比較試験を行い、スクリーニング実施群と非実施群を20年追跡して前立腺癌死亡率を比較した。得られた結果は、前立腺癌スクリーニングの広範な適用を支持しないものだった。論文は、BMJ誌2011年4月23日号に掲載された。
著者らは、スウェーデンのノルヒェーピングの住民登録を利用して、1987年にこの町に住んでいた50〜69歳の男性全員(9026人)を同定した。彼らの6分の1に相当する1494人を無作為に選出し、3年ごとのスクリーニング受検に割り付け、87年から96年まで実施した。最初の2回は直腸診のみ、93年と96年にはPSA値の測定も行った。カットオフ値は4μg/Lに設定し、これを超えた患者と直腸診で癌が疑われた男性に針吸引生検を行った。なお、4回目となる96年には、その時点で69歳以下の男性(606人)のみに受検を勧めた。対照群は、スクリーニング群に割り付けられなかった男性全員とした。
前立腺癌の病期、悪性度、適用された治療などに関する情報をスウェーデン南東地域の前立腺癌登録から抽出した。
主要アウトカム評価指標は2008年12月31日までの前立腺癌死亡のリスク比に設定。
1987年から96年までの4回のスクリーニングの受検率は、78%(1492人中1161人)、70%(1363人中957人)、74%(1210人中895人)、74%(606人中446人)だった。
スクリーニング群の前立腺癌罹患は85人(5.7%)、対照群は292人(3.9%)。スクリーニング群の患者でスクリーニングをきっかけとして診断されたのは43人(2.9%)で、検診と検診の間に見付かった患者が42人(2.6%)いた。
限局性の腫瘍が見付かった患者の割合はスクリーニング群で56.5%と高く、対照群は26.7%だった(P<0.001)。
全員がスウェーデンにおける標準的な治療を受けた。
前立腺癌死亡は、スクリーニング群で前立腺癌と診断された85人中30人(35%)、対照群は292人中130人(45%)。前立腺癌と診断された患者の全死因死亡はそれぞれ81%と86%だった。
スクリーニング群の前立腺癌死亡のリスク比は1.16(95%信頼区間0.78-1.73)で、両群間に有意差は見られなかった。カプラン・マイヤー法を用いて、前立腺癌死亡までの時間と全死因死亡までの時間をスクリーニング群と対照群の間で比較したが、ログランク検定のP値は、それぞれP=0.065とP=0.14で有意差を示さなかった。
Cox比例ハザード分析を行い、スクリーニング群に対する対照群の前立腺癌死亡のハザード比を求めたところ、1.23(0.94-1.62、P=0.13)だった。試験開始時の年齢で調整すると、ハザード比は1.58(1.06-2.36、P=0.024)となり、有意差を示した。
一都市の中高年男性全員を20年間という長期にわたって追跡した研究で、スクリーニングを受けたグループとそうでない男性群の前立腺癌死亡のリスク比に有意差は見られなかった。前立腺癌と診断された患者はスクリーニング群に多かったが、前立腺癌死亡率には差がなかった理由として、著者らは、スクリーニングによって、生存に影響を及ぼさない進行の遅い前立腺癌がより多く検出される可能性を挙げており、このことが生存利益には結びつかない過剰診断と過剰治療をもたらす可能性を指摘している。
原題は「Randomised prostate cancer screening trial: 20 year follow-up」、全文は、BMJ誌のWebサイトで閲覧できる。
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