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会社が壊れ社員が折れる、その前に…
異動という妙薬の使い方【日経ビジネス】
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20091214/211570/
河合 薫 【プロフィール】
「まさか自分がなるなんて……、最初は驚きました。でも、仕事がはかどらなかったのが病気のせいと思ったら、ホッとした部分もあったんです」
そう語るのは、今から1年ほど前にパニック障害(医師からの診断名)を患い、3カ月前に復職したA氏。
知人から、「メンタルを低下させて仕事を休んでいたヤツがいるから、会って相談にのってやって欲しい」と紹介された人物である。
広告会社に勤めるA氏は48歳。
第一印象は、バリバリ元気な営業マン。
彼が休職を強いられるほどメンタルを低下させていたとは、外見からは全く想像できない。
どちらかと言えば、ストレスに強い人、と分類される雰囲気をもつ人物だった。
「突然でした。毎朝9時過ぎの電車に乗って会社に行くのですが、その日もいつも通り乗りました。
ところが電車が動き出した途端、急に息ができなくなり、慌てて次の駅で降りたんです。
少しベンチに座って休み、30分ほどで落ち着いてきたから電車に乗りました。
すると今度は電車が動き出した途端ものすごい耳鳴りがし、冷や汗が出てきて苦しくてなり、また次の駅で降りました。
死ぬんじゃないか、とにかく自分のことを知っている人がいるところに行かなきゃ、会社に行かなきゃと思い、普通だったら30分の道のりを3時間もかけて会社に着いたんです」
やっとの思いで出社はしたものの、顔面蒼白のA氏は、驚いた同僚から病院に行くよう促される。
そして「パニック障害」と診断されたのだった。
以前、過労死するまで働いてしまうメカニズムを書いたが(関連記事)、いわゆる“心の風邪”も、風邪をひきそうなことに全く気づかないまま働き続けて、ある時にポキリと折れてしまうことがある。
特に、元気な人ほど、自分の強さを過信してしまうためか、その傾向が強い。
A氏も診断されるその瞬間まで、自分が心の病になるとは、これっぽっちも考えたことがなかったし、「俺、ヤバイかも…」と思うことも全くなかったそうだ。
ただ、発症した当時を思い出すと、「確かに毎晩遅くまで働いていたし、自宅の机の上はタバコの吸殻だらけでモノも散乱し、部屋もゴミ箱などが荒れ放題だった」という。
さて、今回A氏の事例をとりあげたのは、復職後、彼が元気を取り戻す過程に、「元気のない組織」から脱却して「元気ある組織」になるためのヒントがあったからである。
その本題に入る前にまず、「気がついた時には、遅かった」という状態にならないために、A氏の経験をお話しします。
半年間休職しても調子を崩したままのA氏
パニック障害――。
多くのメディアでも一時取り上げられたり、芸能人がパニック障害であったことを告白したりで、誰もが一度は聞いたことがある病名だろう。
ただ、病名の認知度とは裏腹に、パニック障害の症状や治療法をあまり理解できていないドクターが日本では多く、上手く対処できていない実情がある。
また、単に「呼吸ができなくなった」というだけでパニック障害と診断されることがあるなど、広く病名が知られているわりには、的確な診断や治療法が取られていない。
本来、薬の服用と並行して認知行動療法などで専門家がサポートするのが望ましいとされているが、たいていの場合は薬を処方され、通院するよう要請される。
基本的にドクターは薬を出して治療するのが目的なので、仕方がない、と言えばそれまでなのだが、薬だけで完治するのは難しい。
さらに、診断や治療が首尾よく行われていないと、その後うつ傾向が強まり、うつ病を発症することも少なくない。
A氏のケースが本当にパニック障害だったのかどうかは定かではないが、彼は最初のパニック経験をして以降、うつ傾向が若干強まり、休職することになった。
そして、半年間の休職後、復職したA氏。
前述した通り、完全とまではいかないまでも、8割方は回復しているように見えた。
だが、次の一言を聞いて、それは“見かけ”だけだったことを知る。
彼はまだ本調子にはほど遠い状態だったのだ。