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http://www.nikkei-science.com/topics/bn1009_2.html#1
夜に熟睡できれば,朝一番のコーヒーがほしくてたまらないという気分が少し和らぐだろう。そして,自然な眠りを誘う新タイプの睡眠薬には,朝のコーヒー依存を解消する以上の効果があるかもしれない。より強力な依存性薬物からの脱却にも役立つとみて,製薬各社が可能性を探っている。
この新タイプの睡眠補助薬は「オレキシン」という脳内ペプチドの働きを妨げる。オレキシンは日中の覚醒状態を維持するほか,依存性薬物の刺激効果にも関係している。オレキシン自体が直接に依存を引き起こしているのではないが,依存も依存再発もこのペプチドの関与なしには生じない。
睡眠と依存症に興味深い関連があることが,ナルコレプシー(突然に居眠りしてしまう睡眠障害)の患者で以前から観察されてきた。患者が目覚めていられるよう,強力な覚醒剤のアンフェタミンを処方する場合があるが,決して依存にはならないのだ。
一方,ナルコレプシーの原因がオレキシンやその受容体の遺伝子に生じた変異であることが1998年にわかった。これはオレキシンという物質の存在と,その覚醒維持作用を明らかにした発見だった。その後,この発見を不眠症治療薬に結びつける研究が進み,現在ではいくつかの化合物が臨床試験の最終段階にある。
依存の下地を整える物質
そうした睡眠補助薬を開発した企業は,オレキシンが薬物依存に果たしている役割についても動物実験で調べている。イタリアのヴェローナにあるグラクソ・スミスクライン医薬品研究センターのクォータ(David Quarta)らは最近,同社の実験的オレキシン阻害剤「SB-334867」をアンフェタミンとともにラットに投与した実験で,ラットの脳に生じるドーパミンの量が減り,アンフェタミンを繰り返し与えても「過敏化」が起こりにくいことを確認した。過敏化とは,刺激効果を得るためにニューロンがその薬物をたくさん得ようと受容体の数を増やす現象で,これが薬物依存につながる。
また,メルクのレンジャー(John J. Renger)らは,別の実験的オレキシン阻害剤がアンフェタミンに対する過敏化を同様に抑制することを示した。さらに,以前にニコチン依存だったラットにニコチンとともにデュアルオレキシン受容体拮抗薬(DORA)を投与したところ,ニコチン依存が再発しなかった。
「アンフェタミンによってオレキシンに変化が生じるのではなく,アンフェタミンが影響するのはあくまでドーパミンだ」とレンジャーは説明する。ただ,刺激物に反応して脳がオレキシンを放出すると,ドーパミンが起こす下流の反応が強まって,過敏化と依存につながる。「オレキシンは脳がこのように変化する下地を整えている」とレンジャーはいう。
自然な眠り
ナルコレプシーが極端な形で示しているように,オレキシンが欠乏すると眠りへの妨げがなくなる。だから,オレキシンを阻害する新タイプの睡眠補助薬は,従来の睡眠薬よりも自然な眠りを誘うだろう。従来の睡眠薬は脳の活動全般を抑えるものであり,オレキシンなど「目覚めていろ」と命ずる信号が消えるわけではないので,これと張り合わなければならない。
覚醒剤はそうした自然な覚醒信号に似た不自然な刺激を作り出しているのではないかとレンジャーは推測している。そう考えれば,ドーパミンによる学習・報酬過程をオレキシンが促して依存をもたらしていることに説明がつくだろう。動物実験では,覚醒剤とともにオレキシン阻害剤を投与すると,依存から脱しやすくなることが示されている。
これら製薬企業がオレキシン阻害剤に基づく薬物乱用治療薬を開発する計画を発表しているわけではないが,オレキシン阻害の睡眠補助薬が商品化されたら,安らかな眠りをもたらす効果だけでも,薬物乱用に歯止めをかけられるだろう。「アルコール依存症が再発する大きな原因は不眠症にある。眠ろうとしてアルコールに頼ってしまう」とレンジャーは説明する。
オレキシン阻害の睡眠補助薬なら,アルコールが引き起こす意識消失よりもずっと質のよい眠りが得られるだろう。ただし,これらの薬が依存性のない初の睡眠薬になるかどうかは,まだわかっていない。
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